短調の和音を理解しよう!マイナーダイアトニックコードを解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、「短調の和音(マイナーダイアトニックコード)」の取り扱いについて解説していきます。
- 短調のダイアトニックコード
- 短調の和音の機能
短調の和音は、メジャーダイアトニックコードに比べてやや複雑ですが、基本な考え方はメジャーダイアトニックコードと同じです。
短調の和音を理解することで、中級編以降で取り扱うマイナーキーからの借用和音に対する理解もスムーズになりますので、臆せず学んでいきましょう!
短調のダイアトニックコード
メジャーダイアトニックコードがメジャースケールの上に成り立つように、短調のダイアトニックもまた、各種マイナースケールの上に構成されていきます。
マイナースケールは以下の3つでしたね。
- 自然短音階
- 和声的短音階
- 旋律的短音階
それぞれのスケールに関しては以下の記事で詳しく解説していますので、不安な方は先にそちらを復習しておきましょう!
※本項では、マイナーダイアトニックコードを解説する際のキーとして、Cメジャーキーの同主短調(同じ主音をもつ短調)であるCマイナーキーを使用します。フラットが付く分やや難しくなりますが、「第三音・第六音、第七音がフラットする」というマイナースケールの特性をもっとも自然に表すことのできるキーとなりますので、頑張ってついてきてくださいね!
自然短音階のダイアトニックコード
自然短音階のダイアトニックコードは以下の通りです。
トライアド
テトラッド
自然的短音階は、同主長調であるCメジャースケールの「第三音」「第六音」「第七音」の3つの音がフラットしたスケールであるため、それに合わせてディグリーネームにもフラットがつきます。
具体的な構成は以下の通りです。
- Im = マイナーコード(長調のVImに相当)
- IIm(b5) = マイナーフラットフィフス(長調のVIIm(b5)に相当)
- bIII = メジャーコード(長調のIに相当)
- IVm = マイナーコード(長調のIImに相当)
- Vm = マイナーコード(長調のIIImに相当)
- bVI = メジャーコード(長調のIVに相当)
- bVII = メジャーコード(長調のVに相当)
和声的短音階のダイアトニックコード
和声的短音階のダイアトニックコードは以下の通りです。
トライアド
テトラッド
和声的短音階は、より強い和音の進行力を生み出すために第七音を半音上げて「導音」を作り出したスケールです。
その影響で、新たに形成された「導音」を含む「V」「VIIm(b5)」といったコードは、メジャーダイアトニックコードと同じ「ドミナント」機能を持った和音へと変化するのが特徴です。
- Im = マイナーコード
- IIm(b5) = マイナーフラットフィフス
- bIIIaug = オーグメント
- IVm = マイナーコード
- V = メジャーコード※
- bVI = メジャーコード
- VIIm(b5) = マイナーフラットフィフス※
※「導音」の形成によってメジャーダイアトニックと同じ「ドミナント」へ変化したコード
旋律的短音階のダイアトニックコード
旋律的短音階のダイアトニックコードは以下の通りです。
トライアド
テトラッド
旋律的短音階は、和声的短音階からさらに第六音を半音上げて、旋律的な滑らかさを追求したスケールのことでした。
この影響で、「II」「IV」のコードは、メジャーダイアトニックコードと同じ「サブドミナント」機能を持った和音へと変化します。
- Im = マイナーコード
- IIm = マイナーコード※
- bIIIaug = オーグメント
- IV = メジャーコード※
- V = メジャーコード
- VIm(b5) = マイナーフラットフィフス
- VIIm(b5) = マイナーフラットフィフス
※第六音が半音上がることでメジャーダイアトニックと同じ「サブドミナント」へ変化したコード
短調の和音の機能
メジャーダイアトニックコード同様、マイナーダイアトニックコードにも和音の機能が存在します。
マイナーダイアトニックコードにおける「トニック」「ドミナント」「サブドミナント」に位置づけられる和音は、それぞれ
- トニックマイナー(Tm)
- ドミナントマイナー(Dm)
- サブドミナントマイナー(SDm)
と呼び、基本的な用法はメジャーダイアトニックのそれと変わりありませんが、和音の構造が少し異なるので注意しましょう。
自然短音階の和音の機能
自然短音階のダイアトニックコードを構成する各和音の機能は以下の通りです。
自然短音階には「導音」がないため、メジャーでいうところの「ドミナント」のような強い進行力を持った和音が存在しません。(ドミナントマイナーしか存在しない。)
したがって、自然短音階におけるドミナントモーションは、メジャーキーにおけるそれよりも比較的おだやかな進行となります。
また、メジャーダイアトニックコードにおいて「ドミナント」の機能を持っていたVIIの和音も、導音がないために「ドミナント」ではなく「サブドミナントマイナー」として取り扱われます。
同様に、メジャーでは「トニック」の機能を持っていたVIの和音も「サブドミナントマイナー」となります。
和声的短音階の和音の機能
和声的短音階のダイアトニックコードを構成する各和音の機能は以下の通りです。
第七音を半音上げることで「導音」が形成されたため、Vの和音およびVIIの和音はいずれも「ドミナント」機能を持つ和音へと変化します。
旋律的短音階の和音の機能
旋律的短音階のダイアトニックコードを構成する各和音の機能は以下の通りです。
和声的短音階からさらに第六音も半音上がることで、IIの和音およびIVの和音が「サブドミナントマイナー」から通常の「サブドミナント」へと変化します。
また、自然短音階や和声的短音階では「サブドミナントマイナー」扱いだったVIの和音も、第六音の半音上昇にともないルートのbがなくなるため、「トニックマイナー」へと変化する点も覚えておきましょう。
まとめ
というわけで、短調の和音について詳しい解説をお届けしました。
メジャーに比べるといくばくか複雑に見えるマイナーダイアトニックコードですが、
- ベースとなるスケールの構造
- ダイアトニックコードの成り立ち
- 和声的短音階における第七音の変位
- 旋律的短音階における第六音(&第七音)の変位
- 短調固有の和音の機能
などをしっかり押さえておけば、徐々に苦手意識も薄れてくると思います!
今日の記事をしっかりと読み込んで、ちょっとずつ理解を深めていってくださいね!
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