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木管アンサンブル②:木管アンサンブルのアレンジ実践テクニック!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日は、前回に引き続き木管アレンジ実践テクニックをお届けします。

シンプルなメロディとコードから木管アンサンブルを完成させるまでの一連の流れを詳しく解説。

  • オーケストレーションの大原則
  • 木管アンサンブルのアレンジ手順
  • 具体的なアレンジテクニック

前回学んだアレンジの基礎を使いながら、華やかで軽快な木管アンサンブルを完成させるための具体的なテクニックをご紹介します。

なお、前回の記事をまだご覧になっていない方は、先にそちらをお読みくださいね。

 

木管アンサンブル②:木管アンサンブルのアレンジ実践テクニック!

オーケストレーションの大原則

オーケストレーションを行う際に覚えておいてほしい大原則があります。

それは、「全てのパートに違うことをやらせなくてもいい」ということ。

オーケストラはパート数がとんでもなく多く、木管セクションだけでもすでに8パート。

それに面食らってしまい、なにをどうすればよいのか迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

ですがご安心ください!

なにも、すべてのパートに異なる役割を与える必要はないんです。

例えば、以下のような割り当てでも全然OK。

とてもシンプルですが、これも立派な木管アンサンブルなんですね。

加えて、パートをお休みさせることだって立派なオーケストレーションであることも覚えておきましょう。

むしろ、楽器がたくさんあるからこそ、一部お休みを作ることでメリハリをつけることができるわけです。

有名なオーケストラ曲を聴いてみるとわかりますが、すべてのパートが常時違うことやってる楽曲、全ての楽器がずーっと鳴り続けてる楽曲などほぼ存在しません。

ですから、肩肘張らずに気軽にチャレンジしていきましょう!

木管アンサンブルのアレンジ手順

ここからは、木管アンサンブルのアレンジ手順について解説していきます。

何にしてもそうですが、ゴールまでの道筋を明確にしておくのは大事ですからね。

木管アンサンブルでは、以下の順番で着手していくとよいでしょう。

【木管アンサンブルのアレンジ手順】

  1. メロディとコードを用意する
  2. 伴奏リズムを作る
  3. 楽器を割り当てる
  4. 装飾して華やかなアレンジに仕上げる

それぞれ詳細を解説していきます。

■ 1. メロディとコードを用意する

オーケストレーションを行うためには、まずは元となるアイディア、すなわちメロディとコードが必要です。

今回の記事の解説にあたって、以下のような楽曲を用意してみました。

木管の得意分野を活かした軽快な楽曲をイメージして書きましたが・・・。

現時点では伴奏がただの白玉。

何もリズムがついていないので、現時点ではあまり軽快な印象はないですよね!

ということで、ここからどんどんアレンジを進めていきましょう。

■ 2. 伴奏リズムを作る

次のステップでは、ピアノでリズムパターンを作っていきます。

実際のオーケストレーションを行う前に、ピアノだけを使って全体像を作っていく行程を「スケッチ」と言います。

この時点では、まだ木管楽器への置き換えはしなくてOK。

ご自身の中に明確なオーケストレーションが浮かんでいるならその限りではありませんが、それは中級&上級者のレベルのお話。

不慣れなうちは、必ずスケッチを作って下書きをしておくのがオススメです。

今回は軽快なアレンジに仕上げるべく、伴奏で細かくリズムを刻んでみました。

■ 3. 楽器を割り当てる

スケッチが完成したところで、いよいよ楽器の割り当てをしていきます。

現状のスケッチは以下の4つの要素が含まれています。

  • メロディ
  • コード
  • ベース
  • リズム

これら4つの役割をどの楽器に割り当てるか考えていきましょう。

例えば以下のような感じではいかがでしょう?

メロディ、およびコード&リズム担当はそれぞれ複数人ずついるので、前回の記事でご紹介した楽器の重ね方を使って配置していきます。

今回は一例として、交叉法を中心とした重ね方でまとめてみました。

メインメロディとハモリパートでは、交叉法と重複法の合わせ技でアレンジしています。

これにより、楽器同士の音色をなじませつつメロディを目立たせるのが狙いです。

しかし、このままでは後半のオーボエの音域が高すぎるという問題が発生しましたので少し調整します。

音域問題をクリアするため、楽曲後半部分は堆積法に切り替えて、「メロディ=フルート」「ハモリ=オーボエ」とシンプルに配置してみました。

それにより、前半にくらべてフルートとオーボエがよりくっきりしたのがお分かりいただけますでしょうか?

ちなみに、問題の小節だけ音の重ね方を変えてしまうと前後のつながりが不自然になりますので、必ずフレーズ頭から処理しましょう。

ユニゾンにおける注意点

いずれの木管楽器おいても2本だけでユニゾンさせるのはあまり効果的ではありません。

ユニゾンさせれば必ずリズムやピッチなどに微細なズレが生じますが、2本だとそれが悪目立ちしてしまうんです。

逆に、3本以上のユニゾンならばそのあたりは気にならなくなります。

先ほどのアレンジで、ベースをバスーン2本でユニゾンさせなかったのにはそのような理由があります。

メロディパートでは、ハモリまで含めて4本のパートがいますからその心配はありませんね。

■ 4. 装飾して華やかなアレンジに仕上げる

ここまでの過程でも十分木管アンサンブルらしい楽曲になりましたが、さらにもう一手間加えることでより華やかなアレンジに仕上げることができます。

そんなワンポイントテクニックを、今回は3つほどご紹介しましょう。

  1. お飾りのフレーズを加える
  2. トリル奏法を使う
  3. 駆け上がり(下がり)を使う

1. お飾りのフレーズを加える

伴奏のリズムを中心に、ちょっとした細かいフレーズを散りばめることで木管らしさが増します。

2. トリル奏法を使う

木管のトリル奏法は、その鮮やかな音色も相まって楽曲を華々しく盛り上げてくれます。

メロディの白玉部分はもちろん、フレーズ途中の短いフレーズにさりげなくトリルを混ぜ込むと華やかさがグッとアップします。

3. 駆け上がり(下がり)を使う

木管はスケールの演奏が大得意!

その特徴を生かした駆け上がり(下がり)のフレーズを取り入れるのも効果的です。

そのとき、音を伸ばすパートと駆け上がり(下がり)を入れるパートを分けてやるとメリハリがついて躍動感のあるアレンジに仕上がります。

まとめ

というわけで、木管アンサンブルのアレンジ実践テクニックについて詳しく解説しました。

8パートもある木管セクションですから、その組み合わせの数だけアレンジの可能性があります。

今日の記事を参考に、ご自身でさまざまな組み合わせを試しながら理解を深めていただければ幸いです。

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