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オーケストラのモックアップ実践⑩:オーケストラパーカッション(打楽器)の打込みテクニック

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

モックアップの解説最後の記事となる今日は、打楽器のモックアップについて解説していきます。

  • 打楽器のモックアップ5ステップ
  • モックアップ5ステップのポイント

打楽器はそれぞれに独自の奏法があり、その音色も全くの別物ではありますが「叩くことで音が出る」という本質の部分は同じ。

今回は、そのようなすべての楽器に共通する根本的な部分についてレクチャーしていきます。

いくつかのポイントさえ押さえれば、多くの打楽器を迷うことなく打ち込めるようになりますので、そのコツをしっかり学んでいきましょう!

 

オーケストラのモックアップ実践⑩:オーケストラパーカッションの打込みテクニック

打楽器のモックアップ5ステップ

打楽器のモックアップについても、恒例の5ステップで解説していきます。

  • フレーズをベタ打ちする
  • 必要に応じて奏法にあった音色に置き換える
  • 発音タイミングをバラつかせる
  • ベロシティで音量と音色を調整
  • 必要に応じてエクスプレッションを調整

ぱっと見た印象では管楽器や弦楽器とさほど変わらない印象を持たれるかもしれませんね。

確かに大枠は同じですが、打楽器ならではの考え方・テクニックも丁寧に解説していきます。

イキイキとした演奏表現をする上で大切な要素が盛りだくさんですので、ぜひじっくり学んでみてください。

まずはベタ打ちと完成形の比較音源をお聞きください。

ベタ打ち

モックアップ済み

機械的な打込みから人間味あるイキイキとした演奏に生まれ変わりましたね!

それでは今回も各ステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:フレーズをベタ打ちする

まずはフレーズをベタ打ちしていきます。

このステップはどんな楽器も共通。

淡々と打ち込んでいきましょう。

ステップ2:必要に応じて奏法にあった音色に置き換える

次に、必要に応じて音色を置き換えていきます。

打楽器音源には、楽器ごとに頻繁に使用する奏法を中心に音色が収録されています。

楽器によりけりですが、根本的には以下の3点を中心に組まれていることが多いでしょう。

  • ヒット
  • ロール
  • チョーク

とくに「ヒット(=単発のショット)」はあらゆる打楽器に共通する演奏法。(そもそも「打」楽器ですからね。)

加えて、ロールやチョークなどの特殊な奏法を用いる楽器ではそれらの音色もサンプリングされています。

それぞれの詳しい説明は以下の通りです。

ロール

高速で連打することで擬似的に持続音を作り出す奏法です。

ヒットの音色を連打して同様の効果を得ることも可能ですが、スネアやタンバリンなど細かい音の集積でロールが構成されている場合再現が難しくなってしまいます。

したがって、別途用意されているロール専用音色を使うのが良いでしょう。

ノートの連打でロールを作った例

専用の音色で打ち込んだ例

なお、打楽器の打込みは「ヒット」が中心となるため、原則としてデュレーションの概念がありません。

ただし、ロール奏法に関しては擬似的に持続音を得るという特性上、デュレーションを適切な長さに調整する作業が必要となりますので覚えておきましょう。

デュレーションを調整した例

チョーク

シンバルやトライアングルなど、長い余韻を持つ打楽器は意図的に消音することもよくあります。

これを「チョーク」といって、そのための音色も用意されています。

余韻を消したい場合や、チョークを絡めたリズムパターンを演奏したい場合などには積極的に活用していきましょう。

合わせシンバル・通常のヒット音

合わせシンバル・チョーク音

打楽器の奏法については各種楽器法の記事で詳しくまとめていますので、合わせてご活用ください。

ステップ3:発音タイミングをバラつかせる

次に、ヒューマナイズ機能などを使って発音タイミングをバラつかせます。

打楽器も1つの楽器につき1人の演奏者が割り当てられますので、ある程度のバラつきを持たせることが肝要です。

特にスネアドラムやタンバリンなど特定のリズムパターンを刻むことが多い楽器では、バラつきの有無で印象がだいぶ変わります。

ポイントとしては、管楽器よりも気持ち控えめなバラつき具合に抑えること。

打楽器の音色はアタックがくっきりしているため、あまりにもバラつきが大きいと不自然な仕上がりになることも。

自然なバラつきを目指したはずが、ただ単にへたっぴな演奏になってしまった!

