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打楽器の楽器法①:オーケストラを代表する4つの打楽器の構造、特徴を理解しよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日からは、オーケストラで使用するパーカッションについて解説していきます。

初回は、オーケストラで頻繁に使用される4つの代表的な打楽器を解説していこうと思います。

  • ティンパニ
  • スネアドラム
  • コンサートバスドラム(グランカッサ)
  • 合わせシンバル

パーカッションは「打楽器」という大きなくくりで取り扱われる都合上、音色も形状も役割もそれぞれバラバラ。

なんなら「使わない」という選択肢もあるほどに、編曲者の個性が如実に現れるセクションともいえます。

掘れば掘るほどその可能性も広がっていきますので、ぜひその魅力に触れていただければ幸いです!

 

打楽器の楽器法①:オーケストラを代表する4つの打楽器の構造、特徴を理解しよう!

打楽器の楽器法①:オーケストラを代表する4つの打楽器の構造、特徴を理解しよう!

オーケストラで使われる代表的なパーカッションは、以下の4つです。

  • ティンパニ
  • スネアドラム
  • コンサートバスドラム(グランカッサ)
  • 合わせシンバル

これら4つの打楽器は、オーケストラや吹奏楽など大規模な編成においてとりわけ出番の多いものばかり。

打楽器の種類はさまざまですが、まずはこの4つをしっかり理解していくことから始めましょう。

ティンパニ

ティンパニは、ドーム状の形をした胴に皮を張りバチ(=マレット)を用いて叩くことで演奏する楽器です。

今回ご紹介する4つの打楽器の中でもっとも出番が多く、最初に習得すべき打楽器といえるでしょう。

鍵盤打楽器を除く打楽器の中では珍しく「楽音(明確な音程)」を持っている楽器でありパーカッションの花形パートとして古来より愛されてきました。

ティンパニの構造

前述の通り、ドーム状の本体に脚や音程変更用のペダルなどを取り付けて起立させています。

演奏する音程をあらかじめチューニングしておく必要があるため1度に複数の音程を鳴らすことは不可能ですが、音程の異なる複数台のティンパニを組み合わせることで多彩な音程を演奏することができます。

