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異なるセクションの楽器同士の組み合わせ(=相性)を理解しよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日は、オーケストラにおける異なるセクション同士の楽器の組み合わせ(=相性)について解説していきます。

  • オーケストレーションにおける「相性」の定義
  • セクションごとの相性
  • 楽器ごとの相性
  • 演奏法で変化する相性

以前、同じセクション内での楽器の組み合わせ方について解説しましたが、今回はオーケストラ全体における楽器の組み合わせについて理解を深めていくことになります。

オーケストラの楽器はそれぞれ個性がある分、それらを組み合わせる際には「セクションごと」「楽器ごと」の相性を考慮する必要があります。

どのように組み合わせれば相性が良いのか?

しっかりと解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

異なるセクションの楽器同士の組み合わせ(=相性)を理解しよう!

オーケストレーションにおける「相性」の定義

まずは、「相性」という言葉がどんな状態を指しているのかしっかりと定義していきましょう。

ここでいう「相性」とは、簡単にいうと「音色の馴染みやすさ」のこと。

個々の楽器が持つ音色はそれぞれ異なるため、同じように組み合わせても「よく馴染む場合」と「分離して聞こえてしまう場合」があるということですね。

「相性」の良い楽器ほどよく馴染み、一体感を持ったサウンドを作りやすいという傾向があります。

ちなみに、この「相性」を考える上では以下の2つの条件も念頭にいれておいてください。

  • 極端な音量差がないこと
  • 極端な音程差がないこと

どんなに相性の良い楽器であっても、それぞれの音量差や音程差が極端な場合は当然馴染ませようがありません。

近しい音量で、かつ近しい音程(1オクターブ以内)において、どれくらい馴染みやすい音色なのか?

今日はそちらについて解説していきます。

また、1つ誤解しないでいただきたいことがございます。

それは、「相性が悪い = ダメなオーケストレーション」ではないということです。

「相性が悪い」ということは、裏を返せば「分離が良い」ということ。

ならば、その特性を活かして個々の音色が活きるようなオーケストレーションを施すことだって可能なのです。

様々な楽器の相性を理解することでオーケストレーション時の音色のコントロール力が格段にアップしますので、しっかりマスターしていきましょうね!

セクションごとの相性

それではいよいよ楽器の相性について解説していきます。

まずは、「セクション単位での相性」を見ていきましょう。

オーケストラを構成する「木管」「金管」「弦楽器」の3つのセクション。

それぞれの相性がどうなっているのかを図にまとめましたのでご覧ください。

簡単にまとめると以下のような形になります。

  • 木管+金管 = 相性◎
  • 木管+弦楽器 = 相性◎
  • 金管+弦楽器 = 相性△(ホルンは除く)
  • 木管+金管 + 弦楽器=相性○

これを見ると、木管はその他いずれのセクションとも非常に相性がよいことがわかります。

木管+金管

木管+弦楽器

一方で、金管楽器はストリングスと組み合わせる場合には注意が必要

なんの工夫もせずに重ねるとどうしても分離して聞こえがちです。

ただし、ホルンだけはいずれの楽器とも馴染みやすい音色を持っていますが、そちらについては後述します。

金管+弦楽器

では、金管楽器弦楽器と馴染ませることができないかというと、もちろんそんなことはありません。

両セクションとも相性のよい木管楽器に間を取り持ってもらうことで、弦と金管を馴染ませることも可能になります。

木管+金管+弦楽器

金管+弦楽器だけの組み合わせよりも一体感が格段に増しましたね!

繰り返しになりますが、弦+金管の組み合わせが一概にダメというわけではありません。

あくまで「サウンドの一体感」を出したいならば避けた方が無難ということですね。

楽器ごとの相性

つづいて、楽器ごとの相性について解説していきます。

セクションとしては相性の良い(or悪い)組み合わせも、楽器別に考えると事情が異なるケースもあります。

その中でも、特に覚えておきたいのが以下の2点です。

  • ホルンの有用性
  • オーボエとクラリネット(特にクラリーノ音域)

ホルンの有用性

前述の通り、金管の中でもホルンだけは木管の助けを借りずとも弦楽器との馴染みがいいという特徴があります。

その秘密はホルンの持つ音色にあります。

こと柔らかいニュアンスで演奏した場合は木管楽器に近い音色を奏でることができます。

ホルンが木管楽器に近い音色を持っていることの裏付けとして「木管五重奏」という編成が挙げられます。

「木管五重奏」というと、木管楽器5本で成り立っているのかな?と思いきや・・・。

その編成はフルート」「オーボエ」「クラリネット」「バスーン」そして「ホルン」

それくらい木管楽器との親和性が高く、それが弦楽器との相性の良さにもつながっているわけですね。

木管五重奏の演奏

ホルンは金管楽器だが、木管アンサンブルに加わっても全く違和感を感じさせない馴染み具合。

オーボエとクラリネット

ホルンとは逆に、使用に際して注意が必要な組み合わせがあります。

それが「オーボエ」と「クラリネット」です。

両者は同じ木管楽器ですが、「オーボエ」と「クラリネット」の2つは馴染みがちょっとよくありません。

この2本の楽器を組み合わせると、お互いの持つ倍音構成からひときわ強い(=悪目立ちする)サウンドが生まれます。

そのため、アンサンブル全体のバランスを崩してしまうことも多く、一体感のあるサウンドを作るのには不向きです。

ただし、裏を返せばその分パワフルなサウンドを生み出せるという見方もできます。

音量・パワーで勝る金管楽器と木管アンサンブルを組み合わせる際には、あえてオーボエクラリネットをユニゾン(重複法)で組み合わせることで、金管楽器にも対抗しうるパワフルなサウンドを得ることもできます。

要は、特性を理解した上で効果的に使うことが何よりも重要というわけですね。

オーボエ+クラリネット

オーボエ+クラリネット+金管

演奏法で変化する相性

特殊な演奏法を用いて音色を変化させた結果相性が良くなるというケースも存在します。

そのような例をご紹介します。

金管ミュート+ヴィオラ

原則として弦楽器と金管楽器は相性が良くないことは前述の通りです。

ただし、ミュートを使った場合は事情が変わります。

じつは、金管楽器におけるストレートミュートのサウンドが、ヴィオラのもつ哀愁あるサウンドと馴染みがいいのです。

このように、演奏法による音色の変化とともに相性も改善される場合があることも覚えておきましょう。

ミュートによる金属質なサウンドがヴィオラとマッチする

まとめ

というわけで、異なるセクション同士の楽器を組み合わせる際の相性について詳しくお伝えしました。

オーケストラを構成する全ての楽器の相性を語るにはあまりにも膨大な時間が必要ですが、すくなくとも今日ご紹介したものは基礎知識としてしっかり覚えておいて欲しいものばかり。

美しく一体感のあるオーケストレーションを施す上で重要な知識となりますので、ぜひ今後の実践に向けてお役立ていただければ幸いです!

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