ベースモックアップの基本①:ベースのベロシティ設定方法をマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日からは、ベースの基本的な打込みテクニックについて解説していきます。
まずはベロシティの設定方法から。
- ベースにおけるベロシティの効能
- ベースのベロシティ設定手順
グルーヴィーなベースを作り出す上でベロシティの調整は欠かせません。
他の楽器とは異なるベースならではの考え方や注意点などに触れながら、自然なベロシティ設定のコツをご紹介していきます。
ぜひご活用ください!
なお、ベロシティというパラメータそのものについては以下の記事で詳しく解説しておりますので合わせてご活用ください。
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ベースモックアップの基本①:ベースのベロシティ設定方法をマスターしよう!
ベースにおけるベロシティの効能
まず、多くのベース音源に共通するベロシティによるサウンドの変化についてみていきましょう。
ベロシティとは打鍵の強さのことですが、ベースの場合はそのまま「弦を弾く強さ」を指しています。
したがって、ベロシティが強くなればそれだけ大きな音が鳴り、逆に弱くなれば小さな音が鳴ることになります。
また、音量の変化に伴って音色も変化し、値が大きくなるほど鋭く明るいサウンドに、逆に小さくなるほど柔らかく暗いサウンドになります。
さらに、音色の変化に付随して音のアタック感(立ち上がりの強さ)も変化するので覚えておきましょう。
ベロシティ弱 | ベロシティ強 | |
音量 | 小 | 大 |
音色 | 柔らかく暗い | 鋭く明るい |
アタック感 | 弱い | 強い |
ベロシティ弱
ベロシティ中
ベロシティ強
特定のベース音源におけるベロシティの仕様
一部のベース音源の中には、特定のベロシティにおいて上記とは異なる挙動をするものがあります。
例えば、Spectrasonics社のベース音源「Trilian」などでは、ベロシティの値を127にすると全音下からのスライド音が鳴る仕様になっています。
このような機能を持つ音源では、ベロシティだけである程度のアーティキュレーション制御が可能になるため、比較的ラクに打込むことができます。
一度お手持ちの音源の挙動を細かく調べてみると良いでしょう!
ベースのベロシティ設定手順
ここからは、自然な演奏に仕上げるためのベロシティ設定方法をみていきましょう。
ベースのベロシティを設定する際は、以下の手順で行います。
- 一定のベロシティで打込む
- ピッキングに伴う強弱をつける
- ランダマイズする
- アクセントをつけたいノートを強調する
1. 一定のベロシティで打込む
まずは、一定のベロシティで打込んでしまいましょう。
完全に均一のベロシティで機械的に打込んで問題ありません。
コンプレッサーの解説の際にもお伝えしましたが、低音域でバンド全体を支える役割を持ったベースでは、音量のバラつきが強すぎると不安定なサウンドになってしまいます。
ですから、まずはベロシティを一定にし音量が揃った状態からエディットした方が結果的に素早く仕上がるというわけです。
幸いにも、昨今は1音ごと違うサンプルを鳴らしてくれる機能(=ラウンドロビン機能)が搭載されている音源がほとんどですので、一定のベロシティで打込んでもそこまで違和感のないサウンドに仕上がります。
なお、一定にする際のベロシティ値については以下の基準を参考に決めるとよいでしょう。
- 指弾き:ラインの明瞭さが確保できる値
- ピック弾き:程よいアタック感が出てくる値
- スラップ:スラップらしい金属音が得られる値
いずれも、ベロシティの値100前後でこのようなサウンドが得られる傾向があります。
指弾き(Velo=100)
ピック弾き一定(Velo=100)
スラップ一定(Velo=100)
2. ピッキングに伴う強弱をつける
次に、ピッキングに伴う強弱をつけていきましょう。
ここでいうピッキングとは、ピック弾きだけでなくフィンガーピッキングを伴う指弾きも含まれます。
指弾きとピック弾きでは少々考え方が異なりますので、それぞれに分けて解説していきます。
指弾きの場合
指弾きにはアップダウンという概念がありませんので、基本的には以下の原則に習うことになります。
- アタマ拍:強め
- ウラ拍:やや弱め
音源によっては「人差し指」と「中指」のサウンドを切り替えて再生できるものもありますが、どちらの指の方が音量が大きいということはなく、あくまでニュアンスの違いになります。
ただし、ウラ拍から始まるフレーズやシンコペーションではこの法則が逆になることも珍しくないため、実際に音を再生したり口で歌ったりしながら気持ちの良い強弱を決めていきましょう。
なお、指弾きの場合あまりにも強弱がつきすぎるとかえって不自然になりますので、両者の差はベロシティ値5〜10程度に収めておいた方が無難です。
ベロシティ調整前
ベロシティ調整後
ピック弾きの場合
ピック弾きの場合は、ダウンピッキングとアップピッキングを意識して強弱をつけていきます。
- ダウンピッキング:強め
- アップピッキング:やや弱め
基本的に、アタマ拍ではダウンピッキング、ウラ拍ではアップピッキングとなりますので、結果的には指弾きと同じ傾向に収まりますが、指弾きよりはその差を広げた方がそれらしくなります。
音源によっては、ダウンピッキングの音色とアップピッキングの音色を切り替えることができるものもあるため、そのような音源をお使いの場合はベロシティとともに音色も切り替えるとリアルに仕上がります。
ベロシティ調整前
ベロシティ調整後
ダウンとアップで音色切替え
スラップについてはフレーズによって強弱のつけ方がだいぶ変わってくるため、詳しくはジャンル別ベースアレンジの記事でお伝えしていきます。
3. ランダマイズする
次に、全体をランダマイズしていきましょう。
すでにピッキングによる強弱はついていますので、全体を範囲指定してDAWのベロシティランダマイズ機能を適用すればOKです。
なお、ここでもかけ過ぎは禁物です。
全体に対して±3〜5程度微細なランダマイズをかけることで、人間らしい揺らぎを作ることができます。
ランダマイズ適用前
ランダマイズ適用後
4. アクセントをつけたいノートを強調する
最後に、アクセントをつけたいノートを強調していきましょう。
アクセントをつける場所は主に以下の3点になります。
- フレーズ頭や動きの頭
- シンコペーション
- その他フレーズ的に強調したい音
フレーズや動きが出る箇所の頭は、ベースラインをくっきり聞かせるため少し強めのベロシティに設定しておきましょう。
また、シンコペーションには必ずアクセントがつきますので前後の音よりもベロシティを強くします。
その他、聞いていてより強く聞かせたいノートが見つかった場合は、そちらも強調すると良いでしょう。
アクセントをつける前
アクセントをつけた後
まとめ
というわけで、ベースのベロシティ設定について解説しました。
ベースの役割上控えめな調整にとどまるものの、グルーヴィーなベースを作るためには欠かすことのできないパラメータでもあります。
今日ご紹介した考え方を元に、ベロシティ設定のコツを掴んでくださいね!
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