キーボードの基礎知識⑤:ハモンドオルガンの種類とその構造を理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ハモンドオルガンの種類と構造について解説していきます。
- ハモンドオルガンとは?
- ドローバーについて
- ハモンドオルガンの種類
教会やコンサートホールで使われる「パイプオルガン」をベースに開発されたハモンドオルガン。
音色を自由にコントロールできる数少ない鍵盤楽器で、ポップス、ジャズ、ロックなどさまざまなジャンルで愛用されてきました。
そんなハモンドオルガンの特徴について、バッチリ学んでいきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
キーボードの基礎知識⑤:ハモンドオルガンの種類とその構造を理解しよう!
ハモンドオルガンとは?
ハモンドオルガンとは、教会やコンサートホールで使用される「パイプオルガン」をエレクトリック化した楽器。
まずは元となったパイプオルガンから解説しつつ、理解を深めて行こうと思います。
パイプオルガンとは?
パイプオルガンとは、その名の通り多数のパイプを有するオルガンです。
1つ1つのパイプにエアリード状の弁が取り付けられており、そこに空気を送り込むことによって発音します。
それぞれのパイプには固有の音程が設定されており、鍵盤を押すことでそのキーに対応した音程が鳴るほか、複数のパイプを組み合わせてさまざまな音色を作り出すことができます。
奏者は「演奏台」と呼ばれる、鍵盤や各種コントロール部が設置された場所に座り演奏することになりますが、この時、鍵盤の左右に取り付けられた「ストップ(ストップレバー)」を引き出すことで音色を変えることができます。
「ストップ」にはそれぞれに対応するパイプが指定されており、そのパイプから音が鳴るようになります。
これによりさまざまな倍音を付加していく仕組みです。
また「Trumpet」「Flute」などといった、実在する楽器の名前が書かれたストップもあり、それを引き出すことでそのまま「トランペット」や「フルート」のような音色を出すことができるようにもなっています。(おもしろいですね!)
また、パイプオルガンでは手鍵盤だけでなく足元に低音演奏用の鍵盤も取り付けられています。
これにより、低音から高音まで幅広い音域で演奏することが可能となっています。
パイプオルガンはその構造上、ピアノやエレピなどのように打鍵による強弱表現ができませんが、その代わりストップを使って同時に鳴るパイプの数を調整したり、足元にあるボリュームペダルによって音量を調節しながら演奏します。
パイプオルガンの構造についてわかりやすく解説してくださっている動画がありましたので、ぜひ参考にしてみてください!
パイプオルガンの構造と演奏方法
ハモンドオルガンの誕生
1934年にローレンス・ハモンドによって発明された電気式オルガンが「ハモンドオルガン 」です。
(別名「ドローバーオルガン」と呼ばれることも。)
パイプに空気を送り込むことで発音するパイプオルガンに対し、ハモンドオルガン では「トーンホイール」と呼ばれる歯車状の円盤を回転させることで発生したうねりをピックアップで電流に変換。
それを「レスリー・スピーカー(別名:ロータリースピーカー)」と呼ばれる特殊なスピーカーを搭載したキャビネットから鳴らすことで発音します。
「レスリー・スピーカー」は、1940年代にドナルド・レスリー氏によって開発されたスピーカーで、モーターにより回転するパーツがトレモロのような独特の揺らぎを生み出します。
また、パイプオルガンの「ストップ」に相当する部分が「ドローバー 」と呼ばれるもので、これを引き出すことで音色の倍音成分をコントロールすることができます。(こちらについては後述します。)
パイプオルガン同様、打鍵による強弱表現はできませんが、足元にあるボリュームペダルによって断続的な音量の変化を得ることができます。
ハモンドオルガンの演奏とレスリー・スピーカーの様子
ドローバーについて
前述の通り、ハモンドオルガンでは「ドローバー」と呼ばれるレバーを出し入れすることによって音色の倍音成分を変更します。
各ドローバーには対応する倍音が設定されており、それぞれ以下の通りとなります。
【ドローバーと倍音の関係】
- 「8’」= 第1倍音(基音)
- 「4’」= 第2倍音(基音の1オクターヴ上)
- 「2-2/3’」= 第3倍音(基音の1オクターヴと完全5度上)
- 「2’」= 第4倍音(基音の2オクターヴ上)
- 「1-3/5’」= 第5倍音(基音の2オクターヴと長3度上)
- 「1-1/3’」= 第6倍音(基音の2オクターヴと完全5度上)
- 「1’」= 第8倍音(基音の3オクターヴ上)
また「8’」よりも左側にある「16’」「5-1/3’」というドローバー は低音域のコントロールためのものです。
以下のようになっています。
【低音用ドローバー】
- 「16’」= 低音用の基音(「8’」のオクターヴ下)
- 「5-1/3’」= 「16’」の第3倍音(「16’」の1オクターヴと完全5度上)
これらを組み合わせてさまざまな音色を作っていくわけですね。
ドローバーによる音色のコントロール
なお、ドローバーの使い方やその他の細かい機能を用いた音作りのテクニックについては、ハモンドオルガンのサウンドメイクの記事で改めて詳しく解説していきますのでお楽しみに!
ハモンドオルガンの種類
ここからは、ハモンドオルガンの代表的なモデルについてご紹介していこうと思います。
- B3
- C3
- M3
■ B3
最も有名なオルガンといえばハモンド社の「B3」でしょう。
このモデルの大きな特徴といえば、奏者の足元が見えるように設計されたボディ。
4本の足によって支えられた独特の形状は、現在のエレクトーンをはじめとした電子オルガンにも受け継がれているデザインですね。
ポピュラー、ジャズ、ロックなど幅広いジャンルで愛された定番モデルで、オルガン音源のプリセットでも真っ先に表示されるものが多くなっています。
B3の演奏
■ C3
「B3」と並んで有名なオルガンがこちらの「C3」。
こちらは「チャーチモデル」と呼ばれ、パイプオルガンの演奏台に似たボディを持っています。
「B3」と違って足元が完全に隠れるデザインとなっていますが、このような形状が採用された理由として「厳かな教会での演奏を想定したため」「スカートをはいた女性が演奏しやすくするため」など諸説あるようです。
音源や鍵盤部分は「B3」と同一のものですが、イギリスでは「B3」よりも生産量が多く入手しやすかったことから、多くのイギリス系ロックオルガニストが愛用することになります。
また、一部のロックオルガニストによって積極的な改造も行われ、さまざまなサウンドを生み出すきっかけとなりました。
C3の演奏
■ M3
こちらは「B3」や「C3」よりも小型軽量化したモデル。
鍵盤数も上下それぞれ44鍵となっており、上段と下段で演奏音域が異なる点も大きな特徴と言えるでしょう。
また、下段の手鍵盤には低音域用のトーンホイールが搭載されておらず、ドローバーも「16’」と「5-1/3’」がついていません。
(足鍵盤用ドローバー は「16’」の1本のみ)
このような特徴から、よりライトで軽い音色が独特のカラーとなっています。
M-3の演奏
まとめ
というわけで、ハモンドオルガンの構造や種類について解説しました。
他の鍵盤楽器に比べてやや複雑な構造を持つオルガンですが、その分多彩な音作りが可能となっています。
後日サウンドメイクの記事で詳細な音作りについて解説しますが、まず今日の記事を参考に、その基礎部分について理解を深めておいてください!
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