キーボードの基礎知識⑥:キーボードの各種奏法と記譜を理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、キーボードの各種奏法と記譜について解説していきます。
- キーボードの基本的なプレイスタイル
- キーボードの記譜法
- キーボードの特殊な奏法と記譜
- ハモンドオルガンのドローバー表記方法
ギターやベースと比べてキーボードの奏法は比較的シンプルですが、キーボードならではの解釈や特殊な記号を用いた奏法も存在します。
アレンジや打込みはもちろん、さまざまな楽譜を読書き&分析する際に役立つ知識となりますので、しっかりとマスターしていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
キーボードの基礎知識⑥:キーボードの各種奏法と記譜を理解しよう!
キーボードの基本的なプレイスタイル
本カリキュラム最初の記事でもお伝えしましたが、キーボードでは両手で鍵盤を押さえることで演奏します。
この時、それぞれの手は原則として以下の音域を受け持つことになります。
- 右手=高音部
- 左手=低音部
また、ハモンドオルガンには手鍵盤2段とベース演奏用の足鍵盤の合計3段の鍵盤がついているものが一般的です。
それぞれの鍵盤は原則として以下のように割り当てられます。
- 右手:手鍵盤上段(主に高音部)
- 左手:手鍵盤下段(主に低音部)
- 足:足鍵盤(主にベース音)
キーボードの記譜
前述のように、キーボードは両手を使って演奏することから、楽譜もそれぞれの手を明確に区分した状態で記譜します。
キーボードの記譜には2段組の「大譜表」が用いられ、ピアノをはじめ各種キーボードの楽譜で使用されます。
(キーボード以外にも、ハープなど両手を使う音域の広い楽器で使用されます。)
音程は全て実音で表記するのが基本です。
足鍵盤付きオルガンの記譜
足鍵盤を持つオルガンでは、さらに1段譜表を追加して3段の譜表で記譜されることもあります。
これを「3段譜」と呼びます。
「3段譜」を使用する場合、手鍵盤に該当する上2段は実音で、足鍵盤用の3段目は実音のオクターヴ上で表記します。
また、カッコは上2段のみにつけます。
手が交差する場合の記譜法
楽曲によっては、ごくまれに両手が交差した状態で演奏を行うこともあります。
例えば以下の譜例ではアルペジオの最高到達点である「E」の音を左手で演奏しています。
このように一時的に両手を交差する場合は、どちらの手で演奏するのかを指定します。
なお、手を指定する場合には以下のように表記します。
ポピュラーでは英語表記が一般的ですが、クラシックの楽曲ではイタリア語やフランス語で書かれたものもありますので全て載せておきます。
【英語】
- 「R.H.」=右手(Right Handの略)
- 「L.H.」=左手(Left Handの略)
【イタリア語】
- 「m.d.」=右手(mano destra マーノ・デストラ)
- 「m.s.」=左手(mano sinistra マーノ・シニストラ)
【フランス語】
- 「m.d.」=右手(main droite マン・ドロワット)
- 「m.g.」=左手(main gauche マン・ゴーシュ)
キーボードの特殊な奏法と記譜
ここからは、キーボードの演奏で登場する特殊な奏法と記譜について解説していきます。
- トリル
- プラル・トリラーとモルデント
- ターン
- トレモロ
- グリッサンド
- アルペジオ記号
- ペダル記号
トリル
トリルとは、となり合う2音を高速で行き来する奏法です。
記譜の際には、音符の上に「tr.」という文字と波線を書きます。
トリル
プラル・トリラーとモルデント
「プラル・トリラー」と「モルデント」は、ごく短いトリルのようなものです。
音符の上に短い波線をつけることで、2度上の音(プラル・トリラーの場合)または2度下の音(モルデントの場合)を素早く挟み込んで演奏します。
また、記号の上下に「#」や「b」をつけることで、臨時記号を指定することもできます。
プラル・トリラー
モルデント
ターン
ターンは、指定の音符を中心に上下2度の音を素早く巻き込みながら演奏する奏法です。
「∞」のような形をした記号を書くことで指定します。
「プラル・トリラー」や「モルデント」のように、記号上下に「#」「b」などの臨時記号を指定することもできます。
ターンには向きの違う2種類の記号が用意されており、それぞれ効果が変わります。
- 通常のターン:対象となる音符の2度上から始まり下向きにターンするもの
- 転回ターン:対象となる音符の2度下から始まり上向きにターンするもの
通常のターン
転回ターン
また、ターンは、譜面のどの位置に記譜されているかによって効果がかわります。
- 音符の真上に書かれている場合:対象の音符をターンさせる
- 2つの音符の間に書かれている場合:後続のノートに移行する直前にターンさせる
音符の真上に書かれている場合
2つの音符の間に書かれている場合
トレモロ
トレモロは、3度以上離れた音符を高速で行き来する奏法です。
記譜する際には、指定の2音間を太い斜線でつなぎます。
音価を指定することもでき、その場合は以下のようなルールになります。
- 2本=16分音符のトレモロ
- 3本=32分音符のトレモロ(または高速のトレモロ)
また、キーボードの場合は和音を演奏することもできるため、和音を使ったトレモロも可能です。
トレモロ
16分音符のトレモロ
和音のトレモロ
グリッサンド
グリッサンドは、音を滑らかにつなげて演奏する奏法です。
鍵盤楽器の場合は、鍵盤の上で指を滑らせるようにして演奏します。
2つの音程を指定してその間をグリッサンドする場合と、1音のみ指定してその音へグリスアップ、またはグリスダウンする場合の2パターンが存在します。
また、記譜する際は「gliss.」と書かれた線で音符同士を繋ぐ場合と波線で書く場合の2種類の書き方があります。
2音を指定したグリッサンド
指定の1音からのグリスダウン
アルペジオ記号
アルペジオ記号とは、指定の和音をわずかに分散させて演奏するよう指定する記号です。
通常のアルペジオが明確なリズムを持って演奏されるのに対し、アルペジオ記号がついた音符はごく短い時間の中で瞬時にアルペジオを行います。
トリル記号を縦型にしたような波線で、矢印によってアルペジオの向きが指定される場合もあります。
矢印がない場合は上向きに、「↓」の場合は下向きにアルペジオさせます。
上向きのアルペジオ
下向きのアルペジオ
ペダル記号
ペダル記号は、ダンパーペダル(サスティンペダル)を踏む記号です。
ペダル記号が書かれた場所でダンパーペダルを踏み、「✳︎」という記号でペダルを離します。
あえてペダル記号を書かず、奏者の意思に委ねる場合も少なくありません。
ハモンドオルガンのドローバー表記方法
ハモンドオルガンの手鍵盤にはそれぞれは9本のドローバーがついており、多彩な音色表現が可能となっています。
ドローバーは、全く引き出していない状態(0)から完全に引き出した状態(8)の合計9段階で設定できます。
これを表記する際には「00 7373 430」といった具合に、どのドローバーを何段階目まで引き出した状態かを数列で表現します。
まとめ
というわけで、キーボードの各種奏法と記譜法について解説しました。
今後の学習を進めていく上で欠かせない知識ですので、しっかりと理解を深めておいてくださいね!
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