打楽器の楽器法②:オーケストラで使用する小物打楽器の構造、特徴を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、オーケストラで使用する小物パーカッションの中から代表的なものをご紹介していこうと思います。
- タンバリン
- トライアングル
- ウインドチャイム
今回ご紹介する3つの楽器は、その見た目とは裏腹に奥深い表現が可能な楽器です。
上手に使いこなすことで多彩なオーケストレーションが可能になりますので、ぜひしっかりと学んでいきましょう!
打楽器の楽器法②:オーケストラで使用する小物打楽器の構造、特徴を理解しよう!
タンバリン
みなさんもご存知のあの「タンバリン」です。
安価に入手しやすいのもあり、子供向けの楽器というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、オーケストラの楽曲にもよく用いられます。
タンバリンの構造
胴の周囲に極小のシンバルをとりつけたような形状の打楽器です。
シンバル部分は直接叩かず、片面に貼られた皮、または楽器の端を叩くことで発音します。
ポップスやラテン系の明るい楽曲では、皮が張られていないリング状のタンバリン(通称モンキータンバリン)が用いられることもあります。
タンバリンの音色
音色自体はみなさまのご想像の通りです。
強く叩くことで打音とシンバル音両方を伴ったサウンドを得ることもできます。
シンバル音といっても、タンバリンについているシンバルは極小サイズ。
そのため、シャリシャリとした可愛らしい音が出ます。
タンバリンの奏法
タンバリンでも、通常のパーカッション同様以下の2種の奏法を用いて演奏します。
- 単発の発音
- ロール奏法
単発の発音
単発の発音を行う場合は、以下の2種類のスタイルが用いられます。
- 楽器をやや斜めに傾けて構え、もう片方の手で叩く方法
- 手首を使って左右に往復させ、シャカシャカ演奏する方法
オーケストラにおいては前者のスタイルで演奏する場合が多いです。
一方後者は、決まったリズムパターンを刻み続ける場合などに有効で、ポップス寄りの楽曲で用いられます。
ロール奏法
ロール奏法にも2種類のスタイルがあります。
- シェイクロール
- フィンガーロール
どちらを選択するかでサウンドも大分変わってきますので、その違いを把握しておきましょう。
「シェイクロール」は、手首を使ってタンバリンを素早く振ってロール効果を得るスタイルです。
どちらかというとポップスやラテンなど明るいノリの良い曲にマッチします。
「フィンガーロール」は、皮の上で指を擦るように滑らせ、その摩擦で楽器を振動させてロール効果を得るスタイルです。
こちらはクラシック楽曲でよく用いられます。
指を滑らせるという特性上、手首で振り続けるロールと違って長い間ロールし続けることはできません。
以下の動画でご参照いただけるとよりわかりやすいかと思います。
タンバリンロールの演奏動画
2つのロールについてなど解説・演奏している動画です。
英語の動画ですが、タンバリンの音と映像だけでもある程度イメージがつかめるものとなっています。
32秒〜がシェイクロール、2:05~がフィンガーロールとなっています。
トライアングル
こちらもみなさんおなじみの「トライアングル」ですね。
静寂を感じさせるシーンからクライマックスの盛り上げまで、さまざまなシーンで活躍してくれます。
構造や演奏法こそ非常にシンプルな楽器ですが、じつは音色や音量のコントロールが難しく演奏に技量が求められる楽器でもあります。
トライアングルの構造
金属の棒を三角形に曲げ、その隅の一箇所に隙間を開けた構造。
それを紐で括って持ち上げ、ビーターと呼ばれる金属の棒で叩くことで発音します。
サイズや三角形の太さはさまざまで音色も異なりますが、使用するサイズを楽譜で指定する必要はありません。
トライアングルの音色
高音で抜けの良い「キーン」「チーン」という金属音が特徴です。
優しく叩けばじんわりと染み渡るように響き、力強く叩けばはっきりとした存在感をもって響いてくれます。
シンプルですが表現の幅の広い楽器といえるでしょう。
トライアングルの奏法
こちらも、以下の2種の奏法を用います。
- 単発の発音
- ロール奏法
単発の発音においては、余韻を長く伸ばす「サスティン」と、指で抑えてミュートする「チョーク」を使い分けて演奏します。
ロール奏法では、トライアングル内側の角をビーターで高速連打しながら演奏します。
単発の発音における「サスティン」「チョーク」を記譜する場合は、以下のような記号を用います。(ハイハットのオープンクローズと同じものです。)
- サスティン:音符の上に「◯」
- チョーク:音符の上に「+」
また、何もない指定がない場合は、音価そのままの長さで演奏するのが通例です。
ウインドチャイム
光がキラキラと輝くような美しい音色を持ったパーカッションです。
「ツリーチャイム」「マークツリー」などとも呼ばれます。
タンバリンやトライアングルに比べて知名度では劣るかもしれませんが、オーケストラや吹奏楽のみならず、ポピュラー音楽でも頻繁に聞くことができる楽器ですね。
ウインドチャイムの構造
たくさんの金属の棒を横並びに吊り下げた構造をしています。
それぞれの棒は、徐々に長さが変化するよう並べられており、短くなるほど音程が高くなっていきます。
棒を吊り下げているバーの後ろにはフェルトなどで作られたミュート用のクッションがあり、演奏後にフェルトを押し当てることで余韻をコントロールすることができます。
ウインドチャイムの音色
キラキラとした、流れ星のような幻想的なサウンドを持っています。
ウインドチャイムの奏法
髪の毛を梳くように指を滑らせることで、棒同士をぶつけて演奏します。
指を滑らせる速さは、譜面上に音価を指定することで奏者が良きように調整してくれます。
求めるサウンドに応じて、以下の2パターンの演奏が可能です。
- 下り:棒が短い(音が高い)方から下るように演奏するパターン
- 上り:棒が長い(音が低い)方から登るように演奏するパターン
両者の用法に厳密な決まりはありませんが、一応の傾向として、前者はサビ頭などセクション冒頭で用いられることが多く、後者はシンバルロールやストリングスの駆け上がりのように楽曲の盛り上げ役として用いられることが多いですね。
記譜方法は、下り、上りの方向に応じて符頭からグリッサンドのような波線を書き加えて指示をします。
符頭には「×」を使うことが多いです。
まとめ
というわけで、オーケストラで使用する代表的な小物パーカッションについて解説しました。
オーケストラにはどんな楽器でもパーカッションとして取り入れてよい懐の深さがあります。
今回ご紹介した3種の楽器以外にも、ウッドブロック、シェイカー、カウベル、マラカスなど枚挙にいとまがありませんし、変わり種としては包丁やトングなどの調理器具を使った楽曲なんかもあります。
ぜひ様々な楽曲を研究して、あなたなりの使い方を研究してみてはいかがでしょうか?
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