レコーディングを疑似体験!現場の流れやディレクションのポイントを徹底解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、レコーディング当日の流れ、ディレクションする際のポイントについて解説していきます。
- レコーディングの流れ
- レコーディングスタジオの構造
- ディレクションのポイント
- レコーディング現場を体験してみよう!
とくにディレクションの良し悪しは、現場の進行や楽曲の仕上がりに大きく影響します。
プレイヤーさんのポテンシャルを最大限に引き出し、最高の演奏を収録するために気をつけるべきポイントも含めて解説していきますので、ぜひご活用いただければ幸いです。
また、教材曲をレコーディングした際のアーカイヴ映像もご用意していますので、現場を疑似体験する感覚で楽しんでくださいね!
※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!
今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』
レコーディングを疑似体験!現場の流れやディレクションのポイントを徹底解説!
レコーディングの流れ
まずは、レコーディング当日の流れを確認していきましょう。
おおよそ、以下のような流れでレコーディングが進行していきます。
- 現場入り
- 楽器&マイクのセッティング
- サウンドチェック
- 打合せ
- 収録
- ラフミックス
現場入り
当日は、収録開始時間の1時間〜30分前には現場入りします。
レコーディングに使用する楽曲データ(主にステムデータ)をエンジニアさんに渡したり、関係者同士の打合せをしたりと、レコーディング開始前にやるべきことは少なくありません。
間違ってもギリギリで到着することのないよう、時間に余裕を持ってスタジオへ向かいましょう。
楽器&マイクのセッティング
プレイヤーさんたちも早めにスタジオ入りして楽器のセッティングを行います。
とくにドラムはセッティングに時間を要するため、かなり早めに現地入りして作業されるドラマーさんも多いですね。
また、アコースティックピアノを使用する場合は、収録前に調律をお願いすることになります。
調律師さんからピアニストさんへ楽器の引き渡しが行われる際、一緒に立ち会ってチェックする必要がありますので、それらも考慮して現地入りしましょう。
楽器のセッティングと同時に、エンジニアさんによるマイクのセッティングも行われます。
それぞれの楽器にどのようなマイキングが施されるかを見学するだけでもとても勉強になりますよ!
サウンドチェック
楽器&マイクのセッティングが終わったら、サウンドチェックを行います。
- マイクのチェック
- レベル(音量)のチェック
- コンプやEQのセッティング
- 音質&サウンドの方向性のチェック
などの最終チェックをしていくわけですね。
とくに、音質&サウンドの方向性については我々クリエイターがしっかりチェックすべきポイントです。
どのようなサウンドで収録したいのか?
そのイメージをプレイヤーさん&エンジニアさんに伝え、必要に応じて楽器やマイクのセッティングを調整してもらいましょう。
打合せ
全体の準備が整ったら、軽く打合せを行います。
- レコーディングする作品
- その世界観
- 収録する曲順
- それぞれの楽曲のイメージ
などを共有しておくことで、レコーディングをスムーズに進めることができます。
ゲームBGMや劇伴など、何かしらのコンテンツに付帯する音楽作品の場合は、その詳細な内容についてもこの時点でしっかり共有しておきます。
収録
いよいよ収録スタート!
まずはリハーサルとして、楽曲全体を通しで演奏しイメージを固めていきます。
この時点で収録したものをプレイヤーさんを含めた関係者全員で確認し、出音や演奏に調整が必要なところを把握したのちに本番。
ここからは、現場や収録スタイルによって流れが変わってきます。
主に以下のうちいずれかを適宜選択して進めることになるでしょう。
- 楽曲全体を何回か収録 → 問題のある場所をパンチインで修正
- イントロ、ヴァースなどのセクションに分けて収録 → それぞれを固めたら次へ
プレイヤーさんによって好みが分かれるところですので、都度相談しながら決めると良いでしょう。
ラフミックス
これは必須ではありませんが、レコーディング終了後、収録したデータを使ってラフミックスをしてもらうこともよくあります。
楽曲の仕上がりがイメージしやすくなりますので、とくにMixまでエンジニアさんにお願いする場合は、ラフミックスもお願いしておくと良いでしょう。
レコーディングスタジオの構造
ここで簡単に、レコーディングスタジオの構造をご説明しておきます。
レコーディングスタジオには主に、以下の2つの部屋があります。
- コントロールルーム
- ブース
コントロールルーム
エンジニアさんがDAWやコンソールをコントロールする部屋です。
モニタースピーカーからの出音を確認できる場所になりますので、クリエイター&ディレクター、プロデューサーなど、楽曲を監修する立場の人もここでお仕事をします。
ブース
プレイヤーさんが入って演奏する部屋です。
小規模なスタジオならばブースが1つだけという場合も多いですが、大きなスタジオになると複数のブースが用意されていることも。
