躍動感もスケール感も思いのまま!ポリフォニー型ストリングスアレンジ応用テクニック!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ストリングスアレンジの基本となる5つの型のうち、「ポリフォニー型」最後の解説記事ということで、様々な応用テクニックをお伝えしていきたいと思います。
- 対位法的なテクニック
- リハモの小技
- 運動と進行力の関係
- 配置とスケールの関係
- Divisiについて
など、「ポリフォニー型」ストリングスアレンジをより自由自在に使いこなすための応用テクニックを学んでいきましょう!
ちなみに、今日ご紹介する内容の多くは「ポリフォニー型」以外の型にも応用可能です。とくに「ホモフォニー型」とは相性がいいと思いますので、合わせてご活用ください。
ポリフォニー型はこんなアレンジです。
【ストリングスアレンジの基本となる5つの型についての解説はコチラ】
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ストリングスアレンジの基本形3:ポリフォニー型のより高度なテクニック
反行を使って対位法的ライン取り
内声を動かす際にハモリを取り入れると効果的であることは前回の記事でお話したとおりですが、ハモリパート同士を反行(上下逆向きに進行)させることで、それぞれの旋律の独立感を強めることができます。
本格的な対位法がわからなくても、ちょいと反行を入れてあげるだけで玄人感が増しますのでオトクです(笑)。
普通のハモリ
反行を使って対位法的ライン取りした場合
ベースのクロマチックアプローチを使ってリハーモナイズ
ベースを動かす際に積極的にクロマチックアプローチを挿入してきましたが、このクロマチックアプローチを有効活用してリハーモナイズ(和音の置き換え)をすることができます。
ベースの音が、次のコードのルートへクロマチックアプローチする際には、その部分のコードを裏ドミナント(裏コード)に置き換えることができます。
【裏コードとは?】各キーの正規のドミナントと同じトライトーン(3rd&7th)を持つ代理和音のこと。例えばKeyCならば「G7」が正規のドミナント、「Db7」が裏ドミナントとなる。G7のトライトーンである「B(3rd)」と「F(7th)」が、Db7においては「B」が7th、「F」が3rdとなり、ちょうどトライトーンを入れ替えた関係になる。
運動と進行力の関係
各声部の運動量と楽曲の進行力には相関関係があります。
動きが多くなればなるほど躍動感がまして、楽曲全体の進行力が強くなっていくんですね。
とくに低音パートほどその影響力は大きく、同じ運動量でも内声だけを動かした場合よりバスを動かした方が進行力が強くなります。
まさにベースが「リズム隊」と呼ばれる所以です。
内声もバスも運動なし(進行力弱)
内声のみ運動(進行力中)
内声もバスも運動(進行力強)
「運動なし」→「内声のみ運動」→「内声もバスも運動」の順に、先へ進みたい気持ちが強くなることがお分かりいただけると思います。
配置とスケールの関係
次は密集配置と開離配置の使い分けについてです。
密集配置よりも開離配置の方が必然的に音域を広く使うことになりますが、音域が広がれば広がるほど楽曲のスケール感が大きくなります。
最初は密集配置ではじめて、徐々に音域を広げながら開離配置に切り替えていくことで、楽曲の盛り上がりを演出することができます。
密集配置から徐々に音域を広くし開離配置へ
Divisiについて
Divisiとはなにか?
ストリングスには1パートを2声部以上に分けて演奏するDivisi(ディビジ)という演奏スタイルがあります。
通常ストリングスでは、同一パートなら同じ音を演奏するものですが、Divisiの指示があった場合にはパート内で複数の声部に分かれて演奏することになります。
この時、だれがどのパートを演奏するかはあらかじめ決まっていて、以下のルールが適用されます。
【Divisiのルール】
- 2声部に分かれる場合 → 各プルトの表プレイヤー(客席側)が上のパートを、裏プレイヤー(ステージ側)が下のパートを演奏します。
- 3声部に分かれる場合 → 第1プルト&第3プルトの表プレイヤーがトップノート、第1プルトの裏プレイヤーと第2プルトの表プレイヤーが2番目の音、第2プルトと第3プルトの裏プレイヤーが3番目の音を演奏します。(第4プルト以降も同様)
- 4声部に分かれる場合 → 第1プルト表プレイヤーがトップノートを、裏プレイヤーが2番目の音を、第2プルトの表プレイヤーが3番目の音を、裏プレイヤーが4番目の音を演奏します。(第3プルト以降も同様)
Divisiの活用法
Divisiは以下のようなケースで使用すると良いかと思います。
- 上三声の隣り合う声部同士が1オクターヴ以上離れる場合
- メロディなど、強調したい声部をオクターヴで補強する場合
- 11th以上のテンションノートを扱い、四声体では表現できない場合
1. 上三声の隣り合う声部同士が1オクターヴ以上離れる場合
トップノートが高すぎる場合、隣り合う声部同士を1オクターヴ以内に収めるのが難しいケースがあります。
無理に1オクターヴ以上に収めようとすると、腰高で安定感のないサウンドになる懸念も。
そのような場合には、1stや2ndをDivisiすることで全体の重心を下げて充実感を保つことができます
2.メロディなど、強調したい声部をオクターヴで補強する場合
ときには、主旋律を強調したい場合なども出てくるでしょう。
そういった場合は、1st ViolinをDivisiして、メロをオクターヴで演奏してあげると良い効果が得られます
※メロディを1オクターヴで重ねる場合はあくまで単一の声部とみなすため、連続8度の禁則には抵触しません。
3. 11th以上のテンションを使用する場合
9thなどの5和音までは、特定の音を省略することで四声でも対応することができましたが、11th以上のテンションを含む場合は6和音以上になるため、四声だけでは足りません。
そういった場合はDivisiを活用して声部を増やしてあげましょう。
まとめ
というわけで、ポリフォニー型アレンジの応用テクニックをお伝えしてきました。
外声のアレンジからはじまり、内声のアレンジ、最後に応用テクニックまで余すことなくお伝えしてきましたがいかがだったでしょうか?
ここまでの3回の記事でレクチャーした内容を完璧にマスターすることで、本格的なストリングスアレンジテクニックを思いのまま使いこなせるようになるかと思いますので、ぜひ繰り返し練習して素敵なストリングスサウンドを作り上げてくださいね!
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