自然なコード進行と密接に関わる「和声リズム」を理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、「和声リズム」について解説していきます。
- 和声リズムとは?
- 和声リズムの影響
- 和声リズムを使って進行力をコントロールする方法
和声リズムとは、その名の通り和音の変化に伴って感じるリズム感のことです。
自然なコード進行は、コードの連結だけでなく和声リズムにも大きく影響されますので、しっかりと学んでいきましょう!
和声リズムについて
和声リズムとは?
和声リズムとは、その名のとおり「和音の変化を通して感じるリズム」のことです。
一般的にはあまり知られていませんが、実はリズムにはいくつか種類があり、ドラムやパーカッションなどのリズム楽器が生み出す直接的なリズムのほか、「旋律リズム」「和声リズム」という2種類のリズムがあります。
それぞれ、以下の通りです。
- 旋律リズム=旋律の動きによって感じるリズム
- 和声リズム=和音の変化を通して感じるリズム
言葉でご説明するよりも実際に聞いていただいた方がわかりやすいと思いますので、譜面と音で解説していきましょう。
和声リズムの影響
まずは以下の譜面をご覧ください。
いずれも四分音符でリズムを刻んでいる譜例ですが、パターン1は終止「C」のコード、パターン2は2拍ごとに「C→G→C」とコードが変化、さらにパターン3では1拍ごとに「C→G→C」を繰り返しています。
パターン1
パターン2
パターン3
この3つを聞き比べてみると、和音の変化が細かくなるほど楽曲の進行力が増していることがお分かりいただけると思います。
同じリズムでも、和音が変化することによって感じるリズム感が変わってくるということなんですね。
実際には、以下のような現象として捉えることができます。
- 和音の変化ナシ = 安定、停滞
- 和音の変化アリ = 不安定、進行力増
つまり、楽曲の進行力をコントロールする上で、通常のリズムだけでなく、和音の変化も重要な役割を持っているということです。
このことを理解しておかないと、
- しっかりリズムを刻んでいるのになぜか停滞感がある
- おとなしいリズムのはずなのになぜか落ち着きがない
といった問題が発生しかねません。
楽曲の進行力は、和音の変化にも大きく左右されるということを覚えておきましょう!
和声リズムを使って進行力をコントロールする方法
ここからは、和声リズムを活用して、楽曲の進行力をコントロールするテクニックをご紹介していきます。
先ほどお伝えした通り、音楽は和音の変化が少なければ安定・停滞し、逆に和音の変化が多ければ不安定になり、進行力が増します。
ですから、楽曲を安定させたいのか、はたまた先へ先へと進む力をもたせたいのかによって、和音の変化をコントロールしてあげれば良いわけですね。
楽曲を安定させたい場合
楽曲の締めくくりなど、どっしりと安定感のある印象に仕上げたい場合には、和音を変化させないようにしましょう。
とくに、トニックの和音(中でもIの和音)を繰り返すことによる安定感は計り知れません。
例えば、クラシックの交響曲で楽曲の最後に使われる以下のようなパターンがあります。
最後何度も押しよせるトニックの嵐によって楽曲の安定感が最高潮に達し、「終わった〜!」感を演出していますよね。
このように、意図的にトニックを連続させることで、楽曲に安定感を与えることができます。
楽曲を進行させたい場合
楽曲の進行力を高めたい場合には、和音を停滞させず積極的に変化させてあげましょう。
違う和音に進行することはもちろん、転回形へ変えてあげるだけでも停滞感が薄れます。
とくにドミナントの和音は、不安定なトライトーンを持つ影響からトニックへの解決を強く望む和音です。(それこそが進行力の源泉です。)
コード進行の中に程よくドミナントモーションを組み込んであげることで、楽曲が先へ先へと進もうとする力が強まります。
また、ドミナント前にサブドミナントの和音をインサートしながらバリエーションに富んだコード進行を組み立てるのも効果的です。
ドミナントは不必要に連続させない
前述の通り、ドミナントはトニックへの解決を強く望む性質があります。
にも関わらず、ドミナントを何度も繰り返してしまうと、いつまでたってもモヤモヤが解決せず、ストレスたっぷりのコード進行になってしまいます。
ドミナントから一向に解決しないパターン
きちんと解決したパターン
両者を聞き比べていただくと一目瞭然ですね!
ドミナントは和音自体が強い進行力を持っているので、不必要に連続させないよう心がけましょう。
まとめ
というわけで、和声リズムについて詳しく解説しました。
自然で気持ちよく流れるコード進行を作る上で、和声リズムへの理解は欠かすことができません。
常に頭の片隅に置いておくようにしましょう!
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