プロ作曲家になるには「個性(=作家性)」が必要?それってホント!?

こんにちは、作曲家・稲毛謙介(@Ken_Inage)です。
今日は、「作曲の仕事をするうえで「個性」は必要なのか!?」という、ある意味永遠のテーマともいえる課題について考えてみようと思います。
※ここでいう「個性」とは、作品の独自性(=作家性)のことをさしています。以後「個性」という単語はすべてこの意味で使います。
作曲家になりたい!という若い子たちの話をきいていると、
「個性がないと作曲の仕事ってできないと思うんですけど、なかなか個性がみつけられなくて・・・。」
という相談をうけることもしばしば。
聞くところによると、どうやら専門学校の先生にそう教えられたというケースがあまりに多くてびっくりしてるんですが、はたしてそれって本当にそうなんでしょうか・・・?
今日はそのことについてぼくの考えをまとめてみようと思います。
プロ作曲家になるには「個性」が必要?それってホント!?
作曲家になるには「個性」が必要か?
その問いに対して、ぼくは「必ずしもそうではない」とお答えしています。
たしかに、作曲家の道を志すライバルたちとの差別化をはかるという意味では、
- 自分自身の強み
- 自分にしか表現できない作風
- 自分だけのマル秘テクニック
などが強力な武器になってくれることは事実です。
個性を持っていることは少なからずプラスに作用することは間違いないでしょう。
とはいえ、世の中の作曲仕事すべてにおいて「個性」が求められるかというと、そうでないケースも山ほどあるんです。
強烈な「個性」は邪魔になることも!?
「個性」は、あなたを特徴づける重要な要素である一方、強烈すぎる「個性」は邪魔になるケースも多いんです。
例えば、ドラマや映画、ゲームなどのサウンドトラック制作では、楽曲すべてが個性的である必要はありません。
というかむしろ個性的な曲ばかりだと困ります。
会話を主体としたドラマシーンなど、音楽の印象よりもシーンの雰囲気が重要な場面では、楽曲が個性的すぎると悪目立ちしてしまいます。
それに、何よりも重要な音素材であるセリフの邪魔になってしまうこともしばしば。
また、お仕事の中には、クライアントさんが用意した参考曲の雰囲気をできるかぎり踏襲しながら制作するといった案件も少なくありません。
この場合、参考曲を無視して自分の個性を炸裂させてしまうと、当然ながらクライアントさんが求めている音楽とはかけ離れたものになってしまうわけですから、オーダー内容にそぐわない楽曲を提出することになってしまいます。
つまり、必ずしも「個性」が必要なお仕事ばかりではないということをきちんと押さえておいてほしいんです。
「個性」は自在に出し入れできることが重要!
デキる作曲家というのは、自分の個性を前面に出すことも、逆に引っ込めることも自由自在にできるものです。
必要なときにはしっかり「個性」を発揮して印象深い音楽を書くことができるし、必要がなければそれを抑えこむこともできる。
これこそがプロに求められる技術なのではないかと思います。
それに、「個性」というのは、手法やテクニックなど表面的な手段によって作り上げるものではありません。
長い年月、数多くの音楽を書きつづける中で、少しずつ身に付いた「趣向」や「クセ」が積もりつもって、やがてその人の作品に「個性」を与えていくものだと思っています。
このようにして身に付いた「個性」というのは、一朝一夕でマネできるものではないし、決してだれにも奪われるものではありません。
ぼくのお師匠さん、冨田勲先生はこのようにおっしゃってました。
「個性なんてたくさん曲書いてりゃ自然と身につくから、気にしなくていいよ!」
まさにおっしゃるとおりだとおもいます。
ですから、もしあなたが「個性」がみつからず悩んでいるクリエイターさんなのだとしたら、無理に「個性」みつけようと躍起になるのではなく、今は着実にウデを磨きながら、なるべくたくさん曲をかいてみてはいかがでしょうか?
100曲も書けば、自ずと自分のクセや傾向が見えてくるものです。そして、その個性をしっかり分析して、自分の「趣向」「クセ」の正体をしっかり見極めましょう!
それができればこっちのもの!なにが自分の「個性」をかもし出している要素なのかを見極めてさえしまえば、あとはそれを意識的に出したり引っ込めたりするトレーニングをすればいいだけです!
まとめ
というわけで、今日は、作曲仕事にもとめられる「個性」について、ぼくなりの考えをまとめてみました。
今現在「個性」について悩んでいるクリエイターさんも、これからこの壁にぶち上がるクリエイターさんも、今日の記事を頭の片隅においといてもらえたら嬉しい限りです!
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