ジャンル別ビートメイク④:ヒップホップのビートをマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、みなさんご存知ラップが特徴の「ヒップホップ」のビートについて解説していきます。
- ヒップホップとは?
- ヒップホップの特徴
- ヒップホップのリズムパターン
- ヒップホップの音選び
- ヒップホップの打込みのポイント
ヒップホップは、ブレイクビーツを用いた特殊なDJプレイから生まれた音楽ジャンル。
そのビートメイク方法も、一般的なエレクトリック系ビートのそれとは大きく異なります。
リズムループを主体としたオーディオ素材の扱いがキモとなりますので、今日の記事を参考にしっかりとマスターしていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ヒップホップの例:Public Enemy『Fight The Power』
ヒップホップの基本
ヒップホップとは?
ヒップホップとは、1970年代にニューヨークのブロンクスで行われていたアフリカ系アメリカ人&ヒスパニックによるパーティ(ブロックパーティ)から生まれた文化の総称。
じつは「ヒップホップ」という単語そのものは、音楽だけでなくブレイクダンスやグラフィティ(絵画)などの文化全体を表すもので、音楽だけを指す場合は「ヒップホップ・ミュージック」と呼ぶのが正しいそうです。(ぼくも初めて知りました・・・!)
「ヒップホップ・ミュージック」は、既存曲のレコードの中からリズムだけになる部分(=ブレイクビーツ)をループ再生しながら、そのリズムに乗ってラップを演奏するのが原型。
そのことから、現代においてもヒップホップのビートメイクは「リズムループ」を主体としたサンプリング音を用いて作られます。
ヒップホップの特徴
前述の通り、ヒップホップ・ミュージック最大の特徴は「ブレイクビーツ×ラップ」。
したがって、そのリズムの主体は「ブレイクビーツ」になります。
その特徴からも分かる通り、どんな素材を使うかによってリズムパターンも変わるため、固定のリズムパターンを持つわけではありません。
ただし、ヒップホップの多くはBPM80~100前後で演奏される「シェイク・ビート」が採用される傾向があります。
- リズムの主体はブレイクビーツ
- BPM80~100前後のシェイク・ビートが王道
ヒップホップのビート例
リズムの主体はブレイクビーツ
ヒップホップは、既存曲のブレイクビーツを用いてリズムを構築していくのが基本。
素材をループさせるだけの簡単な作業のようにも見えますが、どんな素材を選ぶかによって楽曲の雰囲気が変わるため、素材選びのセンスが問われる分野でもあります。
ある種、ビートメイクの中でもっとも難しいジャンルと捉えることもできますね。
また、リズムループを補強する形で単発のドラム素材を加えることもよくあります。
もちろん、ドラムサンプラーなどを用いて任意にビートを作ることもNGではありませんので、様々な手法にチャレンジしてみましょう。
BPM100前後のシェイク・ビートが王道
リズムループを用いることから、固有のリズムパターンを持たないヒップホップ。
しかしながら、ヒップホップといえばやはり、ラップのリズム感に近いナマリのあるシェイク・ビートが王道です。。
これらのビートは、BPM80~100前後のミドルテンポで演奏されることが多いのも特徴。
これは、ヒップホップ要素を取り入れた「ミクスチャーロック」などでも見られる傾向で、いずれもラップの映えやすいテンポ感ということで採用されたものと思われます。
ヒップホップのリズムパターン
ここでは、「シェイク・ビート」を用いたヒップホップのリズムパターンをいくつかご紹介していきます。
いずれもリズムループのビートですので譜例はありませんが、ヒップホップらしいビートの参考としてお聞きください。
パターン①
パターン②
パターン③
パターン④
ヒップホップの打込み
ヒップホップの音色選び
ヒップホップでは、なんといってもリズムループ選びが最大のキモ。
ヒップホップ専用のループ素材集などもたくさん発売されていますので、慣れないうちはそのような商品を購入するのもひとつの手かと思います。
また、クラブミュージック全般を幅広くカバーするサンプル素材では、BPM80〜100前後のループを探すと、ヒップホップらしいものがたくさん見つかります。
定番サンプリングCDとしてはBEST SURVICEさんの「XX LARGE EXTREME」なんかは幅広いジャンルに対応できて便利ですね!
XX LARGE EXTREMEに収録されているループ素材
また、最近では「Splice Sounds」をはじめとしたサブスクリプション型の素材ダウンロードサービスもありますので、そういったものを利用するのもお手軽で良いかと思います。
Splice Sounds
加えて、MIDIでリズムを打込んだり、リズムループを補強したりする目的でドラムサンプラーを使うことも多いと思います。
その場合は、リズムループの音色に馴染みやすいものを意識して選びましょう。
今回は、Native Instruments社「Battery」に収録されている「HipHop Kit」というプリセットを選んでみました。
補強用なので、キック、スネア、ハイハットの3点のみ使用しています。
キック
スネア
ハイハット
ヒップホップの打込みのコツ
基本的には、リズムループを選定&貼り付けることでおおよそのビートは完成します。
楽曲のテンポをBPM80~100程度に設定し、そのテンポ感にマッチするサウンドを選定していきましょう。
慣れないうちはとにかく物量。
しっくりくるものが見つかるまでいくつものサンプルを試してみましょう!
単発素材orサンプラーでリズムを補強する場合
リズムループだけでは物足りない場合、単発素材やサンプラーを使ってリズムを補強することができます。
その際に使用できるいくつかの常套テクニックがありますのでご紹介していきます。
- ローカットでキックのダブりを解消する
- 波形編集でキックのダブりを解消する
- グルーヴを揃える
1. ローカットでキックのダブりを解消する
単発素材やサンプラーでキックを補強する場合、リズムループに元から含まれるキックとダブってしまう可能性があります。
そんな時には、イコライザーのローカットを使ってループの低音を削ってあげましょう。
それにより低音のダブつきを解消し、単発キックをキレイに聞かせることができます。
元の素材
ローカットした素材
2.波形編集でキックのダブりを解消する
リズムループに含まれるキック部分を波形編集でカットするのも有効です。
さらに、少し高度なテクニックになりますが、同じリズムループからキックの入っていない場所を流用して、カットした部分を補修するとなおグッドです。
ローカットで処理するよりさらに自然な仕上がりになる場合が多いのでオススメです!
リズムループに含まれるキックをカットしたもの
カットした部分に同じループの別な箇所を流用して補修したもの
リズムループの加工テクニックについては、以下の記事をご覧ください。
3.グルーヴを揃える
リズムループが持つグルーヴと単発素材のグルーヴが揃っていないとチグハグなビートになってしまいます。
ですから、両者をしっかり揃えてあげましょう。
オススメは、リズムループからグルーヴクオンタイズを抽出して単発素材に適用すること。
やや高度なテクニックではありますが、両者のグルーヴ感がぴったり揃うのでおすすめです。
グルーヴクオンタイズ前(16分音符ジャスト)
グルーヴクオンタイズ後
グルーヴクオンタイズの抽出方法についてはお使いのDAWのマニュアルをご参照いただきたいのですが、どうしてもむずかしい場合には手動で調整する形でも問題ないでしょう。
グルーヴクオンタイズについては、以下の記事をご覧ください。
まとめ
というわけで、ヒップホップのビートについて詳しく解説しました。
とにもかくにも、素材選びが最大のキモとなるこのジャンル。
慣れないうちは苦戦するかもしれませんが、何度もトライアンドエラーを繰り返していくうちに楽曲にマッチした素材をスムーズに選べるようになっていきます。
ぜひ楽しみながらチャレンジしてみてください!
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