まったく別モノ!?作り手目線のクォリティとリスナー目線のクォリティ。

こんにちは、作曲家・稲毛謙介(@Ken_Inage)です。
作曲家やサウンドクリエイターならばだれしもが一番に気にする、楽曲の「クォリティ」。
この「クォリティ」という言葉、じつは立場によって捉え方が全く変わるということをご存知でしょうか??
そんな「クォリティ」に対する解釈のちがいが、思わぬトラブルを生むことも。
今日はそんなお話をお届けしようと思います。
楽曲の「クォリティ」といったら何を連想するか?
あなたは楽曲の「クォリティ」といったら、真っ先に何を連想しますか?
ぼくの場合はやはり「サウンドクォリティ」です。
サウンドクリエイターならば、「クォリティ」といえば音質や出音そのものの品質を思い浮かべる人は少なくないかと思います。
しかし、音楽のクォリティというのは、サウンドクォリティだけで決まるものではありません。
・メロディラインの美しさ
・ハーモニーの美しさ
・アレンジの出来栄え
・演奏の精度
などなど、さまざまな要素に「クォリティ」という概念は存在しますよね!
音楽家の立場からみても、これだけの「クォリティ」の解釈があるわけですから、音楽家以外の人からみた「クォリティ」の解釈はさらに広がります。
立場が変われば「クォリティ」の意味も変わる
前項で挙げた「クォリティ」は、全てミュージシャン目線での「クォリティ」です。
一方、クライアントさんやリスナーさんなど、音楽の専門家ではない人が用いる「クォリティ」という言葉には、別な意味が込められていることが多々あります。
お客さんがいうクォリティと、クリエイター目線のクォリティでは、双方に微妙な解釈のズレがあるということです。
前述のような、クリエイター目線での「クォリティ」は、その分野における高い専門性と、それを聞き分ける耳を持ち合わせた人にしか判断できない領域なのです。
しかし、お仕事を発注してくださるクライアントさんや、一般のリスナーさんの多くは、音楽の専門家ではありません。
ゲームサウンドディレクターさんやレコード会社のディレクターさんなど、クライアントさんの中でも音楽の専門知識をもった方も少なからずいらっしゃいますが、そういった場合を除いては、お客さんが音楽の専門家であることは少ないんですね。
ですから、音楽の専門家から見た「クォリティ」と、そうではない人が感じる「クォリティ」の微妙なちがいを履き違えてしまうと、うまく意思疎通できずに困ってしまうことがあるんです。
音楽の専門家でない人にとっての「クォリティ」とは?
音楽の専門家でない人のいうクォリティとは、大体の場合、
1)いい曲かどうか?
2)コンテンツにマッチしているか?
この2点に限られます。(シンプル!)
ぶっちゃけ、アレンジや打込みの精度など、出音のクォリティのことをほとんど気にしていません。というより、そういった専門性が要求されるポイントまでは聞き取れないというのが正解でしょう。
彼らにとって、アレンジの完成度が高いか?サウンドクォリティが素晴らしいか?ということはさておき、単純に「めっちゃいい曲!」とか、「映像にめちゃ合ってる!雰囲気バッチリ!」のように思えるような楽曲でなければ、いかにサウンドクォリティが高かろうと「クォリティが高い」とは判断してもらえない可能性もあるということなんですね。
解釈の相違が産む、無用なトラブル
この解釈のちがいを理解しておかないと、無用なトラブルに巻き込まれることがあります。
例えばもし、あなたが何度か取引しているクライアントさんに
「以前の方がクォリティが高かったですねぇ・・・。」
といったリテイクをもらったとしましょう。(こんな雑なリテイクを投げてくるクライアントさんはいませんが、あくまで一例。)
ここでいう「クォリティ」の意味をクリエイター目線で判断してしまうと、
「うーん、最近音源もアップデートしたし、アレンジだってレベルアップしてるはずなのになぁ。絶対前回よりクォリティ上がってると思うんだけど・・・。なんで?」
というギモンに苛まれることになります。
しかし、クライアントさんがいう「以前の方がクォリティが高かった」という言葉の真意が、単純に「以前の曲の方が好みだった!」という意味だったらどうでしょう?
アレンジやサウンドクリエイトの問題でなく、単に曲の好きずきの問題ということがわかります。
あれやこれや修正するより、先方が好きそうな曲をイチから書き直した方が、素早く要望に答えられるということになりますよね!
こういうことが往々にしてあるんです。
だから我々はつねに
- 専門家目線でのクォリティ
- お客さん目線でのクォリティ
の両方をシビアに考えながら音楽制作に取り組むことがとっても重要なんですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
クリエイターたるもの、つねに最高のクォリティで楽曲を作りつづける気概は重要です。そこに一切に手抜きは必要ないと思います。
しかし、クリエイター目線での「クォリティ」ばかりに目を向けて、お客さん目線の「クォリティ」をないがしろにしてしまっては本末転倒。
幅広い意味での「クォリティ」につねに気をつけながら、制作に励みたいものですね!
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