音楽!映像!ゲーム!プロ作曲家を目指す上で知っておきたい、業界による体質の違い!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介(@Ken_Inage)です。
ぼくは普段、ゲーム音楽、アニメ劇伴・キャラクターソング、アーティストさんへの楽曲提供などなど、いろんな業界からお仕事をいただいているわけですが、業界によってその体質は様々。
これらの違いを知っておくといざプロになった際に役立つことも多いと思いますので、今日はそんなお話をお届けします。(いささかぼくの主観も含みますがご了承ください。)
「芸能」か「映像」か「IT」か?
我々にとっては同じ「作曲」の仕事でも、クライアントさんの業界によってその体質は全くといっていいほど違ってきます。
各業界を大きく分けると、以下の3つに分類することができます。
1)芸能(アーティストさんへの楽曲提供など)
2)映像(劇伴、CMなど)
3)IT(ゲーム、アプリなど)
アーティストさんへの楽曲提供など、音楽業界からの仕事は芸能色が強く、クライアントさんも業界気質の方が多い印象。
一方、劇伴やCMなどの映像業界はクリエイター色が強い印象ですね。クライアントさんやスタッフさんも職人気質の方が多い業界だと感じます。
最後にゲーム業界ですが、ここは数あるエンタメ業界の中でも異質。ソフトウェアメーカーという点で、エンタメ業界というよりIT業界に非常に近い体質だと感じています。
音楽業界=芸能気質
音楽業界というのは、良くも悪くも芸能気質。
アーティストさんをマネジメントするのは芸能事務所ですし、音楽作品を製作・販売するのはレコード会社ですから、当然といえば当然ですね。
この業界、いろんな意味で大雑把です(笑)。
・業務委託契約書を交わさない
・ギャラは仕事が終わるまで提示されないことも
・発注者都合のキャンセルでもギャラなし
などなど、作曲家とってはなかなかキビシイ条件が慣例としてまかり通ってることも少なくありません。
また、この業界特有の面白い特徴として、連絡手段は十中八九「電話」だという点が挙げられます。
ぼくは普段いつもケータイを「おやすみモード」にしてるくらい電話ギライな人間なので、あまりこの業界向いてないですね・・・。
映像業界=クリエイター気質
映像業界は、比較的クリエイター気質が強い業界です。お金とか納期とか細かいことはあまり気にせず、とにかくクリエイティブに行こう!といった印象。
その原因として考えられるのは製作委員会制によるものが大きいと思ってます。
映画やアニメなどは作品ごとに製作チームが組織され、会社や所属関係なしに都度さまざまなクリエイターが招集されるわけですね。
それぞれの分野のプロフェッショナルが、自分の持ち場に全力を注ぐといった働き方が通例なので、全体の予算やスケジュール感を俯瞰したものづくりというより、各セクションがそれぞれプロの技術を最大限発揮する現場のように見えます。
そういった体質もあってか、映像がスケジュールギリギリで上がってくることも多いので、最後の工程であるサウンド業務はその煽りをモロに受けることもしばしば。
とはいえ、このクリエイター気質の空気感、ぼくはすごく好きです。寝食惜しんで良い作品生み出すべく奮闘するのは、クリエイターなら当然ですからね。
ゲーム業界=IT気質
ゲーム業界というのは、いわばソフトウェアメーカー。働き方はIT企業のそれと大きく変わりませんので、体質的にはかなりきっちりしてます。
予算や納期には極めて厳格。一般的なソフトウェアメーカー同様、工数も「人月」によって管理されてますから、極力無駄を省きながら効率よくクォリティを高めていこうという姿勢が見られます。
また、
・業務委託契約書、機密保持契約書は必ず交わす
・まずは見積書を提出してから予算交渉
・発注書もかなり細かく作られる。
・連絡手段はメールまたはチャットツール
などなど、この部分だけ見ても相当キッチリしてるのがわかりますよね。
ぼくにとっては古巣の業界だけあって一番仕事がやりやすい業界でもあります。(性格的にも向いてると思う。)
一見するといいことばかりに見えるゲーム業界ですが、もちろんデメリットもあって、原則「買取り」だということです。
ゲーム本体での使用に関しては著作権使用料が支払われることはマレなので、とにかく働かないと収入にならないのが辛いところではあります。
この辺りは他の仕事でカバーですねぇ。
まとめ
いかがだったでしょうか?
音楽業界にせよ、映像業界にせよ、ゲーム業界にせよ、それぞれの特徴をしっかり理解した上で、臨機応変に対応できる力を持っておくと、プロになった時に重宝されるかと思います。
どの業界と取引をするにしても、必ずメリットもあればデメリットが付きまとうものですから、しっかりと特徴を把握して自分にあった業界を選んでいきたいもんですね!
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