ギターのサウンドメイク基礎①:ギターアンプの特徴、種類、操作方法を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。
今日は、エレクトリックギターにおける音の出口となるギターアンプについて解説していきます。
- ギターアンプの構造
- ギターアンプの操作
- ギターアンプのサウンド
- ギターアンプの主なモデル
- ピックアップポジション
ギターアンプはエレクトリックギターのサウンドを決定づける重要なもの。
その種類や設定の違いで、じつにさまざまな音色を作り出すことができます。
これらの要素を正しく理解することで、イメージするギターサウンドに近づけることが可能になります。
バッチリ使いこなせるよう学習していきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ギターのサウンドメイク基礎①:ギターアンプの特徴、種類、操作方法を理解しよう!
ギターアンプの構造
エレクトリックギターからの電気信号を受け取り音を出す装置がギターアンプです。
エレクトリックギターはそれ単体では音を出すことが出来ず、アンプに繋いで音を出すことを前提で作られています。
多くのギターアンプは、以下の3種の機器がセットになって構築されています。
- プリアンプ(入力回路)
- パワーアンプ(増幅回路)
- スピーカー
ギターアンプにはおおきく分けて2種類存在します。
1つは、プリアンプやパワーアンプを搭載した「ヘッド」と呼ばれる部分と、スピーカーを搭載した「キャビネット」と呼ばれる部分が分かれている「スタックタイプ」。
もう1つは、両者一体型の「コンボタイプ」です。
スタックタイプは大きな会場での演奏を想定して設計されており、出力の高いモデルが多くみられます。
また、ヘッドとキャビネットを別々に組み合わせることによる拡張性の高さも魅力です。
一方コンボタイプはライブハウスや自宅での使用を想定しており、コンパクトで運びやすいのがメリットです。
(とはいえ30kgほどもある重量級モデルも存在しますが。)
ギターアンプの操作
つぎに、ギターアンプの操作について見ていきましょう。
各メーカーからさまざまなアンプが発売されており、その操作も多少の違いはありますが、ここでは一般的な1チャンネル2ボリュームタイプで解説していきます。
ギターアンプには以下のようなコントロールパネルがついており、これらを調整することで様々なサウンドを作り出すことができます。
① インプット
ギターからの出力をシールドで接続する部分です。
モデルによっては複数のインプットを持つ機種もあります。
複数のインプットを持つモデルは、クリーンチャンネル/ドライブチャンネルなど、それぞれ異なるキャラクターを持っています。
② ゲイン/マスター
アンプの各種音量を設定する部分です。
ゲインとマスターではそれぞれ機能に違いがあり、前者がプリアンプ、後者がパワーアンプのボリュームをコントロールすることができます。
ゲイン(プリアンプ側)を上げるほど倍音が増え音は歪んで行きます。
一方マスター(パワーアンプ側)はプリアンプで作った音をそのまま増減するだけで、音色を変えずに音量のみ変化させます。
なお、メーカーやモデルによって呼び方がさまざまで、「ボリューム1/ボリューム2」「ドライブ/ボリューム」などと表記される場合もあります。
③ イコライザーセクション
イコライザーによる音色のコントロールを行う部分です。
コントロールする周波数帯によって「ベース」「ミドル」「トレブル」の3バンド、または「プレゼンス」まで含めた4バンドをコントロール可能です。
それぞれ以下の帯域を司っています。
- ベース:低域
- ミドル:中域
- トレブル:高域
- プレゼンス:超高域
④ リバーブ
リバーブ(残響)エフェクトをかける部分です。
ギターアンプに搭載されるリバーブは、スプリングリバーブが一般的です。
ギターアンプ の基本操作
ギターアンプのサウンド
エリクトリックギターを、アンプを通さず直接PAミキサーやオーディオインターフェースにつないで音を出してみると、音の芯も迫力もないペラッペラなサウンドが鳴ります。
じつはそれこそが本来のエレキギターのサウンド。
そこにアンプの特性を加えることで、ようやく皆がよく知るエレキギターのサウンドになるわけです。
ギターアンプの音響特性は中域や中低域が盛り上がったかなりクセのあるものなのですが、この「クセ」がギター本来の音に加わり、それがキャビネットから出てくることで独特のサウンドが出来上がっているのですね。
したがって、ギターとアンプは両者セットでひとつの楽器と考えることができます。
アンプによって作り出すことのできる音色を大別すると、以下の4種類が挙げられます。
- クリーン:ゲイン低・歪みがない状態
- クランチ:ゲイン中・軽く歪み始めた状態
- ドライブ:ゲイン高・ほどよい歪みと倍音が乗った状態
- ハイゲイン:ゲイン最高・過激に歪ませた状態
クリーン サウンド
クランチ サウンド