また、曲中チューニングペダル使って音程を変えることもできることも覚えておきましょう。

ティンパニの音色

太鼓のような打楽器的なサウンドも持ちながら、音程も認識できる(=整数倍音を中心に構成された音色を持つ)のがティンパニの大きな特徴。

楽曲に打楽器の迫力をプラスしつつ、楽曲の調性や和音に寄り添った演奏が可能です。

実際の演奏では、サイズが異なるティンパニ2~4台ほど用いて奏者の周囲を囲うように配置して演奏します。

※稀に5台以上のティンパニを用いる楽曲や、2名のティンパニ奏者が必要な楽曲もあります。

ティンパニの音域

ティンパニの音域は以下の通りです。

1台のティンパニで演奏できる音域はそこまで広くはありませんが、サイズの異なる複数のティンパニを併用することで様々なフレーズを演奏可能にします。

上図の音程より低い音域では、皮が緩みすぎて音程感も不明瞭なサウンドになります。

逆に、上図の音程よりも高い音域では、皮が張り過ぎて固すぎるサウンドに。

それはそれで面白い音色ともいえますが、一般的なティンパニらしさは薄れていってしまいます。

ですから、基本的には上図の音域を意識して使用するとよいでしょう。

音程の変更指示

2〜4台のティンパニそれぞれにあらかじめチューニングした音程以外の音が必要になった場合は、途中でペダルを踏み込みことで音程を変更します。

楽曲の途中で音程の変更を指示する場合は、以下の譜例のように「G to F」「G→F」といった形で記譜しましょう。

音程の変更を指示する場合には、1音変更するごとに5~7秒程度の猶予があると安心です。

ティンパニの奏法

ティンパニでは、主に以下の2つの奏法を用いて演奏します。

  • 単発の演奏
  • ロール奏法

ロール奏法とは、両手をつかって打面を連打することで持続音を発生させる奏法

スネアロールなどでもおなじみですね。

迫力あるオーケストレーションをする上でティンパニによるロール奏法は非常に効果的。

とくに、クレッシェンドが伴うロールはティンパニのお家芸ともいえるでしょう。

ティンパニの演奏動画

ティンパニは1:18あたりからロール奏法が登場します。

この曲では5台のティンパニが使われていますが、これはティンパニを主役に据えた珍しい曲だからです。

普段は4台までを想定しておきましょう。

 マレットについて

ティンパニでは、「マレット」と呼ばれるバチを用いて演奏します。

「マレット」は、先端がフェルトで覆われたものを用いることが一般的ですが、フェルト部分が柔らかいもの、硬いものなど多様な種類が存在します。

中にはそもそも先端がフェルトで覆われていないものなどもあり、マレットの種類によって全く音色が異なります。

といっても、よほどこだわりがある場合を除いては編曲者がマレットの種類まで指定することは稀。

基本は奏者さんにお任せして問題ないでしょう。

どうしても特定のマレットを指定したい場合は、以下のように記譜すればOKです。

  • 柔らかめ、優し目の音が欲しい場合:「Soft mallet」
  • 硬め、アタックが強い音が欲しい場合:「Hard mallet」

スネアドラム

次に、スネアドラムについて解説していきます。

スネアドラムは、「サイドドラム」「小太鼓」とも呼ばれ、ドラムセットに使われるスネアドラムと同一のものとなります。

ただし、オーケストラにおいてはスネアドラム単体で1パートとなり、ドラムセットのように複数の太鼓を組み合わせて演奏するわけではありませんので覚えておきましょう。

古くは軍楽隊の行進などで用いられていた楽器で、そこからオーケストラや吹奏楽でも用いられるようになりました。

スネアドラムの構造

スネアドラムは、浅めの胴の上下に「ヘッド」と呼ばれる皮が貼られた構造で、一般的な太鼓とそう大きく違いはありません。

一方、スネアドラムを象徴する最大の特徴は、楽器底面に「スナッピー(響き線)」と呼ばれる細い金属線が貼られていること。

これにより、独特のざらついた音色を出すことができます。

また、「ストレーナー」と呼ばれるパーツを上げ下げすることで、スナッピーが底面に張り付いている状態とそうでない状態を切り替えることもができます。

スネアドラムの音色

前述の通り、スナッピーを貼った状態のスネアでは独特のざらついた金属的なサウンドを得ることができます。

一方スナッピーを張っていない時は、いわゆる普通の太鼓のようなサウンドです。

あえてこの状態を指定する場合もありますが、通常はスナッピーを張った状態で用いることがほとんどです。

なお、スナッピーを上げている状態のことを「オン」、下げている状態のことを「オフ」と呼びます。

スネアオンの参考音源

スネアオフの参考音源

スネアドラムの奏法

スネアドラムにおいても、以下の2つの奏法を用いて演奏します。

  • 単発の発音
  • ロール奏法

演奏には「スティック」と呼ばれる棒を、両手それぞれに1本ずつ持って使用します。

スティックは「太さ」「長さ」「先端の形状」などの違いで様々な種類がありますが、その種類を指示することはまずありません。

スネアの演奏動画

演奏は29秒あたりから。いきなりロール奏法が登場します。

コンサートバスドラム(グランカッサ)

コンサートバスドラムは、別名「グランカッサ(伊)」とも呼ばれ、俗に言う大太鼓のことを指します。

単にバスドラムと呼ぶこともあるのですが、ドラムセットのバスドラム(キック)との混同を避ける意味でこの名称が用いられることが一般的です。

コンサートバスドラムの構造

スネアドラムを巨大化したような外見をしています。(ただしスナッピーはありません。)

