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金管楽器の楽器法③:トロンボーンの構造、音域、特徴を理解しよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日は、金管楽器の中低域を担当するトロンボーンについて解説していきます。

  • トロンボーンの概要
  • 楽器の構造と発音の仕組み
  • 音域と音色
  • 得意なフレーズ、苦手なフレーズ

トロンボーンはそのパワフルな音色から、迫力あるオーケストラ作品には欠かせない存在。

また、最大の特徴ともいえる「スライド」を用いた奏法は唯一無二といっても過言ではないでしょう。

その特殊な機構がもたらすサウンドの特徴や得手不得手を理解して、自在に使いこなすための基礎知識を身につけていきましょう!

 

金管楽器の楽器法③:トロンボーンの構造、音域、特徴を理解しよう!

金管楽器の楽器法③:トロンボーンの構造、音域、特徴を理解しよう!

トロンボーンの概要

トロンボーンは「スライド」と呼ばれる特殊な機構をもつ金管楽器。

そのシンプルな構造が故にとてつもなくパワフルな演奏が可能で、最大音量は全オーケストラ楽器の中で随一を誇ります。

また、スライドによる音程の微調整も容易なため、複数人でハーモニーを担当するのも得意。

オーケストラにおいてなくてはならない存在といえるでしょう。

トロンボーンには、「テナートロンボーン」と呼ばれる基本形のほか、低音域を拡張した「テナーバストロンボーン」と呼ばれる種類もあります。

さらに、トロンボーンパートの最低音を担当する「バストロンボーン」という楽器もあり、オーケストラの3番トロンボーンではバストロンボーンを用いるのがお約束となっています。

これらの楽器の違いについては、後ほど詳しく解説していきます。

このほか、スライドの代わりにピストンバルブを使用した「バルブトロンボーン」という種類もありますが、使用することは稀。この記事ではスライドトロンボーンについて解説を進めていきます。

トロンボーンの音色を聞いてみよう

ラヴェル作曲「ボレロ」より、トロンボーンの有名なソロ

楽器の構造と発音の仕組み

次に、トロンボーンの構造と発音の仕組みについて見ていきましょう。

トロンボーン全般の構造

前述の通り、トロンボーン最大の特徴はなんといっても「スライド」

スライドを伸縮させて管の長さを変えることで様々な音程を鳴らすことができます。

スライドそのものは無段階で可動しますが、正確な音程を得るために「ポジション」と呼ばれる7段階の目安が存在します。

最も手前を第1ポジションとし、そこから1ポジションずつ伸ばすごとに半音ずつ音程が下がる仕組みです。

スライド以外の部分(マウスピースを取り付けて演奏すること、先端部分が大きく開いたベル状になっていることは他の金管楽器と全く同じです。

テナーバストロンボーン、バストロンボーンの構造

テナーバストロンボーンとバストロンボーンには、テナートロンボーンにはないロータリーバルブが取り付けられています。

これにより、管の迂回路を追加してさらなる音域の拡張を実現しています。

ダブルホルンやトリプルホルンが高音域の演奏を容易にする目的で作られたのと同じ発想ですね。)

テナーバストロンボーンでは「Bb管」と「F管」の2種類、バストロンボーンでは「Bb管」「F管」「Gb管」の3種類を切り替えて演奏可能です。

さらに、バストロンボーンでは「F管」と「Gb管」2つのロータリーを併用することで「D管」への切り替えも可能となっています。

  • テナーバストロンボーン = 「Bb管」「F管」を切り替え
  • バストロンボーン = 「Bb管」「F管」「Gb管」の切り替え、さらに「F管+Gb管」同時使用で「D管」も実現

これらロータリーは、主に低音域の演奏を容易にすることを目的として取り付けられています。

テナートロンボーンは、その構造上低音域に演奏不可能な音域が存在します。

それを補うためにバルブを用いて管の長さを追加し、演奏可能な音域を拡張したのがテナーバストロンボーン。

さらに、低音域におけるポジションの選択肢を広げ、低音演奏の自由度を高めたものがバストロンボーンと考えていただければよいでしょう。

発音の仕組み

他の金管楽器と違わず、マウスピースに当てがった唇の振動で音を発生させます。

それを管内で共鳴させることで音を増幅させる仕組みです。

ちなみに、テナー&テナーバストロンボーンとバストロンボーンでは、楽器のサイズが異なる分マウスピースのサイズも変わります。

(低音域を担当する楽器ほど、マウスピースは大きくなります。)

