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オーケストラのモックアップ実践④:木管楽器の打込みテクニック・応用編

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

木管楽器のモックアップ最後の記事となる今回は、より高度なモックアップテクニックについてご紹介していきます。

  • ユニゾン音源の使い所
  • よりハイレベルな打込みのために〜楽器ごとの傾向〜

ユニゾン音源の効果的な導入方法や、楽器ごとの特徴を加味した細かい調整など、ワンランク上のオーケストラサウンドを実現するためのアイディアが満載。

これまでお伝えしてきた基本的な内容にプラスαで取り入れることで、より説得力のあるサウンドに仕上がることでしょう。

ぜひご活用いただければ幸いです!

 

オーケストラのモックアップ実践④:木管楽器の打込みテクニック・応用編

ユニゾン音源の使い所

前回までに解説した各種打込みテクニックは、全てソロ音源を前提としたものでした。

しかし、多くのオーケストラ音源では、複数人の奏者によるユニゾンを録音したいわゆる「ユニゾン音源」も収録されています。

このような音源はどのようなタイミングで使えばよいのでしょうか?

結論からいうと、2管編成の木管セクションをモックアップする上でユニゾン音源は必要ないと考えていただいてOKです。

各楽器ごとに最大2人までしか重なる余地がありませんので、下手にユニゾン音源を使うよりも個別にコントロールできるソロ音源の方が取り回しが効きやすいからです。

※なお、金管セクションを打込む場合はユニゾン音源を用いることも少なくありません。こちらについては、金管楽器のモックアップ解説記事で改めてご説明いたします。

ただし、限定的なシーンにおいてはユニゾン音源が活躍することもありますので、ご紹介していこうと思います。

■ 限定的なシーンで活躍するユニゾン・セクション音源

基本的には出番のないユニゾン音源ですが、限定的なシーンでは活躍してくれるものもリリースされています。

  • トリル
  • アルペジオ
  • ラン(駆け上がり・下りのこと)

など、特定のアーティキュレーションやフレーズを収録した特殊な音源です。

本記事執筆時点では以下のような音源がリリースされています。

Cinesamples『Hollywoodwinds』



Red Room Audio『Palette Run & Arps』



これらは、特定のフレーズをそのまま収録したものなので、通常の音源のようにフレーズを自由に打込むことはほぼ不可能。

用途は限定的ではあるものの、曲にハマりさえすれば圧倒的なリアルさを楽曲にもたらすことができます。

とくに「ラン(駆け上がり・下り)」を通常の打込みで表現するのは難しいこともあり、上記のような音源が非常に重宝します。

通常の打込みで駆け上がりを表現した場合

ラン音源を用いた場合

リアルさが格段にアップしたことがお分かりいただけると思います。

また、これらの音源は木管セクション全体(おそらくバスーンは含まれていないですが)が同一空間でまとめて収録されているので、サウンドの一体感も魅力です。

前述の通り汎用性は皆無に等しいためオーケストラ音源の初手として買うにはあまりにもリスクが高すぎますが、ある程度手持ちの音源が充実してきたタイミングにこのような音源を導入するのはよい選択肢かと思います。

よりハイレベルな打込みのために〜楽器ごとの傾向〜

ここからは、よりクオリティの高い打込みを実現するために知っておきたい楽器ごとの傾向についてお話していきます。

以下の3つの観点で順にご説明していきます。

  • ブレスのタイミング
  • 強弱表現
  • その他特記事項

■ ブレスのタイミング

これまでもご紹介したように、楽器によって消費する息の量は大きく異なります。

同じフレーズでも、どのくらい長く演奏可能かは楽器によって変わってきますので、その点を意識して適宜ブレスのタイミングを設けましょう。

■ エアリード族(フルート・ピッコロ)

フルートやピッコロは息の消費量が極めて多いため、こまめにブレスのタイミングを設けましょう。

今回はわかりやすさを優先してやや極端にブレスのタイミングを設けています。

■ ダブルリード族(オーボエ・イングリッシュホルン・バスーン)

オーボエ・イングリッシュホルンバスーンは、エアリード族とは対照的に息の消費量が極めて少ない楽器。長めのフレーズも演奏可能です。

■ シングルリード族(クラリネット)

クラリネットは、エアリード族とダブルリード族の中間程度の息の消費量と考えればOKです。

■ 強弱表現

楽器により強弱表現にも幅がありますので、その特徴も加味して打込みましょう。

■ エアリード族(フルート・ピッコロ)

フルート・ピッコロは、同一音域内での強弱表現が乏しい傾向があります。

したがって、近しい音域で推移するフレーズでは抑揚をつけすぎないようにしましょう。

同一音域内ではエクスプレッションを控えめに

一方、音域を移動する場合にはそのタガが外れます

高音域ほど音量が大きく、低音域ほど音量が小さいという特徴があるからです。

したがって、大きなクレッシェンドを実現させたい場合は高音域に向かって駆け上がるようなフレーズを組み込むとよいでしょう。

逆に、大きくデクレッシェンドしたい場合はその逆を行えばよいですね。

音域を変えて大きくクレッシェンド、デクレシェンドした様子

■ ダブルリード族(オーボエ・イングリッシュホルン・バスーン)

ダブルリード族は、全音域にわたってダイナミックレンジが狭い楽器です。

したがって、エクスプレッションによる抑揚も木管セクションの中で最も控えめにするのがよいでしょう。

■ シングルリード族(クラリネット)

クラリネットは、木管の中ではダイナミックレンジが広い楽器です。

したがって、エクスプレッションなどで抑揚をつける際には、他の木管よりも大袈裟気味に書くとよいでしょう。

とはいえ、金管のダイナミックレンジには遠く及びませんのでその点は留意してくださいね。

■ その他特記事項

最後に、その他特筆すべき事項についてご紹介しておきます。

■ エアリード族(とくにピッコロ)の高域ショートノートは歯切れ良く

エアリード、とくにピッコロは楽器も小さく音域も高いことから、ショートノート系を中心とした装飾的なフレーズを任されることが多くなります。

その際、スタッカートはなるべく歯切れよく軽快なサウンドで打込むよう心がけましょう。

スーザの名曲『星条旗よ永遠なれ』という行進曲では、ピッコロによる軽快な装飾フレーズが用いられています。

このように歯切れのよい演奏をイメージしながら打込むとよいでしょう。

スーザ『星条旗よ永遠なれ』



まとめ

というわけで、3回にわたってお届けした木管楽器のモックアップテクニック。いかがだったでしょうか?

様々なテクニックをご紹介しましたが、本質的にはいずれも「楽器の特徴を理解し、忠実に再現する」ということに尽きると思います。

どうしてもリアルなサウンドにならない場合は基本に立ち返り、「楽器法を学ぶ」「生演奏を聴く」「楽器に触れてみる」といった訓練を繰り返してみることで、少しずつ理解できるようになっていくはずです。

何度も練習しながら、リアルな木管サウンドが実現できるようチャレンジしていってください!

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