エフェクターの基礎知識番外編:アナライザーの基礎を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師の鎧都万雄大です。
今日は、エフェクターの基礎知識番外編としてアナライザーの基礎知識について解説していきます。
- アナライザーとは?
- アナライザーを使うメリット
- アナライザーの種類と使用目的
アナライザーは音にまつわる情報を視覚的に表示してくれるツール。
サウンドに変化を与えるものではないため正確にはエフェクターではありませんが、ミックスや音作りの際に手元にあると心強いツールでもあります。
その種類も多岐にわたりそれぞれ使用目的も異なりますので、正しく使えるようしっかりと学んでいきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
エフェクターの基礎知識番外編:アナライザーの基礎を理解しよう!
アナライザーとは?
アナライザーは、音を視覚的に確認できるツールです。
最近では、各種エフェクターのようにプラグインやスタンドアローンソフトウェアとして入手することができます。
様々な種類のメーターがあり、それぞれに確認できる情報が違います。
原則として情報がリアルタイムに表示され、製品によってその詳しさや見た目が変わります。
なお、音を視覚的に確認できることは問題点の把握や予測に役に立つのですが、音を扱う以上最終的な判断は耳で行うべきです。
あくまでアナライザーは補助的なものとして捉え、「最終的に出てきた音に問題がないか」を判断できる耳を養うことが最も重要なトレーニングであることも付け加えておきます。
アナライザーを使うメリット
アナライザーを使うメリットは、耳では判別しにくい問題を見つけることができる点です。
ご自宅でヘッドフォンを使いながらMIXをする方も多いと思いますが、50Hz以下の超低域をヘッドフォンだけで聴きとるのはむずかしいでしょう。
低域というのはもともと聴感上の存在感は薄いため、仮に音量が大きかったとしても他の音より聴こえにくくなっています。
音楽など、それ以外の可聴域すべての音が鳴っている中ではなおのことです。
そんなとき、低域が出過ぎていないか(or 不足していないか)という判断をする上でアナライザーが大いに役立ちます。
アナライザーを用いることで、耳では聴こえにくい帯域も視覚情報からおおよその情報を得ることができるというわけですね。
他にも、以下のように耳だけでは判別しにくい問題を見つけることができる点がアナライザーを使用するメリットとなります。
- 左右のチャンネルで位相がどうなっているのか?
- クリッピングが起こっていないか?
- 目的のラウドネス規格に収まっているか?
それぞれの詳細については、このあと解説していきます。
アナライザーの種類と使用目的
アナライザーにはいくつか種類があり、その違いによって視認できる情報も変わってきます。
今回は、代表的な以下の5つに絞ってご紹介していきます。
- スペクトラム(Spectrum)
- ピーク/RMSメーター(Peak/RMS)
- VUメーター(VU)
- ラウドネスメーター(Loudness)
- フェイズスコープ(Phase Scope)
スペクトラム(Spectrum)
各周波数における音量を視認することができるアナライザーです。
また、時間経過による周波数バランスの変化についても確認することができます。
一般的に、縦軸が音量の大きさ、横軸が周波数を表していて、右にいくほど高い周波数となります。
聴こえにくい超低域や超高域も視覚的に確認することができ、一時的に突出した周波数などから問題になっているトラックを判別したり、全体の周波数バランスに問題ないかなどを確認することができます。
ピーク/RMSメーター(Peak/RMS)
インサートされたトラックの音量を見ることができるアナライザーです。
DAWのミキサー画面など、各トラックに付いているものでおなじみですね。
単位はdB(デシベル)で、メーターの高低で音量を確認することができます。
なお、ピークメーターとRMSメーターはいずれも音量を表示するメーターですが、それぞれ測定の方法が異なります。(詳しくは後述します。)
プラグインによっては、ピークメーターとRMSメーター双方を同時に表示することができるものもあります。
ピークメーターとRMSメーターはそれぞれ役割が違うので、以下の特徴を踏まえて適宜選定しましょう。
■ ピークメーター
反応が早く、一瞬の音量を測定することを目的としたメーターです。
デジタルオーディオでは、ある一定以上の音量を一瞬でも超えると「クリッピングノイズ」というノイズが発生します。
そのため、クリッピングノイズが発生する地点を「0dB」と定め、それを超えないよう監視することを目的として設計されたのがピークメーターです。
■ RMSメーター
ピークメーターよりも反応は緩やかで、人間の聴覚と近い音量感を測定することを目的としています。
複数の音源の聴感上の音量を揃えたい場合などに役立ちます。
約300ミリ秒間(0.3秒間)の音量を平均してメーターに表示するため、突発的な音量の変化はメーターには現れません。