胴の両端を支えるスタンドを用いて、斜めに傾けた状態で叩く場合が多いです。

演奏時には楽器の右側に立ち、右側の面を叩きます。

コンサートバスドラムの音色

その巨体から生み出される重低音は、ピッチも識別できないほど重厚

オーケストラパーカッションにおける最低音パートであり、ここぞと言う場面のアクセントとして用いられることも多いです。

音の立ち上がりが遅いため、演奏時にはほんの気持ち早めに発音するイメージで演奏をします。

その性質上、スネアドラムのような細かい演奏には全く向いておらず、1発のアクセントに命をかけるタイプの打楽器です。

コンサートバスドラムの参考音源

コンサートバスドラムの奏法

コンサートバスドラムも同様に、以下の2つの奏法を使用します。

  • 単発の発音
  • ロール奏法

この楽器に使うマレットは特に巨大なもので、先端のフェルトで覆われた部分も非常に大きくなっています。(一方長さは短め)

単発で発音する場合は、右手に持ったマレットでヘッド叩き、左手は発音後に音の余韻をコントロール(ミュート)するために使用します。

ロール奏法の場合は両手にマレットをもち、連打することで演奏を行います。

ロール後即座に音を止めたい場合は、マレット、指先、腕などを器用に使ってミュートを行います。

叩く技術はもちろんのこと、その後のミュートにも高い技術が求められる楽器です。

コンサートバスドラムの演奏動画

 

合わせシンバル

2枚のシンバルを合わせて「ジャーン」という派手なサウンドを得る打楽器です。

ドラムセットなどで用いられる、スタンドにセットされた一枚シンバルとは異なり、2枚のシンバルをこすり合わせるように叩いて発音します。

ちなみに、単に「シンバル」と呼んでしまうと1枚か2枚かわからないので、オーケストラでは以下のように書き分けます。

  • 1枚シンバル:「Suspended Cymbal(略してS.Cym.とも)」
  • 合わせシンバル:「Crash Cymbal(略してC.Cym.とも)」

ドラムセットでは、1枚シンバルのことを「クラッシュシンバル」と呼ぶこともあるのでややこしいですが、覚えておきましょう!

合わせシンバルの構造

普通のシンバルの形状はそのままに、楽器中央に開けられた穴に皮などで作られた紐を通して持ち手をつけています。

合わせシンバルとして最も良いサウンドが得られるよう。2枚セットで製造、販売されていることも特徴です。

合わせシンバルの音色

その音色は非常に派手で目立つため、華々しい楽曲の演出にはうってつけです。

頻繁に使用することは稀ですが、コンサートバスドラム同様、楽曲が盛り上がるシーンで効果的に用いられることが多いです。

合わせシンバルの参考音源

合わせシンバルの奏法

この楽器を見ると、猿がバシャバシャとシンバルを打ち鳴らすおもちゃを連想される方もいらっしゃるかもしれません。

あのおもちゃでは、2枚のシンバルを垂直に構えた上で、両者を水平に動かしてピタリと揃えるような演奏をしていますが・・・。

じつはあの叩き方は間違いです。

もし機会があれば実際に演奏してみていただきたいのですが、上記のような叩き方では「パスッ」と空気がこもるような音がするだけで、全く気持ちの良い音にはなりません。

正しい演奏法では、片方のシンバルを少し傾け、もう1枚を下からこすり合わせるようにして発音します。

その後程よいタイミングまで音を伸ばしながら、全身を使って楽器の振動を抑え消音します。

音を即座に止めたい場合は、「Choke(チョーク)」と記譜することでそのような演奏をしてくれます。

合わせシンバルの演奏動画

冒頭にチョーク奏法、飛んで2:29あたりに通常の演奏があります。

インパクト時に、2枚のシンバルが決して平行になっていないところに着目してみてください。

 

まとめ

というわけで、オーケストラで用いられる4つの代表的な打楽器についてご紹介しました。

今日ご紹介した4つの打楽器は、オーケストラで使われる打楽器の中でもとくにメジャーなもの。

楽曲の演出に重宝することも多い楽器ですので、ぜひその基本をしっかりと理解していただければ幸いです。

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