からみ合う2つの旋律が美しい!デュアルオブリガート型ストリングスアレンジを解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ストリングスアレンジの基本となる5つの型のうち、「デュアルオブリガート型」について、詳細なアレンジ方法を解説していきます。
- デュアルオブリガート型の特徴
- デュアルオブリガート型アレンジのポイント
- 2つの旋律を同時に扱うコツ
- 実際のアレンジ手順
などなど、デュアルオブリガート型アレンジを完成させるために必要なテクニックを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
デュアルオブリガート型はこんなアレンジです。
【ストリングスアレンジの基本となる5つの型についての解説はコチラ】
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ストリングスアレンジの基本形4:デュアルオブリガート型の特徴
デュアルオブリガート型の基本
デュアルオブリガート型は、1stと2nd、ViolaとCelloの2ペアに分かれて、それぞれが独立した旋律を演奏する型でした。
メロディのみに特化しているため、ユニゾン型同様バンドサウンドとの相性もバツグンです。
楽譜でみると以下のような形になります。
デュアルオブリガート型アレンジのポイント
デュアルオブリガート型はあくまでメロディ要素しか持ち合わせてないため、コード楽器やベース楽器、リズム楽器との併用が必須です
【デュアルオブリガート型アレンジの楽器組み合わせ例】
- メロディ(またはオブリガート) → ストリングス
- コード → ピアノやギターなどのコード楽器
- ベース → エレキベース、シンセベースなどのベース楽器
- リズム → ドラム、ギターカッティングなどのリズム楽器
実際のサウンドは以下のような感じになります。
ストリングスのみ
ピアノ追加(コード楽器)
ベース追加(ベース楽器)
ドラム&ギターカッティング追加(リズム楽器)
デュアルオブリガート型のボイシング
デュアルオブリガート型のボイシングは以下の2パターンが実用的です。
- パターン1 → 1st+2nd、Viola+Celloがそれぞれ同度。
- パターン2 → 1stと2ndはオクターヴ関係。ViolaとCelloが同度。
フォーカス度について
フォーカス度とは、楽曲のアレンジにおいて、リスナーが特定のパートを注意深く聞こうとする度合いのことを指します。
超シンプルにいうと、各パートの目立ち具合のことと言い換えてもいいでしょう。
リスナーの注意を引きやすいパートほど「フォーカス度が高い」と表現していきます。
フォーカス度と音楽的要素の関係
楽曲フォーカス度は、以下の5つの要素に依存します。
- 音量 → 音量が大きいほどフォーカス度が高くなる
- 音色 → 倍音の多い音色ほどフォーカス度が高くなる
- 音程 → 音程が高いほどフォーカス度が高くなる
- 運動量 → たくさん動くパートほどフォーカス度が高くなる
- 進行 → 順次進行より跳躍進行の方がフォーカス度が高くなる※
※ただし、アルペジオのようにコードトーンをなぞるだけの場合はフォーカス度は低くなります。(伴奏に溶け込むため。)
この、フォーカス度をつかさどる5つの要素のうち、「音量」「音色」「音程」の3つに関しては、楽曲上でのコントロールが難しい要素です。
音量を変えてしまうとバランスが崩れてしまいますし、音色は楽器ごとに最初から決まっています。音程だって、各楽器に適した音域外での演奏は難しいですよね。
したがって、フォーカス度を自由にコントロールするためには、必然的に「運動量」と「進行」を意識して調整していくことになります。
ストリングスアレンジの基本形4:デュアルオブリガート型のアレンジ手順
2つのメロディを同時に取り扱うにはある程度コツが必要になりますので、まずはそちらを詳しく解説していきます。
2つの旋律を同時に扱うコツ
2つの旋律のフォーカス度をなるべく一致させる
デュアルオブリガートを美しく聞かせるには、2つの旋律のフォーカス度を一致させることが最大のコツです。
そのためにもっとも意識すべきポイントは、各声部の「運動量」です。
Violin群が担当する上声部とViola&Celloが担当する下声部では、音程が高い上声部の方がどうしてもフォーカス度が高くなります。
