サイドチェインコンプを使って、よりグルーヴィーなシンセサウンドを作ろう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介(@Ken_Inage)です。
今日は、シンセサウンドにアグレッシブなグルーヴをもたらす、サイドチェインコンプについて解説していきます。
- サイドチェインコンプとは?
- ダンスミュージックにおけるサイドチェインコンプの用法
- サイドチェインコンプがもたらす作用
- サイドチェインコンプの使い方
昨今のEDMでは欠かせないテクニックとなったサイドチェインコンプ。
上手に活用することで、よりグルーヴィーでノリの良いトラックを作ることができますので、しっかりと学んでいきましょう!
サイドチェインコンプを使ったプログレッシブハウスのDEMO
サイドチェインコンプの概要
サイドチェインコンプとは?
サイドチェインコンプとは、コンプレッサーの用法の一種、またはそれを用いたサウンドメイキングのテクニックのこと。
本来コンプレッサーは、インサートされたトラックの音を検知して作動しますが、サイドチェインコンプはインサートされたトラック以外の音をトリガーとして作動します。
例えば、ヴォーカルが鳴っている間だけバックトラックにコンプレッサーをかけて、ヴォーカルのヌケを良くするといった使い方があります。
バックトラックに対してコンプレッサーをインサートし、そのコンプが作動するトリガーとしてヴォーカルトラックを使用することで、ヴォーカルに合わせてバックトラックがダッキング※され、ヴォーカルをより鮮明に聞かせることができるというわけです。
※ダッキング = メインの音声が鳴っている間、他のトラックの音量をしぼることで、メインの音声を目立たせること。本来の意味は「身をかがめる」こと。
ダンスミュージックにおけるサイドチェインコンプの用法
ダンスミュージックでよく用いられるサイドチェインコンプの用法として、キックの音をトリガーとして、特定のパート(あるいはトラック全体)をダッキングするといったものがあります。
これにより、独特のウネリあるグルーヴィーなサウンドを作ることができます。
サイドチェインコンプ適用前
サイドチェインコンプ適用後
最近のEDMではよく聞くサウンドですよね!
サイドチェインコンプがもたらす作用
サイドチェインコンプを使うことで、2つのポジティブな作用を得ることができます。
- キックのヌケがよくなる
- 裏ノリ感が強調され、グルーヴィーなトラックになる
■1. キックのヌケがよくなる
キックが鳴っている間、他のトラックはダッキングされますので、必然的にキックのヌケがよくなります。
ダンスミュージック、とくに4つ打ち音楽において、キックのヌケ感はそのままフロアの心地よさ(踊りやすさ)に直結しますので、サイドチェインコンプは非常に重宝します。
サイドチェインコンプなし
サイドチェインコンプあり
■2. 裏ノリ感が強調され、グルーヴィーなトラックになる
キックをトリガーとしたサイドチェインコンプは、その作用によって裏拍が強調されるため、楽曲全体の「裏ノリ感」をより強固なものにしてくれます。
シンセベースの解説記事でお伝えしたとおり、ダンスミュージックはほぼ例外なく「裏ノリ」が命!
サイドチェインコンプを上手に使って、心地よい裏ノリ感を作っていきましょう。
サイドチェイン適用前
サイドチェイン適用後
サイドチェインコンプの使い方
ここからは、サイドチェインコンプの具体的な使い方について解説していきます。
使用するDAWやプラグインによって設定方法は若干異なりますが、基本となる考え方はどのような環境においても同じですので、参考にしてみてください。
ここではProToolsを使用して解説していきます。
サイドチェイン入力用のキックトラックを作る
まずは、サイドチェイン入力に使用するキックトラックを作りましょう。
可能ならば、サイドチェイン入力専用にダミーのキックトラックを用意すると良いでしょう。
その理由は以下の2つです。
- キックのリズムが変わっても一定のダッキング効果が得られる
- キックを抜いてもダッキング効果を維持できる
アレンジを進めていると、キックのリズムを一部分だけ変えたり、特定の場所だけキックを抜きたいこともあります。
サイドチェイン専用のダミートラックを用意しておけば、そのような場合でも一定のダッキング効果を得ることができるので非常に便利です。
サイドチェインコンプを適用したいトラックにコンプをインサートする
つぎに、サイドチェインコンプを適用したいトラックにコンプレッサーをインサートしていきましょう。
特定のトラックだけにコンプをインサートしても良いですし、トラック全体にかけたい場合は、それらをまとめたバストラックにコンプレッサーをインサートすればオッケーです。
キックトラックの出力をサイドチェインコンプにルーティングする
はじめに作ったダミートラックの出力を、コンプレッサーのサイドチェイン入力にルーティングしましょう。
ダミーキックトラックの音声はサイドチェイン入力のためにしか使用しませんので、ダミートラックのアウトプットをそのままコンプレッサーのサイドチェイン入力にアサインするだけでオッケーです。
※この工程の操作方法は、ご使用になるDAWによって若干異なると思いますので、それぞれのDAWのマニュアルをご覧ください。
パラメータを調整する
最後に、コンプレッサーのパラメータを調整していきます。
劇的な効果を得たいのであれば、
- レシオは高め
- スレッショルドは深め
にセッティングするのが良いと思います。(あっさりかけたいならその逆ですね。)
アタックやリリースは曲のテンポ感やグルーヴによっても変わってきますので、楽曲やトラックに合わせて適宜気持ちの良い値を探ってみてください。
がっつりかけた場合
ゆるめにかけた場合
まとめ
というわけで、昨今のダンスミュージックには欠かせない、サイドチェインコンプについて解説しました。
サイドチェインコンプを使うだけで、曲のグルーヴ感が劇的にアップしてノリノリなトラックに仕上がりますので、ぜひご自身の環境で使いこなせるよう研究してみてくださいね!
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