なんてことがないよう、繰り返し聞きながら適度なバラつき具合を模索していきましょう。

バラつきが大きすぎてヨレて聞こえる例

適度にバラつきを調整できた例

ステップ4:ベロシティで音量と音色を調整

打楽器を打込む上で最も重要なパラメータとなるのがベロシティです。

打楽器は原則として「打つ」という行為によって音を発音します。

したがって、前述のロールを除いては持続音を演奏することはできず、自然に減衰して消えるか、意図的にミュート(チョーク)して音を止めるか、いずれかの選択肢しかありません。

つまり、

  • 音の長さ(デュレーション)
  • 音の抑揚(エクスプレッション)

といった、これまで学んできたパラメータを積極的に使うことはできないのです。

このことから、打音の強度を決めるベロシティこそが打楽器を打込む際のキモとなります。

打楽器のベロシティ設定のポイント

ベロシティ設定のポイントは以下の通りです。

  1. アクセントとなる部分の音量を決める
  2. それ以外の音量を決める(一律でOK)
  3. 細かい音価の音量を少し下げる
  4. ベロシティヒューマナイズで全体をバラつかせる
■ 1. アクセントとなる部分の音量を決める

まずは、リズムパターンの核となるアクセント部分の音量を決めていきましょう。

パターンの中で最も目立つ音の音量を先に決めることで、パターン全体のバランスを考えやすくなります。

■ 2. それ以外の音量を決める(一律でOK)

次に、アクセント部分のベロシティを基準にそれ以外のベロシティを設定していきましょう。

細かい調整は後ほど行うので、一律で設定してしまってOKです。

音源や状況によりけりですが、アクセントのベロシティから「−20〜30程度」を目安に設定するとよいでしょう。

アクセント部分との間に十分なメリハリがついていて、かつ埋もれてしまわない適度なバランスを模索していくのがポイントです。

■ 3. 細かい音価の音量を少し下げる

さらに、細かい音価のベロシティを下げて自然な強弱をつけていきます。

例えば、解説に使用しているフレーズは8分音符主体のリズムに16分音符を絡めたリズムとなっています。

リズムの軸となっている8分音符単位のベロシティは触らず、それよりも細かい16分音符単位のベロシティを下げていくイメージです。

目安としては「−10〜15程度」ベロシティを下げるとよいでしょう。

こうすることで自然な強弱が生まれ、細かい音符を叩いている時の自然な脱力感を表現することにもつながります。

マシンガンエフェクト※を防ぐ効果もありますので、しっかりと調整していきましょう。

※【マシンガンエフェクト】打楽器音源を一定のリズム&ベロシティで連打した際に生じる機械的なサウンドのこと。マシンガンの発射音のように聞こえるためこのように呼ばれる。

■ 4. ベロシティヒューマナイズで全体をバラつかせる

最後に、ベロシティヒューマナイズ機能を使ってフレーズ全体のベロシティをランダマイズしましょう。

これまで発音タイミングの調整に使ってきたヒューマナイズ機能ですが、ベロシティに対して使用することもできます。

これにより、人間の演奏に近い微細な強弱の変化を付与することができます。

目安としてはベロシティの値が「±5」の範囲でわずかに変化するように設定するとよいでしょう。

これまでに調整してきた強弱のバランスは崩さず、自然なばらつきを出すことができます。

処理の結果、明らかに不自然になってしまったところは手動で調整すればOKです。

ステップ5:必要に応じてエクスプレッションを調整

最後にエクスプレッションを調整していきます。

この作業は、持続音であるロール奏法でのみ実施します。

難しいことは考えず、ご自身のイメージ通りのサウンドになるようエクスプレッションを書き込みましょう。

ティンパニやスネアでは、純粋なクレッシェンド、あるいは「fp(フォルテピアノ)」からのクレッシェンドなんかはよく見られるパターンですね。

このような明確な強弱表現を目指す場合は、しっかりカーブを書いてその効果を演出しましょう。

逆に、強弱表現に明確な意図がない場合は無理に細かく書き込む必要はありません。

まとめ

というわけで、打楽器のモックアップについて詳しく解説しました。

今日ご紹介したテクニックは、おおよそどの打楽器にもの当てはまる根本的なものとなっています。

基本に忠実に実践することで、様々な打楽器に応用できるようになっていきますので、しっかりと訓練しながらその技術を体得していってください。

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