オーケストレーションに必要な2つの視点とその訓練法を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日からはいよいよ、オーケストレーションの実践テクニックについて解説していきます。
まずは、オーケストレーションを行う上で身につけておきたい2つの視点とその訓練法について解説していきます。
- 2つの視点とは?
- 縦軸(ミクロ)視点の訓練法
- 横軸(マクロ)視点の訓練法
今日解説する2つの視点は、どちらが欠けても良いオーケストレーションを施すことはできません。
オーケストレーションのみならず、あらゆるアレンジに対して重要な考え方ですが、とくに多数の楽器を取り扱うオーケストラには欠かせない知識となります。
しっかりと身につけていきましょう!
オーケストレーションに必要な2つの視点とその訓練法を理解しよう!
2つの視点とは?
まず、今回ご紹介する2つの視点とはどういうものなのかを解説していきます。
オーケストレーションの実践は大きく分けて以下の2つの視点を持って取り組むとよいでしょう。
- 部分的なオーケストレーションを検討する縦軸(ミクロ)視点
- 楽曲全体のオーケストレーションを検討する横軸(マクロ)視点
それぞれを簡単にご説明すると、楽曲のある1部分におけるアレンジの方向性を検討するのが前者。
楽曲全体の構成を意識したオーケストレーションを検討するのが後者というわけです。
これまでご紹介した楽器法やアンサンブル実践にまつわる記事は全て前者、すなわち縦軸視点の内容だったわけですね。
しかし、これだけではドラマチックなオーケストレーションはできません。
ある一部分がどんなに素晴らしいオーケストレーションだったとしても、楽曲全体の構成や展開が考慮されていなければ楽曲の魅力も半減してしまうからです。
例えば、ド派手なオーケストレーションを施した「A」という部分があったとします。
その場合、楽曲を通して終始「A」と同じようなオーケストレーションした場合と、静かな導入から徐々に盛り上げて「A」に至る場合とでは、受ける印象は大分変わってきますよね。(仮に「A」のアレンジが全く同じものだったとしても。)
楽曲の一部だけ素晴らしいオーケストレーションができたとしても、それは木を見て森を見ず状態。
楽曲全体を見渡して、全体の流れを考慮したオーケストレーションを施す必要があるというわけです。
縦軸(ミクロ)視点の訓練法
2つの視点がわかったところで、ここからは、それぞれの訓練方法について解説していきます。
まずは縦軸(ミクロ)視点から。
この視点では、1小節〜10数小節程度の短いフレーズの中で、楽器の組み合わせや重ね方等の扱いを考えていきます。
その瞬間瞬間でどのようなサウンドを鳴らすのか?
それを検討するというわけですね。
縦軸視点の具体的な訓練法
縦軸視点の訓練方法には、大きく分けて以下の4つが挙げられます。
- それぞれの楽器の特徴を学ぶ(楽器法)
- セクションごとの楽器の組み合わせを学ぶ
- オーケストラ全体の楽器の組み合わせを学ぶ
- お手本にしたい楽曲のオーケストレーションを模倣
1)それぞれの楽器の特徴を学ぶ
まずは、それぞれの楽器の特徴をしっかりと身につけましょう。
楽器への理解なくしては、その楽器を正しく扱うことはできません。
これまでにご紹介した楽器法の記事を参考に、各楽器の特徴をしっかりと理解していきましょう。
記事を読んで学習するのはもちろん、それぞれの楽器のソロ曲を聴いてみるのも勉強になります。
2)セクションごとの楽器の組み合わせを学ぶ
次に、各セクションごとの効果的な楽器の組み合わせ方を学びましょう。
数あるオーケストラ楽器を何も考えずに積み上げただけでは良いサウンドにはなりません。
それぞれの楽器をよくなじませ、一体感のあるサウンドに仕上げるためにはそれなりの工夫が必要になるわけです。
こちらについても、本カリキュラム前半部分「オーケストレーションの基礎知識」にて解説しておりますので、ぜひご活用ください。
3)オーケストラ全体の楽器の組み合わせを学ぶ
各セクションごとの楽器の組み合わせ方がわかったら、次にオーケストラ全体の楽器の組み合わせを学んでいきましょう。
木管、金管、ストリングス、それぞれのセクションをどのように混ぜれば良いサウンドになるのか?
