コーラスのミキシング①:コーラスMix前の下準備を解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、コーラスMix前の下準備について解説していきます。
- コーラスMixの下準備概要
- 波形のカット
- レベル調整
- 子音の調整
コーラスは、複数パートでの同時演奏が前提となるパート。
それゆえに、各パートの微細な音量差やちょっとしたノイズが積み重なってコーラス全体の美しさを阻害してしまうことも少なくありません。
そのような問題を事前に解決していくためのテクニックをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
コーラスのミキシング①:コーラスMix前の下準備を解説!
コーラスMixの下準備概要
コーラスは、ミキシングを行う前にちょっとした下準備をしておくことで後のMixがラクになります。
もちろん他のパートについても同様なのですが、とくにコーラスはその傾向が顕著ですね。
実際にどのようなことをするのかは以下の通りです。
- 不要な部分の波形をカット
- レベル調整
- 子音の調整
いずれも、オーディオデータ(=波形)レベルでのエディット作業となっていきます。
エフェクトをかける前に上記の処理を行うことで、必要以上にエフェクト処理することなくキレイにミキシングできます。
早速、それぞれの作業をみていきましょう。
不要な部分の波形をカット
まずは、オーディオデータに含まれる不要な部分をカットしてしまいましょう。
カットしたい箇所は以下の2箇所となります。
- 明らかな無音部分
- ブレス
無音部分についてはカットしてしまって問題ないのはいうまでもありませんが、「ブレス」をカットしたら不自然になってしまうのでは?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。
結論からいうと、ぼくは「字ハモ」に関しては、ブレスをカットしてしまっても問題ないと考えています。
字ハモはメインヴォーカルと同じ譜割りで歌われるので、メインヴォーカルの方でブレスをしっかりとっていればさして息苦しくは感じません。
むしろ、コーラスパート全てが一斉にブレスをしてしまうと、ちょっとしたブレスでも相当な音量になりかなりうるさいです。
また、それぞれのブレスタイミングのズレも気になったりしますので、字ハモはブレスをカットしてしまっても問題ないでしょう。
もし残すなら「Mid」のみにすると良いですね。
ブレスカット前
ブレスカット後
※ウーアーはメインヴォーカルと異なる動きをするため、ブレスを完全にカットすると不自然になってしまいます。その場合は「Hi」だけのブレスを残す、あるいは全パートのブレスの音量を下げるなどして対応するとよいでしょう。
レベル調整
コーラスは複数パートのハモりが前提、かつそれぞれのパートでダブリングが行われることになります。
その場合、各トラックの音量が揃っていないとハーモニーのバランスが崩れて美しさが損なわれてしまいます。
とくに、、ダブリングによる左右のパートで音量が揃っていない場合は注意。
歌い方を揃えたつもりでも左右の音量が微妙にズレていることもありますので、そのような場合は波形レベルで音量を揃えておきましょう。
例えば上図下段のオリジナルトラックでは、左チャンネル(下から2番目)が右チャンネル(一番下)に比べて波形が小さいですよね。
ですから、左チャンネルの音量をアップして左右均等に聞こえるよう調整するというわけです。(上図上段)
ダブリングパートだけでなく、ハモリの各トラックで同様に調整していきましょう。
レベル調整前
レベル調整後
子音の調整
字ハモのは読んで字のごとく歌詞付きのコーラスパート。
当然多くの子音とともに歌われるわけですが、中でも「カ行」「タ行」「パ行」などのアタックの鋭い子音は複数パートで同時発音されるとかなり耳につきます。
また、このようなアタックの強い子音はタイミングのズレなども顕著に目立ってしまいますね。
そこで、上記のようなアタックの強い子音をマイルドにするために、子音部分にフェードを書いて和らげるとよいでしょう。
子音直前で波形をカットして、そこから短くフェードインさせることでアタック感を弱体化させます。
もちろん後からボリュームオートメーションで調整するのも全然OKですが、波形で処理してしまった方が断然カンタンなのでぜひ取り入れてみてください。
子音調整前
子音調整後
まとめ
というわけで、コーラスMixの下準備について詳しく解説しました。
Mix前の下準備を丁寧におこなうことで、エフェクトのセッティングやバランス調整などが格段にラクになります。
少々手間のかかる作業ではありますが、良いMixに仕上げる上で欠かせないテクニックですので、ぜひチャレンジしてみてください!
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