マスターデータ作成②:マスタリングにおける曲頭・曲間の調整方法をマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、マスタリングにおける曲頭・曲間の調整方法について解説していきます。
- 曲頭・曲間調整の重要性
- 曲頭・曲間の調整方法
各曲の出だしのタイミング、次の曲とのインターバル(スキマ時間)は、作品の聴き映えに大きく影響するもの。
各種エフェクトの設定のように直接サウンドをいじるものではありませんが、マスタリングにおいて非常に重要な工程のひとつとなっています。
とくに複数曲を収録したアルバム制作においては、絶対に欠かすことのできない作業。
バッチリマスターしていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
マスターデータ作成②:マスタリングにおける曲頭・曲間の調整方法をマスターしよう!
曲頭・曲間調整の重要性
マスタリングにおいて、曲頭・曲間の調整は非常に重要な作業です。
とくに、アルバムなど複数曲をまとめて収録する際、楽曲同士のインターバル(スキマ時間)はアルバム全体の聴き映え、印象に大きな影響を与えます。
例えば、以下の2つのパターンを聴き比べてみてください。
パターン①は、前の曲が終わってから間髪入れず次の曲が始まるパターン。
パターン②は、前の曲の余韻を十分に聴かせてから次の曲が始まるパターンとなっています。
パターン①
パターン②
同じ曲をつないだ場合でも、インターバルによってこれだけ印象が変わるのです。
どの程度のインターバルを設けるかは完全にケースバイケース。
あくまで感覚でジャッジしていくことになりますが、不思議と心地よいインターバルというのは肌で感じるものです。
前の曲の余韻、そしてその後の無音時間を調整して、次の曲が最も心地よくスタートできる位置を探ってみましょう。
曲頭・曲間の調整方法
ここからは、曲頭・曲間の調整方法について解説していきます。
従来、曲頭・曲間の調整はマスタリングソフト上で行われるのが一般的でした。
CDでは曲と曲の間に「ギャップ」や「ポーズ」と呼ばれる無音時間を設定できるため、ファイルの長さをいじらずとも、自由にインターバルを調整できるからです。
マスタリングソフト上で曲間などを調整している様子
しかしながら、昨今のように音楽配信を前提としたマスターデータを作る場合、マスタリングソフト上で曲間を調整してしまうと、配信用のデータにはその結果が反映されないという問題が出てきてしまいます。
したがって、現代においてはDAWからの書き出し前にあらかじめ曲頭・曲間の調整を済ませてしまうのが主流です。
曲頭、曲間の調整については、それぞれ以下のような観点で行うとよいでしょう。
曲頭の調整
曲頭についてはさして難しいことを考える必要はありません。
音の出だしより前の部分に、0.2秒〜0.5秒程度の無音を設ければOKです。
無音部分がないと、CDプレイヤーの性能によっては読み込みが間に合わずに頭の音が欠けてしまう可能性があります。
よって、読み込みに多少のラグがあっても問題ないよう、無音部分を用意してバッファを持たせておくというわけですね。
曲間の調整
曲間の調整に正解はありませんが、以下の点に着目しながら調整するとよいでしょう。
- 余韻の長さ
- 余韻の減衰カーブ
- 余韻消滅後の無音の長さ
余韻の長さについては、リバーブなどの成分をどのくらい長く残すかという観点で決めるとよいでしょう。
パキッと仕上げたいのであれば早めの減衰に、たっぷりと余韻を聴かせたいのであれば長めの減衰に設定します。
また、余韻の長さだけでなく、減衰カーブにもこだわってみましょう。
多くの場合、直線的にフェードアウトさせるよりも、凸型曲線、あるいはS字カーブで減衰させた方が自然な仕上がりになります。
最後に、余韻が完全に消えた後の無音部分も調整しましょう。
こちらは、接続する曲同士の雰囲気によって全く変わりますので、次の曲が心地よいタイミングでスタートできるインターバルを探っていきます。
曲間の無音部分についても、CDプレイヤーでの再生時にノイズの原因にならないよう、最低でも0.2秒ほどは設けるようにしましょう。
曲頭・曲間を含めたバウンス
曲頭、曲間の調整が完了したら、前後に設けた無音部分まで含めて全体をバウンスすれば完成です。
まとめ
というわけで、マスタリングにおける曲頭・曲間の調整方法について解説しました。
昨今はアルバム単位で楽曲を聴くことも少なくなってきましたが、熱心なファンほどアルバムを通して聞いてくれるもの。
そんなリスナーさんに最高の状態で作品をお届けするためにも、曲頭・曲間にもとことんこだわって仕上げていきましょう!
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