ドライブ サウンド
ハイゲイン サウンド
ギターアンプの主なモデル
ここからは、主要メーカーのギターアンプについてその特徴を解説していきます。
多くのメーカーから多様なアンプが発売されており、そのサウンドもさまざまですが、ここではとくに代表的な3つのメーカーのアンプをご紹介します。
- Fender
- Marshall
- Mesa/Boogie
Fenderのアンプの特徴
ギターメーカーでもあるアメリカのFender社は、アンプでも有名なメーカーです。
Fenderアンプの特徴は「クリーンサウンドが美しいコンボアンプ」です。
もちろん同じFender製アンプでも多くのモデルが存在しますが、代表的なモデルはコンボタイプが多く、中でもツインリバーブやデラックスリバーブなど鈴のように美しいクリーンサウンドを持つモデルが世界中で人気を博しました。
これらのアンプも、プリアンプのボリュームを上げることで歪ませることもできますが、どちらかというと中音域に寄ったサウンドでブルース系のギタリストに好まれるサウンドです。
このような特徴から、Fenderといえばクリーンというイメージが定着しているのかもしれません。
Fender Twin Reverb
Marshallのアンプの特徴
Fenderとは対照的に、イギリスのMarshall社はスタックアンプのイメージが強いメーカーです。
とくにハードロックファンには、ステージを埋め尽くすほどのMarshallキャビネットで作られた壁は見慣れた光景でしょう。
ステージにて大音量を出すこと目的に設計されたMarshallアンプは、プリアンプのボリュームを上げることでほどよく歪み、そのサウンドはロックギターを代表する音となりました。
こちらもさまざまなモデルがありますが、80年代のロックで多用された「JCM800」は最も有名なアンプのひとつといえるでしょう。
Marshall JCM800
Mesa/Boogieのアンプの特徴
1980年代以降、ハードロックの新しい流行に牽引され、より激しく歪んだギターサウンドが求められるようになりました。
そのような風潮に合わせ、アメリカMesa/Boogie社から1991年に発売されたのが「Dual Rectifier」。
モダンなハイゲインアンプの代名詞となり、多くのギタリストに愛用されました。
クリーンサウンドから過激に歪んだハイゲインサウンドまで何でもこなせるオールラウンダーではありますが、やはりダウンチューニングでも輪郭がぼけず、ヘヴィーに歪ませられるハイゲインサウンドこそがこのアンプの醍醐味です。
Mesa/Boogie Dual Rectifier
ピックアップポジション
エレキギターはピックアップを使って弦の振動を電気信号に変換することは以前お伝えした通りです。
じつは、このピックアップのポジションによってもサウンドは大きく変化し、音作りにおいて非常に重要な役割を担っています。
ギターによって搭載されているピックアップの数に違いがあり、ストラトキャスターは3ピックアップ、レスポールとテレキャスターは2ピックアップ構成です。
いずれも、ピックアップセレクターでどのピックアップを有効にするかを選ぶことができます。
それぞれ単体のピックアップを選ぶことができるほか、それらをミックスした「ハーフトーン」を出すこともできます。
これにより、ストラトなら5ポジション、レスポール&テレキャスなら3ポジションを切り替えて演奏することができます。
ピックアップポジションによるサウンドの違い
ピックアップポジションごとのサウンドの特徴は以下の通りです。
- フロント:太くて甘い音
- リア:明るくてタイトな音
- センター:その中間
ブリッジに近いリアほど弦の振動が抑えられ、よりタイトな音に。
そこからフロントに近づくほどほど良く振動し、太くて甘い音へと変化していくわけですね。
また、ハーフトーンは独特のアタックが強調された音が特徴的です。
ロック系ではリアを歪ませたサウンドが多用されたり、ジャズ~フュージョンではフロントのクリーントーンが多用されたりといった傾向はありますが、ピックアップポジションのチョイスは奏者の好みや個性の部分でもあります。
まずはその音の特性をよく理解した上で、ジャンルや曲調によって色々試してみるのがオススメです。
今後、ジャンル別のギターアレンジにおいてもサウンドメイクの一環として触れていきますので併せて参考にしてみてくださいね。
ピックアップ ポジションによるサウンドの違い
まとめ
というわけで、ギターアンプとサウンドメイクの基礎について詳細な解説をお届けしました。
ギターのサウンドメイクにはじつにさまざまな要素が絡んでくるため少々複雑ではありますが、カッコイイギターサウンドを作るには避けて通れない知識です。
まずは今日の記事を参考にアンプやアンプシミュレータなどを触ってみることで、その傾向が理解できるようになっていきます。
ぜひチャレンジしてみてくださいね!
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