音域と音色

続いて、トロンボーンの音域とそれに伴う音色の特徴についてです。

楽器の種類によって微妙に異なるので、それぞれ個別に見ていきましょう。

テナートロンボーンの音域

中音域が最も鳴りがよく演奏の自由度も高くなります。

実際のアレンジではこの音域をメインで使用するとよいでしょう。

この音域では、柔らかいサウンドもパリっとした硬めのサウンドも自由自在に表現可能です。

一方、低音域についてはテナートロンボーンでの演奏はあまり期待できません。

この音域を使いたい場合は、テナーバストロンボーンを使用した方が無難です。

高音域についてはよほどのことがない限り使用しませんが、先ほど動画で紹介したボレロのようにソロを演奏させる場合にはこの限りではありません。

テナーバストロンボーンの音域

テナーバストロンボーンは「F管」の追加によって低音域が拡張されています。

それを除けば、テナートロンボーンと同じと考えてOKです。

基本は中音域を使いつつ、低音域の演奏も容易になっているので積極的に使用しても問題ないでしょう。

バストロンボーンの音域

音域はテナーバストロンボーンとほぼ同じです。(最低音が半音だけ低いEの音になります。)

では、テナーバストロンボーンと何が違うのか?

1つは、各種ロータリー追加による低音域の演奏自由度の高さです。

これにより、音程の取りにくい低音域において正確な演奏表現が可能になります。

もう1つは、その音色です。

テナー&テナーバストロンボーンと比べて、バストロンボーンは全体的に管が太めに作られています。

それによる、太く厚みのある音色こそがバストロンボーン最大の特徴です。

トロンボーンの記譜

トロンボーンはいずれも「Bb」のキーを持つ移調楽器

ただし、記譜は「in C」で行います。(ここがややこしいところ・・・!)

よって、何も気にせず実音をヘ音記号で記譜すればOKです!

得意なフレーズ、苦手なフレーズ

最後に、トロンボーンの得意なフレーズと苦手なフレーズについてみていきましょう。

いずれも、スライドという機構によってもたらされる得手不得手となります。

得意なフレーズ

トランペットと同じく円筒状の管を持つトロンボーンは、タンギングによるキレのある演奏が得意です。

したがって、以下の3つに関しては問題なくこなすことができます。

  • テヌート
  • スタッカート
  • 強弱表現

強弱表現にいたってはトランペットと互角、あるいはそれ以上で凄まじい最大音量を誇ります。

よく、「3人のトロンボーン奏者で100名規模のオーケストラをかき消してしまう」と言われるほどの音量。

いかに凄まじいかがわかりますね。

また、これはトランペットにもいえることですが、楽器を構えた際ベルがまっすぐ客席側(リスナー側)を向いていることも音抜けの良さに一役買っています。

テヌート

スタッカート

強弱表現

スライドによる特殊な表現「グリッサンド」

最大の特徴であるスライドを利用した「グリッサンド」は、トロンボーンならではの得意技といえるでしょう。

グリッサンドに使用できる音程は限られていますが、そのサウンドはまさに唯一無二。

それによるニュアンス付けで、荒々しい表現もコミカルな表現もムーディーな表現も自由自在。

トロンボーンの魅力がたっぷり詰まった奏法と言えるでしょう。

グリッサンド

苦手なフレーズ

トロンボーンが受ける演奏上の制限も、多くはスライドによってもたらされます。

まさにメリットとデメリットが表裏一体というわけですね。

トロンボーンはオーケストラの楽器の中で唯一レガート奏法が苦手な楽器です。

トロンボーンはスライドの仕様上、タンギングせずに音程をパキっと切り替えることが難しい楽器です。

タンギングなしではグリッサンドがかかってしまうからです。

一応特殊な音程間でのみ擬似的にレガートをかけることも可能なのですが、これはトロンボーンの構造を熟知していないと難しい芸当。

シンプルに「トロンボーンでレガートは難しい!」と覚えておくのが無難です。

また、スライドを物理的に移動させて演奏する都合上、素早い動きが連続するのも苦手です。

とくに、距離の離れたポジション同士を高速移動させるフレーズは避けましょう。

基本的に、4ポジション以上の移動を伴う16分音符などは原則演奏不可能と考えておいた方が無難です。

まとめ

というわけで、トロンボーンについて詳しく解説しました。

スライドという特殊な機構を持つことがトロンボーン最大の特徴であり、それによる得手不得手なども分かりやすい楽器でしたね!

他の金管に比べて演奏できるフレーズに限りがありますが、その分豊かな響きとパワフルさでオーケストラに充実感をもたらしてくれる楽器です。

その特徴をしっかり理解して、効果的に使えるよう訓練していきましょう!

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