弦楽器の楽器法①:ヴァイオリンの構造、音域、特徴を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日からはストリングスセクションの解説に入っていきます。
まずはストリングスセクション最高音パートである「ヴァイオリン」から。
- ヴァイオリンの概要
- 楽器の構造と発音の仕組み
- 音域と音色
- 得意なフレーズ、苦手なフレーズ
ヴァイオリンは、まさにオーケストラの顔といっても過言ではない最重要パート。
オーケストラという編成を名乗る上で絶対に欠かすことのできないものとなっています。
今日解説する内容は、ストリングスアレンジ&モックアップカリキュラムと共通する部分もありますが、オーケストレーションのために必要な知識をより深掘りしながら解説していこうと思います。
すでにストリングスカリキュラムをご覧になった方にも新しい発見があると思いますのでお楽しみいただければ幸いです!
弦楽器の楽器法①:ヴァイオリンの構造、音域、特徴を理解しよう!
ヴァイオリンの概要
オーケストラの要、ストリングスセクション。
中でもヴァイオリンは最も重要な存在、オーケストラの顔ともいえるパートです。
複数人で合奏することで生まれる透明感あるサウンドは、オーケストラにはなくてはならないものといえるでしょう。
ヴァイオリンは、初めて登場したとされる1550年ごろから現代に至るまで、その構造や形状はほぼ変わっていません。
そう考えると、最初から十分に完成された楽器だったことが伺えますね!
今日に至るまで、オーケストラや室内楽などさまざまな音楽を支え続けてきました。
ヴァイオリンの音を聴いてみよう
華麗で厳かなバッハの「パルティータ」
楽器の構造と発音の仕組み
次に、楽器の構造と発音の仕組みについて見ていきましょう。
楽器の構造
ヴァイオリンは、ひょうたんのような形をしたボディに弦を張るためのネックが取り付けられた形状。
サイズや演奏法こそ違えど、同じ弦楽器であるギターに似た構造をしています。
各部の詳細は以下の通りです。
また、ネックには「G」「D」「A」「E」にチューニングされた4本の弦が張られています。
オーケストラ全体のチューニングに使用する「A」の弦から調弦し、それを基準に隣り合う弦同士を完全5度でチューニングしていきます。
ボディには、弦を支えるための「駒」というパーツがあり、ここから振動をボディに伝達、内部で共鳴させる仕組みになっています。
発音の仕組み
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、いずれの弦楽器も発音の仕組みは全く同じです。
「弓」と呼ばれる棒状の道具で弦を擦ることで振動を作り出し、それをボディで共鳴させることで音を増幅させます。
ボディ内部で共鳴した音は「f字孔(エフじこう)」と呼ばれる穴から外に放たれ、我々の耳に届くというわけですね。
このようなメカニズムの楽器を、擦弦(さつげん)楽器と呼びます。
一方、指やピックを用いて弦を弾いて演奏するギターのような楽器を「撥弦(はつげん)楽器」と呼びます。
ヴァイオリンなどの擦弦楽器にも、指で弦を弾いて演奏する「ピチカート奏法」がありますが、あくまでメインは弓での演奏。
擦弦楽器に分類されることを覚えておきましょう。
音域と音色
次に、ヴァイオリンの音域とそれに伴う音色の特徴を見ていきましょう。
ヴァイオリンの音域は以下の通りです。
音域表に「ポジション」と書いてありますが、これは弦を押さえる左手のポジショニングのことを指しています。
左手を移動ながら弦を押さえる位置を調整。様々な音程を演奏します。
上図では第7ポジションまでの記載にとどめておりますが、実際はさらに高い音も演奏可能です。
しかし、それらの音域は演奏が非常に難しく音程も不安定になりやすい特徴があります。
そのため、複数人で同じフレーズの演奏を行うストリングスでは演奏が不揃いになりやすく、あまり実用的ではありません。
少なくともオーケストレーションにおいては上図の音域に留めておくのが無難でしょう。
