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電子楽器が嫌いだという人は矢文でも射ればいい。

こんにちは、作曲家・稲毛謙介(@Ken_Inage)です。

ぼくのお師匠さん、冨田勲先生。

世界的な作曲家であり、シンセサイザーの巨匠として有名な冨田先生ですが、今日は、ぼくが冨田先生から受けたフィードバックの中で特に印象深かったものをご紹介しようと思います。

音楽や楽器に対する視野がすごく広くなると思うので、ぜひ参考にしてみてください!

 

師匠から受けたとある質問

師匠から受けたとある質問

ぼくが冨田先生に師事し始めたばかりのころ、とある質問を投げかけられました。

冨田先生:「稲毛くんは、どんな音楽を作りたいの?」

当時若干18歳の若造だったぼくは、このように答えました。

イナゲ:「オーケストラなどのアコースティック楽器とシンセサイザーなどの電子楽器を、今までにない形で組み合わせた曲が作りたいです!!」

シンセサイザーの巨匠を目の前にして、若造なりに模範的な回答をしたつもりでした!!(浅はか。)

それに対して冨田先生は一言。

冨田先生:「君はアコースティック楽器と電子楽器を区別して考えてるんだね。」

一瞬「??」となりました。

さらに冨田先生は続けます。

冨田先生:アコースティック楽器は、物質そのものが振動して(=波を作り出して)音を出している。一方電子楽器は、電気信号で波を作り出して音を出している。弦楽器は弦が振動している、木管楽器はリードが振動している、金管楽器は唇が振動しているわけで、それと同じように、電子楽器は電気信号で振動を作り出しているだけ。原理が違うだけで、どちらも同じ“楽器”なんじゃないの?

 

この言葉を受けて、僕は体に電流が走るほどの衝撃を受けました。

この言葉を受けて、僕は体に電流が走るほどの衝撃を受けました。

確かに僕は、アコースティック楽器と電子楽器を完全に区別して考えていました。

どこかで、

  • アコースティック=自然のもの
  • 電子楽器=人工的なもの

のような線引きをして、両者を異質な存在として取り扱ってしまっていたのでしょう。だからこそ、両者を組み合わせることが斬新なことだとカン違いしてしまっていたんですね〜。

しかし、原理が違えど音が出ることに変わりはないし、アコースティック楽器だろうがシンセサイザーだろうが、それを演奏するのは人間の仕事。音楽的に素晴らしい表現ができるかどうかは、結局は人間の手に委ねられているんですよね。

ならば、アコースティック楽器と電子楽器を区別して考えることがいかに自分自身のクリエイティビティを狭めることになってしまうか?

師匠はそのことに気づかせてくれたのでした。

それ以降、僕の表現の幅は劇的に広がったように感じます。

  • 楽曲をアレンジする際、アコースティックな編成だけで仕上げるか?
  • それともシンセを積極的に使ってデジタルなサウンドにするか?

そんな不毛な選択に頭を悩ませることは一切なくなりました!

使いたいものを、最も最適な形で柔軟に取り入れる。

これで十分だし、それこそが現代の音楽クリエイターの作曲法なんだよなぁと、無意識レベルで理解することができるようになった気がします。

 

電子楽器が嫌いな人に問う。

電子楽器が嫌いな人に問う。

世の中には、ごくごくたまーに

・アコースティック楽器 = 善
・電子楽器 = 悪

のように捉える音楽家がいたりします。

極端な話、電子楽器で作られた音楽に対して「あんなもん音楽じゃない!」とまでいう人がいます。

しかし、そんな方に考えていただきたい。もし、電気的な仕組みを持つものが悪だと考えるなら、「あなたはEメールを使わないのか?」と。(「LINEしか使わないからEメールは使わないよ!」とかそういう話じゃなく。)

Eメールとは電子メール。電気信号を使った手紙のこと。電気的なものが悪だというなら、もはやその人は、遠く離れた誰かと連絡を取る際に、矢文を射るくらいしか選択肢がなくなっちゃう。(もしくは伝書鳩かな。)手紙だって、機械がなきゃ配達できないですからね。

電気は人類の進化の証。その恩恵を受けて生きている我々にとっては、アコースティックなものと電子的なものを区別すること自体全くもってナンセンスなことなのかもしれない。そんなことを改めて思い出させてくれる師匠との思い出でした!

あなたはどう思いますか??

 

まとめ

音楽でもなんでもそうですが、とくにこだわりを持って取り組んでいるものほど、いつの間にか頭が固くなってしまい、本質を見落としてしまうこともしばしばあります。

ぼくも例に漏れず、前述のような思考パターンに陥ってしまっていたわけですが、ちょっと頭を柔らかくして考えれば、ムダな選択に頭を悩ませることもなくなるし、もっともっとクリエイティブになれるはず。

シンセサイザーやサラウンド、はてはVocaloidまで、常に新しいことにチャレンジし続けた冨田先生ならではの考え方は、今もぼくにとって大きな財産として残っています。

ぜひみなさんも余計な枠組みはとっぱらって、自由に音楽を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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