ストリングスの楽譜の読み方、書き方から各種奏法の表記、略語まで徹底解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
楽曲&演奏のニュアンスを共有する上で、楽譜はとっても重要なツール。
とくに、レコーディングなど自作曲をだれかに演奏してもらうようなシーンでは、楽譜の出来が演奏の質を左右するといっても過言ではありません。
そこで今日は、ストリングスの記譜法を一通りご紹介しようと思います。
・各楽器の表記名と略記
・楽器ごとの音部記号
・各種奏法の記譜方法
など、楽譜を書く上で覚えておきたい知識をまとめておいたので、ぜひ参考にしてみてください。
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ストリングスの楽譜①:楽器名の表記、略記について
まずは、ストリングス構成する楽器の「正式表記」と「略記」をまとめておきます。
楽譜上に記載する各楽器の正式表記と略記は以下のとおりです。
楽器名 | 正式表記 | 略記 |
ヴァイオリン | Violin | Vln. / Vn. |
ヴィオラ | Viola | Vla. / Va. |
チェロ | Violoncello | Vlc. / Vc. |
コントラバス / ダブルベース | Contrabass / Doublebass | Cb. / DB. |
ちなみに、スコア1段目には正式表記を、2段目以降は略記で記載するのが一般的ですね!
【参考】プロスペロー『宵越しのランデヴー』より
ストリングスの楽譜②:音部記号
各楽器の音部記号は以下のとおりです。
楽器名 | 音部記号の種類 | 記号の表記 |
ヴァイオリン | ト音記号 | |
ヴィオラ | アルト記号 | |
チェロ | ヘ音記号 / テノール記号 | |
コントラバス / ダブルベース | ヘ音記号(実音は表記の1oct下) |
ストリングスを構成する楽器に移調楽器はありませんので、全て実音で表記します。
ちなみに、一部の方には見慣れないであろう「アルト記号」や「テノール記号」といった不思議な形の記号が出てきていますが、これらは「ハ音記号」と呼ばれる記号で、記号の中心に当たる部分が「ハ音」つまり「ド」、実音で「C」の音を表す記号です。
とくにアルト記号はヴィオラの記譜で必ず使われるものですから、この際に慣れておきましょう!
【参考】ストリングスのスコアの例
ストリングスの楽譜③:代表的な奏法とその表記
次に、ストリングスを代表する奏法の記譜方法を解説していきます。
ロングノート系
スラー
スラーは、2つ以上の音を切れ目なくつなげて演奏する奏法です。ストリングスの場合、同一のスラーで括られた音符はひと弓で演奏する(弓を返さない)というルールがありますので、弓の物理的な長さ以上のスラーをかけることはできません。
ポルタメント
ポルタメントは、2つ以上の音の音程を滑らかにつなげて演奏する奏法です。他の楽器で言うところのグリッサンドと一緒ですね。非常に甘美な演奏になります。
トレモロ
弓を小刻みに動かして、音符を細かく連打する奏法です。ランダムに刻むほか、音価を指定して刻んでもらうこともできます。
トリル
指定した音程と短2度、または長2度上の音程を交互に素早く演奏する奏法です。(同一スケール上のちょうど2度上の音になります。)
ハーモニクス(フラジオ)
いわゆるハーモニクスです。弦を軽く押さえて、倍音を演奏する奏法です。
ショートノート系
スピッカート(スタッカート)
スピッカートは、弓と弦の張力を利用して、弓を弾ませるようにして演奏するスタッカートのことです。譜面上の表記自体は通常のスタッカートと変わりありません。
マルカート
マルカートは、1つ1つの音をはっきりと演奏する奏法です。実際には一音一音軽めのアクセントがついたような演奏になります。楽譜では「marc.」と表記することが多いです。
ピチカート
弓ではなく、弦を指で弾くように演奏する奏法です。楽譜上では「pizz.」と書くことでピチカートへ切り替わり、「arco(=弓のこと)」と書くことで弓での演奏へ戻ります。
バルトークピチカート
バルトークピチカートは、親指と人差し指で弦をつまみ上げ、その張力を利用して弦を指板に叩きつける奏法です。「バチン!」という非常に迫力のある音が出ますが、高価な楽器が痛むことから多用は禁物です。
コル・レーニョ
弓の毛の部分ではなく、背面の木の部分で弦を叩くようにして演奏する特殊奏法です。こちらも多用は禁物。
その他の表記
ディビジ
同一パート上で複数の音程に別れて演奏する場合にこの表記をします。例えば1st Violinの中で2つ以上の音程が出てきた際、それぞれの音を別な奏者さんに演奏してほしい場合は「dvisi」または「div.」と表記することでそのように演奏してくれます。元に戻す際には「unis.」と表記します。
コン・ソルディーノ(弱音器をつけた演奏)
弦を支える駒の上に「弱音器」と呼ばれる器具を取り付け、優しく柔らかい音色で演奏する奏法です。楽譜上の表記は「con sord.」と書くことで弱音器での演奏がスタートし、「senza sord.」の表記で解除することができます。
まとめ
というわけで、ストリングスの記譜法について詳しく解説してきました。
とくに生演奏をお願いする場合には、編曲者の意図を楽譜を通して伝えることが重要になってきますので、ストリングスの記譜法をしっかり覚えて、わかりやすい楽譜作りを目指しましょう!
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