4種の弦の特徴
ヴァイオリンに貼られた4つの弦には、それぞれ演奏上、音色上での特徴がありますので解説します。
オーケストレーションに不慣れなうちはどの弦を用いるかまで検討する必要はありませんが、弦ごとに異なる性格の音を持っているのは確か。
ですから、ある程度ヴァイオリンの扱いに慣れてきたら「どの弦で演奏するか?」までこだわってみるのもいいかもしれませんね。
とくに特徴的なのは第I線(E線)と第IV線(G線)なので、まずはこの2弦にフォーカスしてみるといいでしょう。
■ 第Ⅰ線(E線)
高音域を担当する弦です。
外側に位置する弦であるため弓の運動の制限が少なく、運動量の多いフレーズも非常に演奏しやすいのが特徴です。
また、音色もつややかで演奏表現の幅も多彩。
ヴァイオリンで華麗なソロを聴かせたい!と思ったら、この弦を中心にアレンジを考えてみると良いですね。
■ 第Ⅱ線・第Ⅲ線(A線,D線)
中音域を担当する弦です。
4つの弦のうち内側に位置する2本であるため、外側にある第I線・第IV線に比べると若干演奏しにくくなります。
(とはいえ、アレンジの際に気にするほどではありません。)
一方、第I線・第IV線に比べて落ち着いた印象のサウンドを持っていることから、そのような音色を求める場合は有効活用するのも手です。
■ 第Ⅳ線(G線)
ヴァイオリンの最低音域を担当し、第I線とは反対の外側に位置する弦になります。
4つの弦の中で最も太く、そのサウンドも力強い印象のものとなっています。
基本的には第III線以上では演奏不可能な低音域を中心に用いますが、あえて第IV線のハイポジションで高音を演奏すると、まるで男性歌手の高音域のような独特の緊張感をもつサウンドを得ることもできます。
J.S.バッハの『G線上のアリア』など、わざわざこの弦を使って高音域を演奏するよう指定されている楽曲、フレーズもあるほどです。
得意なフレーズ、苦手なフレーズ
最後に、ヴァイオリンの得意なフレーズと苦手なフレーズについて解説していきます。
得意なフレーズ
弦楽器全般の傾向として、苦手なフレーズはこれといってありません。
歌うような叙情的なメロディも、細かい高速のフレーズも、リズムの刻みも、なんでもそつなくこなすことができます。
とくに音程の跳躍に関してはズバ抜けて得意です。
4つの弦を使って演奏するという特性上、弦を変えるだけで簡単に跳躍できてしまうからです。
例えばピアノなどの鍵盤楽器では、大きな跳躍が伴うフレーズを演奏する場合には距離の離れた鍵盤に素早く移動しなければなりません。
しかしヴァイオリンでは、跳躍する音程の幅が必ずしも移動の距離に比例しないのです。
代わりに、「ポジション」の移動には意識を向けておく必要があります。
必然的に、大きなポジション移動が伴うフレーズは難易度が上がります。
オーケストレーションをする際にそこまで神経質に考えなくても大丈夫な場合も多いですが、どの弦のどのポジションでどの音が演奏できるかを知っておくだけでも、演奏しやすいフレーズを作ることができます。
苦手なフレーズ
ストリングスセクションでは、1つのパートを複数人で演奏するのが当たり前。
それゆえ注意が必要な奏法があります。
それがトリル奏法です。
弦楽器自体トリルは全く苦手ではないので使用をためらう必要はありませんが、1点だけ気をつけないといけないことがあります。
それは、音がぼやけるということ。
複数人の奏者が同時にトリルを行うと、それぞれのタイミングが微妙にずれて明瞭なトリルが得られません。
結果的に2音が同時になっているような聞こえ方になるため、その点だけ注意しておきましょう。
まとめ
というわけで、ヴァイオリンについて詳しく解説しました。
その誕生から500年以上も、オーケストラの主役として活躍してきたこの楽器。
オーケストレーションを施す際にもっとも向き合う機会も多い楽器となりますので、その特徴について十分に理解を深めておいてくださいね!
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