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金管楽器の楽器法①:ホルンの構造、音域、特徴を理解しよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日からいよいよ金管楽器の解説に入っていきます!

初回は、ホルンについてご紹介。

  • ホルンの概要
  • 楽器の構造と発音の仕組み
  • 音域と音色
  • 得意なフレーズ、苦手なフレーズ

ホルンはオーケストラ全体の調和に欠かせない重要なパート

そのマイルドな音色から、金管、木管、ストリングス全ての楽器と馴染む潤滑油的な存在として活躍してくれます。

一方で、広いダイナミクスを利用した迫力のあるサウンドも魅力。

そんなホルンを自在に使えるよう、基礎をしっかり身につけていきましょう!

 

金管楽器の楽器法①:ホルンの構造、音域、特徴を理解しよう!

金管楽器の楽器法①:ホルンの構造、音域、特徴を理解しよう!

ホルンの概要

ホルンは、グルグルに巻かれた管と先端が大きく膨らんだベル(=あさがお)がトレードマークの楽器

ベルに手を入れて斜めに楽器を持ち上げる様も、他ではみられない面白い特徴といえるでしょう。

見た目以上に長い管を持っていて、その長さは約180cm~360cmに到達します。

まるで木管楽器のような繊細で甘美な音色から、野性味溢れるバリッとしたサウンドまで幅広い表現力が持ち味。

金管楽器の中でもとくに難しい楽器とされており、世界一難しい金管楽器としてギネス認定もされています。

(ちなみに、世界一難しい木管はオーボエでしたね!)

ホルンの音を聴いてみよう

柔らかく、どこか牧歌的な雰囲気のホルンソロ

楽器の構造と発音の仕組み

次に、楽器の構造と発音の仕組みについてみていきましょう。

楽器の構造

構造はシンプルで、本体にマウスピースを取り付けて演奏します。

木管楽器のように毎回楽器をバラしたり組み立てたりはしませんが、ベル部分だけが取り外し可能な「ベルカット」と呼ばれる加工をされた楽器も存在します。

長い管の途中に「ロータリー」と呼ばれるパーツがついていて、対応するレバーを押すことで空気の通り道が切り替わります。

これにより管の長さを変更することで音程を切り替えて演奏します。

なお、現代のホルンは「F」または「Bb」のキーを持つ移調楽器で、通常は主に「in F」で記譜されます。

シングルホルン・ダブルホルン・トリプルホルン

ホルンには「シングルホルン」「ダブルホルン」「トリプルホルン」と呼ばれる3種類のホルンが存在します。

ホルンは元々高音域を演奏するのが非常に難しい楽器

その難易度を少しでも下げるため、高い音が出やすい管(=全長が短い管)に回路を切り替えることが出来るシステムを取り付けたのが「ダブルホルン」「トリプルホルン」です。

シングルホルン

「F」または「Bb」いずれか片方のキーをもつホルンです。

最もシンプルで、重さも控えめなのが特徴。

ダブルホルン

「F+Bb」または「Bb+High F」、2つのキーを切り替え可能なホルンです。

前者「F+Bb」のダブルホルンが最もスタンダードで所有者も多い楽器。

一方「Bb+High F」のダブルホルンは「デスカントダブル(デスカントは音が高いという意味)」と呼ばれたりします。

このほかに若干管の長さが短い「セミダブルホルン」なんてものもありますが、詳しい説明は割愛します。

トリプルホルン

「F+Bb+High F」の3つのキーを切り替え可能なホルンです。

一見万能選手に見えますが、長時間持ち上げて構え続けるには重たい上に値段もお高いので所有者は少なめ。

やはりバランスの良いダブルホルンがメジャーどころといえるでしょう。

発音の仕組み

ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバまで金管楽器の発音の仕組みは全て同じです。

金管楽器には、発音のための(≒振動を起こすための)パーツが存在しません。

代わりに演奏者自身の唇をブルブルと振動させることで発音します。

唇の振動を楽器内に伝えるために使うのが「マウスピース」

マウスピースに唇を当てて振動させ、それを管内で共鳴させることで響かせる仕組みです。

また、この時の唇の形や機能を指して「アンブシュア」と言います。

金管楽器はどうやって音程を変えている?

金管楽器はもともと1つの指使いでたくさんの音程を鳴らすことができるように出来ています。

なぜそんなことが可能なのかというと、倍音列を利用しているからです。

例えば管のキー(長さ)がCであれば、Cを基音とする倍音列をすべて鳴らすことができるというわけですね。

ですが、実際の楽曲を演奏する際にはCの倍音列にない音を使いたい場合だってたくさんあります。

そこで登場するのがロータリーなど管を迂回させる機構

レバーを操ることで管の長さを変更し、異なるキーの倍音列を得ることができるという寸法です。

これにより、様々な楽曲に対応できる柔軟な音程変更が可能になりました。

音域と音色

次に、ホルンの音域とそれに伴う音色の特徴をみていきましょう。

ホルンの音域は以下の通りです。

低音域はボヤけたニュアンスの音で他の楽器にマスキングされやすく扱いが難しい。

一方高音域は非常に美しく繊細な表現も可能ですが、演奏が非常に難しく高い技量が求められます。

ですから、ホルンらしさを求めるのであればやはり中音域での演奏がベストでしょう。

ちなみに、便宜上最高音をF4としましたがさらに高い音を出すことも可能です。

ただし、個人の技量や楽器によって演奏の確実性が左右される音域なので、原則はF4までの使用に留めた方が無難です。

なお、ホルンは他のオケ楽器と非常に馴染みやすい音色を持っています。

通常金管楽器はストリングスとの馴染みがよくないため、木管楽器も絡めたオーケストレーションが求められます。

しかしホルンだけは例外で、木管の助けを借りずともストリングスと馴染ませることができるのも大きな特徴ですね。

得意なフレーズ、苦手なフレーズ

最後に、ホルンの得意なフレーズと苦手なフレーズについて解説していきます。

得意なフレーズ

レガート、テヌート、スタッカートなどといった各種アーティキュレーションの表現はどれも十分に得意です。

また、金管楽器全般にいえることですが、強弱表現の幅が広いのも特徴といえるでしょう。

冒頭で「まるで木管楽器のような繊細で甘美な音色から、野性味溢れるバリッとしたサウンドまで幅広い表現力が持ち味。」とお伝えしたのにはそのような背景もあるわけですね。

ただし、ホルンの最大音量は金管楽器の中では控えめな部類であることも念頭に置いておきましょう。

レガート

テヌート

スタッカート

強弱表現

苦手なフレーズ

原則として、大きな跳躍を含む動きが苦手です。

特にレガートでの跳躍となるとことさら難易度は上がります。

低音域や高音域など発音が難しい音域、あるいは速いテンポの楽曲では、このような大きな跳躍が連続するフレーズは避けたほうがいいでしょう。

まとめ

というわけで、ホルンについてその特徴を詳しくご紹介しました。

幅広い表現力や他の楽器とよく馴染む音色で、金管楽器の中でもとくに出番の多いホルン。

しかしながら、演奏の難易度が高いことから取り扱いには慣れが必要となります。

今日の記事を参考に、その特徴をしっかりと理解していきましょう!

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