よって、クリッピングノイズの検出には使えないということを覚えておきましょう。
また、可聴域外の音や聴き取りづらい音でもメーターは振れてしまうため、あくまで目安として使用するのが良いですね。
VUメーター(VU)
こちらも音量を見ることができるアナライザーになります。
機能としてはRMSメーターと同じく、約300ミリ秒間の音量を平均して表示するメーターで、その役割も人間の聴覚と近い音量感を測定することが目的となっています。
音量メーターとしては始祖的な存在で、多くのメーターがディスプレイ上で扱われるのに対して、VUメーターはアナログの時代から、実際に手に触れるメーターとして使われてきました。(現在もハードウェアとして販売されています。)
RMSメーターとの大きな違いは、「キャリブレーション」という作業を行うことで、VUメーター上の0dBが指し示す音量を任意に決めることができる点です。
例えばピークメーターで-14dBを指す音量を、VUメーター上の0dBにすることができてしまうわけですね。
そのため、同じ音量でもVUメーターの設定によって表示される値が変わる相対的な情報になります。
Waves社の「VU Meter」というプラグインでも、HEADROOMというパラメーターでメーター上の0dBを変更することができます。
ラウドネスメーター(Loudness)
ラウドネス規格で測定された音量を見ることができるアナライザーです。
単位は「LUFS(エルユーエフエス)」もしくは「LKFS(エルケーエフエス)」で、ピークメーター同様クリッピングノイズが発生する地点をゼロとしています。
ラウドネス規格とはもともと放送業界向けに開発された規格で、複数のコンテンツ(番組)で音量のばらつきが出ないよう基準値を決めて、製作者がそれを遵守するために用いられています。
昨今では、YouTubeや音楽配信サービスでもこの規格が用いられ、音量が規定のラウドネス値に自動修正される仕様になっています。(ラウドネスノーマライゼーションといいます。)
したがって、動画や音声の音量を配信用に最適化する場合は必須のアナライザーとなっていますので覚えておきましょう。
ラウドネスメーターの測定方法は、RMSメーターの弱点である「人間が聴き取りづらい音にもメーターが反応してしまう」という特性に対処したものとなっています。
人間の聴覚は、同じ音量でも周波数帯によって聴感上の音量が変わります。
その差をシミュレートしたフィルターを通したのち、メーターでは測れるが耳では聴き取れないような小さな音をゲートで排除した上で測定された音量が表示されるため、極めて人間の感覚に近いデータが得られます。
また、ラウドネスメーター内には以下の3種類の音量が表示されます。
- モーメンタリー(Momentary)
- ショートターム(Short Term)
- ロングターム/インテグレーテット(Long Term/Integrated)
上から順に計測間隔が広くなっていき、
モーメンタリーは400ミリ秒間隔。
ショートタームは3秒間隔。
ロングタームは再生時間中すべてを計測しています。
フェイズスコープ(Phase Scope)
位相差を見ることができるアナライザーです。
別名「リサージュメーター」「XYメーター」「ベクトルスコープ」など様々な呼び名があります。
音をデータとして記録すると、+(プラス)とー(マイナス)を行き来する波として現れます。
それがステレオトラックであれば2つの波があり、それぞれの波の相対的な関係性を「位相差」と呼びます。
それを表示するのが「フェイズスコープ」というわけです。
フェイズスコープには点や線が現れ、その形でどんな位相差が発生しているかを確認できます。
垂直方向に線が伸びるほど、位相がどちらも同じ方向に揃っている(=位相差がない)状態を表します。
逆に、水平方向に線が伸びるほど位相が反対に向いている(=位相差が大きい)状態を表しています。
位相差がない音源は実質モノラル状態となり、広がりの全くない音となります。
逆に位相差が大きい場合は、聴こえ方が不明瞭になったり、ステレオ音源をモノラルに変換した際に音が痩せるなど、よくない効果が出てきてしまうことも。
フェイズスコープを使って位相差を確認することで、問題を事前に知ることができます。
なお、フェイズスコープの表示方法はプラグインによって異なりますが、いずれも役割は同じです。
例えば、Wavesの「PAZ-Position」をはじめとする半円状に音の広がりを表示するアナライザーも、見え方が違うだけで、表示される内容はフェイズスコープと変わりありません。
まとめ
というわけで、アナライザーについて詳しく解説しました。
音を視覚的に確認できるため、音の状態を把握したり、様々な問題を見つけたりと頼もしいツールです。
前述の通りあくまでアナライザーは補助的なもので、最終的には耳で判断する必要がありますが、上手に活用することでミックスや音作りの効率もアップします。
今日の記事を参考に、それぞれの特性や仕様目的をしっかり理解していきましょう!
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