あのときぼくは三流だった。若かりし頃のダサい失敗談。

こんにちは、作曲家・稲毛謙介(@Ken_Inage)です。
今でこそたくさんのお仕事をいただけるようになったぼくですが、その昔はプロの風上にもおけないようなダサ〜い作曲家でした。
いったい何がダサかったのか!?
その詳細も含めて、
- ダサかった過去の自分の失敗談
- そこからどうやって変わっていったか?
というエピソードをお届けします。
あなたが音楽に向き合う際のちょっとした気づきになってくれたら幸いです。
好きキライで選り好みしていた20代
今でこそどんなジャンルの音楽も選り好みせず聴くぼくですが、昔はそうじゃありませんでした。
ちょうどゲームメーカーに勤めて2〜3年の頃でしょうか。
当時はPS3が発売されて、ゲーム音楽もハリウッドさながらの大スペクタクルサウンドへ向かい始めたころ。
そんな中、ぼくの中でナゾのこだわりが生まれつつありました。
わっかりやすいメロはダサい!!書きたくない!!
ハリウッド映画のようなエピックなオーケストラでは、メロが立ってる曲がほとんどありません。
リフやリズムなどのバッキングで押し切る曲が多いんですね。
そういう曲調に憧れてたこともあってか、わっかりやすいメロ、濃ゆ〜いメロを頑なに毛ギライしてる自分がいました。
とくに、アイドルソングやアニソンなど、とにかくキャッチーなメロディを持つ楽曲を総じて「ダサい」と考えて、ゼッテー書きたくない!なんて思ってましたね。
よく、クラシック出身の人がロックやポップスをバカにしたりするといった話を聞きますが、そんなのはまだカワイイもんです。
ぼくがタチが悪かったのは、アイドルソングやアニソン以外はわりとなんでも好んで聴いていたこともあって、そもそも自分が偏った趣向をもってるという自覚すらなかったということ。
むしろ自分はいろんなジャンル聴いているし、理解を示している方だと勘違いしてました。
ですが、今考えれば「ダサい」のはぼく自身だったわけですね。
考えを改めたきっかけ
そんなぼくが、前述のダサいマインドを払拭することになったきっかけは、ゲームメーカーを退職して独立してからのこと。
とあるお仕事でクライアントさんから提示された参考曲の中に、人気アニメの主題歌が含まれてたんです。
当時は仕事を選べる立場でもありませんでしたから、好きキライいってる場合ではありません。
どんな曲であろうとバッチリ対応して、クライアントさんの信用を勝ち取らなきゃいけませんからね!
「依頼を受けた以上、最高の曲を作ってやろう!!」
そう心に決めたぼくは、どうすれば参考曲のような仕上がりになるのかを研究しはじめます。
研究してわかったアニソンの精巧さ
研究すればするほど、あることに気がついていくことになります。
参考曲に散りばめられた斬新なギミックと、それを自然に聞かせることのできる高いアレンジ技術。
とても当時の自分にはマネできないような高度なテクニックに、ただただ感銘を受けることになります。
- キャッチーで一度聴いたら忘れないメロ
- 強引だけどひたすらアガる転調
- これでもかと連発されるキメのオンパレード
- ふんだん盛り込まれたギミックの数々
一聴するとかなりハチャメチャなんですが、これらの要素全部、リスナーさんの心を動かすのに最適なタイミングで絶妙にハメ込まれてるんですね。
(しかも破綻してない・・・!)
「こりゃすげぇや・・・。」と、完全に感服せざるを得ませんでした。
自分が「ダサい」と一蹴してしまっていたような楽曲が、ここまで高い技術と圧倒的センスに支えられて出来上がっているとは思いもよらなかった。
そしてぼくは、参考曲のみならず同種の曲を洗いざらい聞きまくっていくうちに、アイドルソングやアニソンの魅力に気づき、どんどん好きになっていったんです。
あらゆる音楽を受け入れて、ようやくプロになれた
それからは、音楽に対する視野がぐんと広がって、あらゆるジャンルの良いところを吸収していくことができるようになりました。
おかげで作曲やアレンジの引き出しがおどろくほど増えたと感じてます。
今ではそれらのテクニックを総動員して、オリジナルのアレンジテクニックなんかもいっぱい生み出してます。
2019年にリリースした『THEO』では、そのようなテクニックがてんこ盛りです。
なにより、印象的なメロディを作ることに死ぬほどこだわるようになりました。
今では自分のことをメロディメーカーだとすら思ってます。(ひとって不思議なもんですねw)
どんな音楽でも良いところや学ぶべきことがある!
それに気づいたときこそ、ぼくが「本当のプロ」になった瞬間だったのかもしれません。
ぼくの知る限り、トッププロたちはあらゆる音楽に対して寛容です。
どんな楽曲も素直に「カッチョいい!!」と認め、心の底から賞賛し楽しんでいる。
逆に、曲を選り好みするような音楽家は、結局は二流三流止まりになってしまっていることが多いように見えます。
ヒットしてる音楽、世間に受け入れられてる音楽には必ず理由がある。
そのことを謙虚に受け止めて、いいところを貪欲に吸収していくくらいの気持ちがないと、いつまでたっても成長できなかっただろうなぁと、今になってしみじみ思います。
まとめ
というわけで、過去のぼくの失敗談を綴ってまいりました。
プロたるもの、お客さんのニーズに応えてナンボです。
そのためにも、あらゆる音楽に精通してる必要があるし、選り好みなんてしてるうちはまだまだ三流なんですね。
どんな音楽にも学ぶべきところはたくさんあるし、それを知らないままでいることはすごくもったいないことだとも思います。
今日のお話が、少しでもあなたの音楽活動に役立てていただけたら嬉しい限りです。
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