そちらについても十分検討していく必要があります。
こちらの内容については今後の記事でしっかり解説していきます。
4)お手本にしたい楽曲のオーケストレーションを模倣
楽器への理解がある程度深まったら、好きな楽曲や学びたい楽曲のオーケストレーションを模倣してみましょう。
クラシック作品ならばスコアも市販されていますのでオススメです。
この時の訓練法としては、楽曲全編ではなく特にかっこいいと感じる1シーンだけでもOKです。
各楽器にどんな役割が割り当てられているのか?
それをしっかり分析しながら、ご自身の楽曲にも取り入れてみましょう。
横軸(マクロ)視点の訓練法
こちらは楽曲全体を見据えて、各場面ごとにマッチするオーケストレーションを考える視点です。
ここの部分は静かなイメージだから楽器数は少なく音色もマイルドに。
この部分はクライマックスだからド派手なアレンジで。
といった具合に、楽曲の流れに合わせてオーケストレーションを考えていくというわけですね。
ここで最も重要になることは「ゴールイメージ」です。
楽曲の全体像をしっかりと思い描くこと。
とくにオーケストラにはたくさんの楽器が登場しますので、全体の流れを緻密に設計しておかないとアレンジが破綻してしまいます。
まずは、以下のようなざっくりとしたイメージでも構いません。
- こういう情景を音楽で描きたい!
- こんな流れでクライマックスに持っていきたい!
- 最後の最後で大どんでん返しだ!
楽曲全体を通してどのような表現をしたいのか?
それを実現するためには、どのような展開・構成にするのが良いのかじっくり考えていきましょう。
ここが固まってしまえば、後はその流れに合わせて「縦軸(マクロ)視点」で学んだオーケストレーションを当てはめていけば良いわけですね。
横軸視点の具体的な訓練法
横軸視点をトレーニングする上では、以下の2つの項目に取り組んでみるのが良いでしょう。
- 楽式論を学ぶ
- 既存曲の展開を分析してみる
1)楽式論を学ぶ
楽式論とは、クラシック音楽における楽曲の構造・形式を学ぶための理論です。
この楽式論では、今回お話しているような「ミクロ」「マクロ」2つの視点により楽曲の構造が解説されています。
- テーマやモチーフといった小さな要素の取り扱い(ミクロ視点)
- 楽曲全体の構成や形式の考え方(マクロ視点)
ポピュラー音楽制作においては必ずしも必要な理論ではありませんが、オーケストラを使った作品では、その構成を考える上で大いに役立つでしょう。
また、前者の「テーマやモチーフといった小さな要素の取り扱い」については、劇伴音楽などでも多用される手法となりますので、興味のある方はぜひそちらも学んでみてください。
2)既存曲の展開を分析してみる
「分析」というと少々難しく感じてしまうかもしれませんがご安心ください。
楽曲全体がどのように構成されているかを確認するだけでも十分勉強になります。
楽曲の聴かせどころ(クライマックス)を中心に、そこに至るまでの経緯や前後の展開など中心にインプットしていくと、様々なバリエーションの楽曲構成が学べて効果的です。
とくに、以下の3点に着目してみるとよいでしょう。
- クライマックスまでの過程はどのように構成されているか?
- クライマックスまでの強弱変化はどのようになっているか?
- クライマックスまでの使用されている楽器の増減はどうか?
ぜひ参考にしてみてください!
まとめ
というわけで、オーケストレーション実践のための2つの視点とその訓練法について解説しました。
今日ご紹介した2つの視点は、オーケストラに限らずあらゆるジャンルにおいて重要ですが、とくに扱う楽器が多くなるオーケストラにおいては常に頭においておきたいものです。
今日の記事を参考に、その考え方をしっかりと身につけていただければ幸いです。
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