ベースの基礎知識⑥:ベースギターの各種アーティキュレーションを理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ベースの各種アーティキュレーションについて解説していきます。
- 基本アーティキュレーション
- チョーキング
- その他のアーティキュレーション
ベースのアーティキュレーションは、基本的にギターのそれとほぼ同じです。
よって、ギターのアーティキュレーションについて熟知してらっしゃる方は、この記事は読み飛ばしても構いません。
まだ自信がない方のために改めてまとめていきますので、ご活用いただければ幸いです!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ベースの基礎知識⑥:ベースギターの各種アーティキュレーションを理解しよう!
基本アーティキュレーション
ギター同様、ベースのアーティキュレーションの中で最も基本となるものが以下の6つです。
- ハンマリング・オン
- プリング・オフ
- トリル
- スライド
- グリッサンド
- ビブラート
そのほとんどが、左手の運指を用いたアーティキュレーションとなります。
参考までに、各種アーティキュレーションの演奏動画も再掲しておきます。
ギターによる演奏ですが、ベースでも同様の方法で実現可能です。
基本アーティキュレーション
1. ハンマリングオン
左手でハンマー(金槌)を叩くように素早く弦を押さえて音を出すことを「ハンマリング・オン」といいます。
(略して「ハンマリング」ともいいます。)
このときピッキングは行いませんので、滑らかなレガートを演奏することができます。
2. プリングオフ
ハンマリングとは逆に、既に押さえている左手の指を弦に引っ掛けて(=PULL)音を出すことを「プリング・オフ」といいます。
(略して「プリング」ともいいます。)
ハンマリング同様滑らかなレガートを実現できます。
3. トリル
ハンマリングとプリングを交互に繰り返すことで、音を持続させる演奏法を「トリル」といいます。
半音差や1音差、1音半差などで使います。
また、開放弦からの「トリル」もよく使います。
独特の緊張感のある持続音を表現できます。
4. スライド
ある音からある音へ素早く指を移動することで音程変化を表現することを「スライド」といいます。
低い音から高い音へ上昇する「スライドアップ」、逆に高い音から低い音へ加工する「スライドダウン」があります。
ピッキングで弾くよりもより滑らかな音が出せます。
5. グリッサンド
開始音や到達音が決まっている「スライド」に対し、それらが明確に決まっていない場合を「グリッサンド」といいます。
スライドがメロディ内で使われること多いのに対し、グリッサンドはより効果音的に使われることが多くなります。
6. ビブラート
一般的なビブラート同様、音程を揺らすテクニックです。
後述のチョーキングとチョークダウンを繰り返す方法と、左手の指を左右に揺らして音程変化させる方法があります。
前者はロックやポップスで、後者はクラシックやジャズで比較的よく使われます。
また、後述するチョーキングで音程アップした状態を維持しながらビブラートをかけることを「チョーキングビブラート」と言います。
チョーキング
チョーキングとは、左指で弦を押し上げる(または引き下げる)ことで弦の張力を上げ音程の変化を得る奏法です。
別名「ベンディング」ともいいます。(海外ではこちらが主流のようです。)
ベースの弦は非常に太いため、チョーキングの際にギターに比べて大きな力が必要になります。
そのため、使用はここぞというところにとどめた方が無難でしょう。
変化させる音程や求める効果によって様々な種類があります。
- チョーキング
- 半音チョーキング
- 1音半チョーキング(ベースではレア)
- クォーター・チョーキング
- チョーク・アップ/ダウン
- ダブル・チョーキング(ベースではレア)
- ハーモナイズド・チョーキング(ベースではレア)
チョーキング
7. チョーキング
音程を全音アップさせるチョーキングです。
8. 半音チョーキング
音程を半音アップさせるチョーキングです。
9. 1音半チョーキング
音程を1音半アップさせるチョーキングです。
