ホーンセクションのボイシング応用編!5管以上の大編成&特殊なボイシングを学ぼう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
前回に引き続き、今日は5管編成以上の大きなホーンセクションのボイシングを解説します。
多少高度な内容を含みますので、基礎を知りたい方は、まずは一度前回の記事をしっかりとご覧になることをオススメします!
それでは、今日も張り切って学んでいきましょう!
5管編成以上のコードボイシング
5管編成のコードボイシング
5管編成では、前回ご紹介した「4ウェイ・クローズ」を応用してボイシングを行なっていきます。
クローズドボイシング(ダブル・リード)
5管編成のクローズドボイシングは、4ウェイ・クローズのトップノートを1オクターブ下に追加することで完成します。
トップノートがオクターブを形成することから、別名「ダブル・リード(Double Lead)」とも呼ばれます。
(木管楽器のダブルリード(Double Reed)と似ていますが全く別モノです。)
テンションの組み込み
ダブル・リードのボトムの音を置き換えることで、簡単にテンションを組むこともできます。
ホーンセクションのボイシングでは多用されますので覚えておきましょう!
ドロップ2
ドロップ2は、クローズドボイシングの上から2番目のノートを1オクターブ下げて作ります。
4管編成同様、ドロップ2状態の上から2番目のノートをテンションに置き換えることも可能です。
トップノートがテンションの場合
トップノートがテンションの場合は、トップとは異なるテンションをボトムに組み込みましょう。
例:トップが#9の場合は、ボトムはb9にするなど
こうすることで、より複雑なテンションコードを作っていくことができます。
ドロップ2&4
ドロップ2&4においても、クローズドボイシングの上から2番目と4番目のノートを1オクターブ下げて作ります。
新たに生成された上から2番目のノートをテンションに置き換えるテクニックも使えます。
トップノートがテンションの場合の扱いは、ドロップ2と考えてオッケーです。
6管編成のコードボイシング
続いて、6管編成のボイシングについて解説していきます。
こちも4ウェイ・クローズを発展させることで簡単に作ることができます。
クローズドボイシング
6管編成のクローズドボイシングは、4ウェイクローズを形成する上2つの声部をオクターブ下げて追加します。
オミット2
6管編成のオープンボイシングでは「オミット2」と呼ばれる形を採用します。
作り方は、4ウェイクローズの状態から一度ドロップ2を作り、その上2つの声部をオクターブ下げて追加することで完成です。
結果として上から2番目のノートのみオミット(省略)された形になることから、この名前がついています。
8管編成のコードボイシング
8管編成のコードボイシングは、4管編成のボイシングをそのまま使用することがほとんどです。
8管編成では、ブラスとサックスがそれぞれ4本ずつ含まれる形が基本です。
- 4本のブラスセクション(Tp×3 + Tb)
- 4本のサックスセクション(A.Sax + T.Sax×2 + B.Sax)
ですから、まずはブラスセクションで4ウェイクローズ、または4声のドロップ2を作り、サックスセクションはそれと全く同じ形で重ねるか、あるいはトップノートをずらした転回形で重ねることでボイシングが完成します。
4管編成のボイシングについては、こちらの記事をご覧ください。
特殊なコードボイシング
ここからは、少し変わったボイシングをご紹介していきます。
スプレッド・ボイシング
スプレッドボイシングは、和声学のバス課題のような形で下から音を積み上げるボイシング方法です。
基本は以下の形になります。
- 一番下の声部はルートを演奏
- 内声は3rdと7thを演奏
- トップノートは5th、またはテンションを演奏
和声学同様、各声部はできる限り近しいノートへ移動して、滑らかにつながるよう意識しましょう。
和声学の基本についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、合わせて参考にしてみてください。
ボイシング・イン4th
通常コードは3度の堆積で作られますが、4度間隔でボイシングしたものを「ボイシング・イン4th」といいます。
作り方のルールは以下の通りです。
- ルール1:コードスケールに沿ってトップノートから順に4度下の音を重ねる
- ルール2:アヴォイドノートが出てくる場合は、その部分のみ3度に変更
- ルール3:各声部間で短9度(b9)の音程が形成されることは避ける
- ルール4:ドミナントコードはトライントーン(3rd&7th)を必ず含める
少々難解に見えるかもしれませんが、アヴォイドさえ避けてあげれば、原則4度間隔でボイシングするだけのシンプルなものです。
また、譜例は5管編成を想定していますが、3管や4管でも同じ考え方で作ることができますし、6管の場合は、5管のトップノートをオクターブ下で重ねてあげればオッケーです。
通常のコードでは得られない複雑な響きを得ることができますので、ぜひチャレンジしてみてください!
まとめ
というわけで、ホーンセクションのボイシング応用編をお届けしました!
少々難しい内容も含みましたので、まずは3管、4管のボイシングをしっかりマスターして、5管以上のアレンジにもチャレンジしたいと思った際に改めてご覧いただく形でも構いません。
とはいえ、譜例を一通り打ち込んでみるだけでも勉強になると思いますので、ぜひご活用いただければ幸いです!
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