オーケストラのモックアップ実践①:管楽器全体に共通する打込みのポイント3選
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、管楽器をリアルに打込むための3つのポイントについて解説していきます。
- 管楽器をリアルに打込むための3つのポイント
- 原則として1パート1人
- レガート機能が搭載された音源を使う
- タンギングを意識する
木管と金管は、その構造や音色こそ違いはあるものの、息を使って演奏を行うという点で共通点も多い楽器です。
とくにモックアップにおいては共有できるテクニックも多く、基本を押さえておくことで習得もスピードアップします。
今回は、そんな管楽器全体に共通する打込みテクニックを解説していきますので、ぜひお役立てください。
オーケストラのモックアップ実践①:管楽器全体に共通する打込みのポイント3選
管楽器をリアルに打込むための3つのポイント
リアリティのある管楽器を打込む上で、とくに意識しておきたい点が以下の3つです。
- 原則として1パート1人
- レガート機能が搭載された音源を使う
- タンギングを意識する
これらはいずれも管楽器全体に共通するもので、木管・金管問わず使えるテクニックとなります。
それぞれ詳しく解説していきます。
原則として1パート1人
弦楽器は1パートを複数人で演奏するのに対して、管楽器は基本的に1パートごとに演奏者が1人ずつ割り当てられます。
したがって、使用する音源も1パートごとにソロ音源を用いると良いでしょう。
また、リアルタイム入力やヒューマナイズ機能などを駆使して、人間らしいニュアンスを積極的につけていくことも重要ですね。
とくに木管はソロフレーズを演奏する機会も多いセクションなので、この特徴をしっかりと意識して打ち込んでいきたいところです。
ちなみに、管楽器の音源にはソロ音源とは別に、複数人でのユニゾンを収録したものも含まれることがほとんどです。
ソロ音源とユニゾン音源の使い分けについては、今後の記事で詳しく解説していきます。
レガート機能が搭載された音源を使う
1パート1人が基本となる管楽器では、レガートのニュアンスがリアルさを大きく左右します。
そのため、本気でリアルさを求める場合は必ずレガート機能が搭載された音源を使いましょう。
レガート機能とは、単発の音だけでなく、音と音の繋がり部分までサンプリングすることで、滑らかなレガート演奏を実現できるもの。
レガートに対応した音源とそうでない音源では、フレーズのリアルさに圧倒的な差が生まれます。
双方を聴き比べてみましょう。
レガート機能なし
レガート機能あり
ちなみに、レガートを再現するもう一つの手法として、ストリングスカリキュラムでご紹介しているようなノートをかぶせるテクニックがあります。
ノートのデュレーションを伸ばし次の音にかぶせることで、擬似的に滑らかな接続を実現します。(下図参照)
しかしながら、この手法はソロ演奏が前提となる管楽器では使えません。
なぜなら、ノートをかぶせることで瞬間的に音が二重に鳴ってしまい、あたかも2人の奏者がいるような違和感のあるサウンドになってしまうからですね。
デュレーションを伸ばして無理やりレガートさせたサウンド
ノートが被っている部分が2重に聞こえるのがお分かりいただけると思います。
このことから、管楽器のソロにおいてはレガート機能が搭載された音源を使って打ち込むことを強くオススメします。
タンギングを意識する
管楽器は、タンギングというテクニックを使って発音をコントロールしていることは楽器法の記事でも解説した通りです。
このタンギングこそが、管楽器と弦楽器のニュアンスを分ける大きな特徴となっています。
タンギングで音を区切ると、わずかではありますが息の流れがストップする瞬間が発生し、それにより一瞬音が途切れます。
そのため、タンギングの伴うフレーズを演奏する際は、各ノートの間に隙間を設けましょう。
以下のように、ノートのデュレーションをわずかに短くすることで調整ができます。
画面上ではわずかな違いなのですが、この処理があるかないかで管楽器のリアルさは全く変わってきます。
どんなに細かくベロシティやエクスプレッションを調整したとしても、タンギングの隙間が表現できていないだけでたちまちウソっぽい仕上がりになってしまいます。
一息で演奏することが前提のレガートやスラー部分ではこの処理は必要ありませんが、それ以外の部分は必ずこの処理を行うようにしましょう!
まとめ
というわけで、管楽器全体に共通する打込みのポイントを3つご紹介しました。
当然のことながら、サックスやリコーダーなど、オーケストラに登場しない管楽器にも応用ができるテクニックとなっておりますので、今日の記事を参考にしっかりとマスターしていってくださいね!
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