弦の太いベースではあまり現実的ではありません。
10. クォーター・チョーキング
音程を1/4音アップさせるチョーキングです。
11. チョーク・アップ/ダウン
チョーキングで音程が上がった状態でピッキングすることを「チョーク・アップ」、ピッキング後に通常音に戻すことを「チョークダウン」といいます。
12. ダブル・チョーキング
全音分の音程差がある2本の弦を同時にピッキングしたあと、低い方をチョーキングして高い方と同じ音程までアップさせることでユニゾンさせるテクニックです。
別名「ユニゾンチョーキング」ともいい、独特のうねりのあるサウンドを得ることができます。
ベースでは音が濁るため、あまり使いません。
■ 13. ハーモナイズド・チョーキング
一度に2本の弦をピッキングしながらチョーキングして、和音を演奏しながらチョーキングするテクニックです。
こちらも、ベースではレアな奏法となります。
その他の奏法
ここからは、その他の奏法について解説していきます。
ベースではあまり使わないテクニックもありますが、もちろん絶対にナシ!というわけではありませんので、念のためすべて載せておきます。
- ハーモニクス
- ピッキング・ハーモニクス
- ブリッジ・ミュート
- ライトハンド(タッピング)
- ブラッシング(ベースではレア)
- アーミング(ベースではレア)
- ピック・スクラッチ(ベースではレア)
- トレモロ
その他のアーティキュレーション
■ 14. ハーモニクス
12、7、5フレットなど倍音の出るポイントに指を軽く当ててピッキングすると弦の倍音のみを鳴らすことができます。
これを「ハーモニクス」といい、実音よりかなり高い音程、かつサスティンの長い独特のサウンドが出せます。
■ 15. ピッキング・ハーモニクス
実音をピッキングしながら、右手の親指を弦に軽く触れてハーモニクスを発生させるテクニックを「ピッキングハーモニクス」といいます。
■ 16. ブリッジ・ミュート
ブリッジ近くの弦に右手を乗せ、余韻をミュートしながら演奏するテクニックが「ブリッジミュート」です。
右手の乗せる位置によっては弦の振動を止めてしまい、音が鳴らなくなるため注意が必要です。
■ 17. ライトハンド(タッピング)
左手のみではなく右手の指も加えてハンマリングやプリング、トリルを行うテクニックを「ライトハンド」または「タッピング」と呼びます。
左手のみで行うよりも高速で複雑なフレーズが実現可能です。
■ 18. ブラッシング
左手で弦をミュート(消音)した状態で弦をピッキングして「ポコッ」とした音程感のない音を鳴らすことを「ブラッシング」と言います。
ベースではレアなテクニックです。
■ 19. アーミング
アームを用いて音程の変化を得ることを「アーミング」といいます。
非常にレアなアーム付きのベースのみで使用することができます。
音を弾いた後にアームバーを操作することでビブラートをかけたり音程を下げたりすることが出来ます。
(セッティングを工夫すれば音程を上げることも可能。)
チョーキングでは不可能な下げ方向の音程変化をつけることが出来ますので、独特のニュアンスを持つ表現が可能です。
■ 20. ピック・スクラッチ
低音弦の巻線に対してピックが垂直になるように当て、弦上を擦ってノイズを出すテクニックを「ピック・スクラッチ」といいます。
ベースではそこまで効果的ではありませんので、ギターに任せた方が無難です。
■ 21. トレモロ
オルタネイトピッキングを高速で繰り返して持続音を奏でるテクニックを「トレモロ」といいます。
ギターは減衰楽器ですので何もしないと音が消えていきますが「トレモロ」を使うことで音を伸ばすことができます。
マンドリンなどの弦楽器で多用されるテクニックでもあり、民族楽器っぽいアプローチにも使えます。
まとめ
というわけで、ベースの各種アーティキュレーションについてご紹介しました。
これらのアーティキュレーションについて理解を深めておくことで、打込みでの再現度も格段にアップします。
演奏動画も参考にしながら、それぞれのテクニックを明確にイメージできるようトレーニングしていきましょう。
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