教材曲のようにバンドを同時収録する場合などには、その分だけブースの数が必要になります。
【トークバックについて】コントロールルームとブースとのコミュニケーションは、トークバックマイクを通じて行われます。ディレクター席にあるトークバックボタンを押している間のみブース内に声が届くという仕組みですが、逆にいうとトークバックが生きていない時はプレイヤーさんにはこちらの声が聞こえていないということ。ブースに取り残されたまま放置されるのは寂しいものがありますので、プレイヤーさんに余計な心配をさせないよう、常に気を配りながらディレクションしましょう。
ディレクションのポイント
ここからは、レコーディング時のディレクションのポイントを解説していきます。
十分に力量のあるプレイヤーさんにお願いする場合、演奏技術そのものに問題がある場合はほとんどありません。
ならば我々ディレクターの仕事は、シンプルに「イメージを明確に共有すること」と、その上で「プレイヤーさんの力を引き出すこと」の2つに集約されます。
その上で、以下のポイントに気をつけてディレクションしていきましょう。
- 1テイク毎にお礼を述べる
- 指示は可能な限り具体的に伝える
- プレイヤーさんのアイディアを取り入れる
- 出てくる音すべてに責任をもつ
- プレイヤーの挙動を観察し、適度な休憩を挟む
- 演奏時間以外にも積極的にコミュニケーションをとる
1テイク毎にお礼を述べる
良い作品を作っていくためには、クリエイターとプレイヤーの信頼関係が欠かせません。
プレイヤーさんを最大限リスペクトしながら、1テイクごとに感謝の意を伝えていきましょう!
(もちろん全部が全部お礼を言わないとダメというわけではありませんが、感謝されて嫌な気持ちになる人はいませんからね。)
指示は可能な限り具体的に伝える
演奏を聴いた上で修正してほしい場所がある場合は、できる限り具体的に伝えましょう。
「○小節目○拍目の音をもう少し強く出してほしい」
といった具合です。
ただし、明らかなミスの場合はプレイヤーさん自ら申告してくれる場合も少なくありません。
また、何度か収録していくうちに自然と良いテイクが録れそうな兆しが見える場合もあります。
そのような場合は、あえてこちらから指示を出さず「この感じで何回か録らせてください!」といったフィードバックをすることもあります。
この辺りのサジ加減は経験がモノをいう部分でもありますので、少しずつ現場を体験しながら、どのようなフィードバックをするとどのような演奏が返ってくるのかを学習していくと良いでしょう。
プレイヤーさんのアイディアを取り入れる
プレイヤーさんたちは、それぞれの楽器のエキスパート。
個々の楽器に関する知見は、作曲家よりも多く持っています。
ですから、よりよい表現方法があるならばプレイヤーさんのアイディアも積極的に取り入れていきましょう。
必ずしも楽譜通りに演奏してもらわなくても良いなら、積極的にアドリブ要素を入れてもらうのもオススメです!
出てくる音すべてに責任をもつ
レコーディングをしていると、ときとして思うような演奏が得られないこともあるでしょう。
このような場合、大抵はクリエイター&ディレクター側に問題があります。
主に以下の3点です。
- イメージの共有が不完全
- 楽器に対する理解の不足
- 楽譜の書き方の未成熟さ
どんな音が出てくるか、どんな演奏を引き出せるか、それは全てクリエイター&ディレクターの責任。
しっかりとイメージを伝えた上で、プレイヤーさんのアイディアを乞うことも大事なお仕事です。
プレイヤーの挙動を観察し、適度な休憩を挟む
DAWでの打込みとレコーディングの最大の違いは、生身の人間が演奏しているということ。
休憩もなしに演奏しつづければ、当然疲れもたまるしパフォーマンスも落ちます。
プレイヤーさんには常に万全の状態で演奏に集中してもらえるよう、常に心配りを忘れずに!
演奏時間以外にも積極的にコミュニケーションをとる
休憩時間も大事なコミュニケーションの場です。
トイレ休憩や食事休みなどの際、プレイヤーさんと積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。
新たなアイディアが生まれたり、イメージをより深く共有できたり、信頼関係を深めたり、様々なメリットがあります。
レコーディング現場を体験してみよう!
ここまでの内容を踏まえた上で、教材曲をレコーディングしたときのアーカイヴ動画を見ていきましょう。
- ピアノ、ベース、ドラムの3ピースバンド同時録音
- ストリングスのダビング
の2セッションをまとめてご覧いただけます。
マスターリズム譜とストリングスのスコアもご用意しましたので、そちらも合わせてご活用ください!
まとめ
というわけで、レコーディングの流れ、ディレクションのポイントについてお伝えしてきました。
教材曲のような大規模なレコーディングはなかなかのレアケースですが、ソロ楽器など単体の楽器をレコーディングする程度であれば、プロアマ問わずチャレンジしやすいはずです。
生演奏が入ると楽曲が格段にパワーアップしますので、ぜひこの機会にトライしてみてはいかがでしょうか?
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