「字ハモ」「ウーアー」ってなに?ジャズ・ワルツのコーラスワークを解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ジャズ・ワルツのコーラスアレンジについて解説していきます。
- 「字ハモ」と「ウーアー」
- コーラスワークの基本テクニック
- コーラスアレンジ4つの手順
アレンジにおいて必ずしも必要なパートではありませんが、コーラスが入ることでより楽曲が華やかになります。
基本的なコーラスのお作法を覚えておくことで、様々な楽曲へ応用が可能に。
ジャズのみならずあらゆる歌モノで使用できるテクニックをご紹介しておりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです!
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
「字ハモ」「ウーアー」ってなに?ジャズ・ワルツのコーラスワークを解説!
「字ハモ」と「ウーアー」
コーラスは、メインヴォーカルとは別に用意される補助的な歌パート。
一般的にハモリをさす言葉として使われることも多いですが、厳密には以下の2種類に分かれます。
- 字ハモ
- ウーアー
字ハモ
読んで字のごとく、歌詞(=文字)を伴うコーラスです。
メインヴォーカルに対するハモリを形成するために使われるほか、ユニゾンやオクターヴなどの字ハモも存在します。
字ハモの例
ウーアー
こちらは、文字情報をもたないコーラスです。
「Uh(ウー)」「Ah(アー)」などの音で歌われることが多いため、俗に「ウーアーコーラス」といわれています。
場合によっては、「Oh(オー)」という母音も使われるほか、少し吐息をまぜて「Fuh(フー)」「Hah(ハー)」という音が使われることもあります。
どういった場合にどの響きを使うかには厳密な定義はありませんが、
「Uh」→「Fuh」→「Oh」→「Ah」→「Hah」
の順に音が明るくなっていきますので、楽曲の盛り上がりに合わせて切り替えると良いでしょう。
ウーアーの例
コーラスワークの基本テクニック
コーラスパートでは、以下の基本テクニックがベースとなります。
- High、Mid、Lowの3パートを用意しておく
- 各声部ごとにダブリング
- ハモリのラインは原則としてコードに準拠
それぞれ詳しく解説していきます。
High、Mid、Lowの3パートを用意しておく
コーラスを作る際、High、Mid、Lowの3パートを用意しておくことをオススメします。
それぞれの内訳は以下の通りです。
- High = メインヴォーカルの3度上(またはその付近)のハモリ
- Mid = メインヴォーカルとユニゾン
- Low = メインヴォーカルの3度下(またはその付近)のハモリ
ここで誤解を招くといけないので補足しておきますが、常時3声によるハモリを入れるべきというわけではありません。
曲によって、あるいは場面によって、上ハモのみ下ハモのみという部分があってもオッケーです。
3声全てを使った場合、最も豪華なコーラスになるというイメージですね。
ちなみに、ハモらせるほどではないけど、一部の歌詞を少し強調したいなどの場合にユニゾンのみを使うこともよくあります。
どう演出するかはあなた次第!
■ 各声部ごとにダブリング
コーラスでは、メインヴォーカルと明確に棲み分けをするために、LRにパンを振って配置することになります。
したがって、1声部あたり2テイクを重ねる、通称「ダブリング」を行うことになります。
これにより、定位を左右に広げることはもちろん、コーラスそのものに厚みを出すこともできます。
ハモリのラインは、原則としてコードに準拠
ハモリのラインは、原則としてコードトーンに準拠します。
といっても、メロディが非和声音を演奏している場合などはこの限りではないこともあるので、あくまで「原則として」です。
少なくとも、コード楽器やその他のパートとハーモニー的な調和をみだす音は避けた方が無難です。
コーラスアレンジ4つの手順
ここからは、実際のアレンジ手順について解説していきます。
といっても、コーラスに関してはさして難しいことはしません。
- 字ハモを入れる場所を決める
- 字ハモのラインを作る
- ウーアーを入れる場所を決める
- ウーアーのラインを決める
これだけ!
コーラスに着手する際には、「字ハモ」→「ウーアー」の順番で入れていきましょう。
それぞれの補足説明を入れていきます。
1)字ハモを入れる場所を決める
まずは、メインメロディに対してどの部分でハモリを入れたいかを検討していきます。
楽曲全体に常時ハモリが入っていてはメリハリがつきませんので、「ここは豪華にしたい!」と思う場所を選んで入れていくと良いでしょう。
一般的に、サビではハモリがガッツリ入れられることが多く、楽曲後半にいくほどAメロやBメロへのハモリの量も多くなっていく傾向があります。
安パイをとるなら、ハモリを入れる可能性のある場所全てでコーラスをレコーディングしておき、最終的なミックスのタイミングで抜き差しするのも全然アリです。
(もちろん、歌い手さんの声の調子を気遣いながら収録しましょうね!)
2)字ハモのラインを作る
ハモリを入れる場所が決まったら、今度は字ハモのラインを作っていきましょう。
どのパートから着手するかは自由ですが、以下の順番がわかりやすくて良いかと思います。
- Mid = メインメロディとのユニゾンパートを作る
- High = メインメロディの3度上ハモリを作る
- Low = メインメロディと上ハモに足りないコードトーンを補完する
最も簡単なのはMidパートですね。(メインヴォーカルとユニゾンさせるだけですから!)
次に、Highパートを作るとよいでしょう。
メインメロディよりも音程が高いため、下ハモよりもヌケがよくオケ中でもよく映えます。
その場合は、最後にLowパートで足りないコードトーンを補強すればOKです。
逆に、ハモをあまり目立たせたくない場合はメインメロディの3度下ハモリでLowパートを作り、その後Highパートでコードトーンを補強するのもアリです。
Midのみ
Highをプラス
Lowをプラス
3)ウーアーを場所を決める
次にウーアーを作っていきましょう。
ウーアーを入れる部分は、必ずしもメインヴォーカルが入っている部分でなくてもオッケーです。
教材曲ではイントロにウーアーのコーラスを入れていますね。
また、歌ナカでも字ハモの代わりに一部ウーアーを使うのも有効な手段です。
同じくプロスペローの「宵越しのランデヴー」では、サビ部分で字ハモとウーアーを両方あしらっています。
プロスペロー『宵越しのランデヴー』のサビ(0分40秒〜)
4)ウーアーのラインを作る
ウーアーは字ハモから独立したラインをとることになりますので、自由に作ってオッケーです。
ただし、ここまでのアレンジの過程で、ピアノのトップノートやストリングスなど様々なオブリガート的要素が楽曲にちりばめられているかと思います。
その場合、コーラスがあまりにも主張が強いラインをとってしまうと、アレンジがグチャグチャに崩れてしまう可能性もあります。
慣れないうちは、教材曲のように白玉中心のさりげないウーアーを意識して作ると良いでしょう。
まとめ
というわけで、ジャズ・ワルツのコーラスアレンジについて解説しました。
ジャズの楽曲においては必ずしも採用されるパートというわけではありませんが、コーラスの仕組みや入れ方を覚えておくと様々なシーンで活躍してくれると思います。
冒頭もお伝えしたとおり歌モノ全般で役立つテクニックですので、ぜひご活用いただければ幸いです!
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