ですから、その分「運動量」でフォーカス度をコントロールしてあげれば良いわけですね。
具体的には以下のような形で対応するといいでしょう。
上声部は白玉中心
上声部は白玉を中心とした控えめな動きでフォーカス度を下げます。
下声部は動き多め
逆に下声部はしっかりと動きを出してあげることで、両者のフォーカス度を限りなく近しい状態にそろえることができます。
組み合わせるとこんな感じです
上声部と下声部、両者の存在感が揃っていることがお分かりいただけるかと思います。
互いに間の手を取り合う
2つの旋律を同時に取り扱う際には、なるべく両者が間の手を取り合うよう旋律を作っていきましょう。
両者が同時に動いてしまうと、お互いがお互いのジャマをしあってうまくまとまりません。
先ほど上声部は白玉中心の控えめな動きをとると良いとお伝えしましたが、上声部が白玉中心になることで下声部が間の手をとりやすい状態を作れます。一石二鳥ですね。
双方を同時に動かす場合は、フォーカス度を控えめに
どうしても双方を同時に動かす必要がある場合は、以下のいずれかの方法でフォーカス度を下げてあげると良いでしょう。
①運動量を控えめにする
フォーカス度を下げるもっとも効果的な方法は、運動量を控えめにすることでしたね。
どうしても動かす必要ばある場合は、比較的フォーカス度の低い以下の2種類の方法で動きを出すと良いでしょう。
- 四分音符中心
- 付点四分音符+八分音符の組み合わせ
なぜこの2つが良いかというと、双方とも強拍の動きを避けることができるからです。
各小節の強拍(1拍目と3拍目)でがっつり動いてしまうとかなりフォーカス度が上がります。動くなら弱拍で動いた方がフォーカス度を控えることができます。
ポリフォニー型のベースで4拍目なら動かしてOKとお伝えしましたが、同じ理屈です。
②フォーカス度の低い進行を選ぶ
フォーカス度の低い進行は、以下の2種類です。
- 順次進行
- アルペジオでコードをなぞる
前者はもともと控えめな動きなのでそこまで目立ちません。
後者は伴奏にうまく溶け込んでくれるので自ずとフォーカス度が下がるという寸法です。
実際にアレンジしてみよう
2つのメロディを同時に扱うコツがわかったところで、実際のアレンジに入っていきましょう。
慣れないうちはちょっとむずかしく感じるかと思いますので、以下の3ステップに分けてかんがえるとよいと思います。
- 上声部を白玉だけで書く
- 下声部を書く
- 下声部のフレーズのスキマを狙って上声部を動かす
1. 上声部を白玉だけで書く
まずは1stと2ndでメロディを打ち込んでいきます。
上声部は「白玉多め」のラインに仕上げることがポイントですが、慣れないうちはどの程度白玉にすればよいのか加減がむずかしいもの。
ならばいっそのこと、全部白玉でラインを作ってしまいましょう!
これくらいシンプルでオッケーです。
2. ViolaとCelloで対旋律を作る
つぎにViolaとCelloで下声部のメロディを作っていきましょう。
下声部は運動量が多めでも問題ありませんので、普通のメロディを作る感覚でしっかり動きを入れていきましょう。
上声部と下声部をすみわけるコツ
上声部と下声部をうまく住み分けをするコツは、メロディ開始のタイミングをずらしてあげることです。
この時、下声部は上声部よりも遅れて始まる方が効果的な場合が多いです。
先に上声部に出番をゆずった上で、少し間をおいてから登場したほうが結果的に注目してもらいやすいからですね。
下声部のフレーズのスキマを狙って上声部を動かす
最後に、上声部にも動きを入れていきましょう。
下声部のラインの中で動きが落ち着くポイント(フレーズの最後など)を狙って、上声部に動きを入れていきます。
これでデュアルオブリガート型アレンジの完成です!
まとめ
というわけで、デュアルオブリガート型アレンジについて、詳細な解説をお届けしました。
一度に2つのメロディを取り扱うという点において、なれるまでは若干むずかしく感じるかもしれませんが、今日ご紹介したポイントと手順を抑えてアレンジしていくことで徐々にコツがつかめてくると思います。
デュアルオブリガート型をマスターすると、様々な対旋律をサクサク書けるようになっていきますので、ぜひご自身のものにしていってくださいね!
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