ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーとは?各種パラメータや具体的な用法を解説!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、より高度なミキシングを行う上で身につけておきたい「ダイナミックEQ」と「マルチバンドコンプレッサー」について解説していきます。
- ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーとは?
- 使用目的
- 各種パラメータ
- 具体的な用法
など、ダイナミックEQやマルチバンドコンプレッサーを使用する上で必要な各種基礎知識をレクチャー。
ダイナミックEQやマルチバンドコンプレッサーを上手に扱えるようになると、原音のサウンドを不必要に加工することなく、ピンポイントで問題を処理できるようになります。
ワンランク上のミキシングテクニックを身につけたい方は必見です!
ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーとは?各種パラメータや具体的な用法を解説!
ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーとは?
ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーとは、指定した帯域のみにコンプレッサー(またはエクスパンダー)を作動させることができる特殊なEQ&ダイナミクスです。
不要な中低域の膨らみや耳につく高音など、問題のある箇所だけを狙ってダイナミクス系エフェクトを作動させることができるのが特徴。
これにより、原音を不必要に加工することなくピンポイントで問題を解決することができます。
(以前の記事でご紹介した「ディエッサー」の上位版のようなものと考えていただけるとイメージしやすいかと思います。)
ちなみに、ダイナミックEQは「ダイナミクス系エフェクトを搭載したイコライザー」、マルチバンドコンプレッサーは「マルチバンド(=複数の帯域)で個別に動作するコンプレッサー(エクスパンダーとしても使える)」という意味で、その機能や用法はほぼ変わりません。※
- ダイナミックEQ = ダイナミクス系エフェクト付きのEQ
- マルチバンドコンプ = 複数帯域で個別に動作するダイナミクス
それぞれの代表的なプラグインとしては、WAVESの「F6」や「C6」が有名ですね。
ダイナミックEQの例:WAVES「F6」
マルチバンドコンプレッサーの例:WAVES「C6」
ダイナミックEQとマルチバンドコンプレッサーの厳密な違いは内部の回路にあります。詳しく知りたい方はSOUNDEVOTEE.NETさんがわかりやすくまとめてくださってますので、こちらの記事をご覧ください。
ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーでできること
ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーともに、以下の2点の操作が可能です。
- 通常のイコライジング
- 指定した周波数成分のコンプレッション(またはエクスパンション)
前者はいわゆる通常のイコライザーと同様の挙動になりますが、後者の処理を行える点がダイナミックEQ&マルチバンドコンプ最大の特徴です。
通常のイコライジング
一般的なイコライザー同様、指定した周波数のカット&ブーストが可能です。
指定した周波数のコンプレッション(またはエクスパンション)
問題のある周波数帯域のみをコンプレッション&エクスパンションすることができます。
通常のイコライザーとは違い、問題が発生している間だけダイナミクス系エフェクトが作用する(=問題が発生していない間は作用しない)ため、元のサウンドの長所を生かしたまま、問題をピンポイントで処理することができます。
ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーのパラメータ
ダイナミックEQやマルチバンドコンプレッサーには、以下のようなパラメータがあります。
ここでは、より自由度の高いダイナミックEQを例にご紹介します。
- フィルタータイプ(Filter Type)
- フリクエンシー(Frequency)
- ゲイン(Gain)
- Q
- レンジ(Range)
- スレッショルド(Threshold)
- アタック(Attack)&リリース(Release)
フィルタータイプ(Filter Type)
一般的なEQ同様、フィルタータイプを選択することができます。
通常のベルカーブに加えて、ハイシェルフ、ローシェルフが選択できます。
また、特定のバンドではハイカット、ローカットフィルターも選択可能です。
フィルタータイプについては以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご活用ください。
フリクエンシー(Frequency)
ブースト&カットまたは、コンプレッション&エクスパンションしたい周波数を指定します。
ゲイン(Gain)
通常のEQとして動作させたい場合に使用します。
指定した周波数帯域の音量をブーストまたはカットすることができます。
プラスの値を指定すればブースト、マイナスの値を指定すればカットとなります。
Q
指定した周波数を中心に、EQカーブの勾配を指定します。
レンジ(Range)
ダイナミクス系エフェクトとして動作させたい場合に使用します。
ダイナミクスが動作する音量の最大値を設定します。
マイナスの値を指定すればコンプレッサーが、プラスの値を指定すればエクスパンダーがが作動します。
コンプレッサー、エクスパンダーについては以下の記事で詳しく解説しておりますので合わせてご活用ください。
スレッショルド(Threshold)
ダイナミクスが動作するしきい値を指定します。
スレッショルドの値を上回る信号が入力された場合のみ、Rangeの範囲内でダイナミクスが動作します。
アタック(Attack)&リリース(Release)
アタックでは、スレッショルドを上回る信号が入力されたのち実際にダイナミクスが作動するまでの時間を指定します。
逆にリリースでは、信号がスレッショルドを下回ってから、ダイナミクスの動作が解除されるまでの時間を指定します。
ダイナミックEQとマルチバンドコンプレッサーの用法
ここでは、ダイナミックEQやマルチバンドコンプレッサーの具体的な用法をご紹介していきます。
- 不要な周波数成分をピンポイントでリダクションする
- イコライジング、コンプレッション、ディエッシングをまとめて行う
- ドラムのアタックを強調する
不要な周波数成分をピンポイントでリダクションする
中低域の不要な膨らみや耳につく高音のピークなど、不要な周波数成分がある場合にピンポイントでリダクションすることができます。
例えば、ベースなど音程に変化がある低音楽器で、音程の動きに合わせて特定の周波数帯域だけをリダクションしたい場合などに便利です。
リダクションしたい周波数を指定してレンジをマイナスに設定、問題のある音程が程よくリダクションされる程度のスレッショルドを指定しましょう。
加工前
加工後
イコライジング、コンプレッション、ディエッシングをまとめて行う
ダイナミックEQやマルチバンドコンプは、EQ、コンプ、ディエッサー全ての効果をまとめて得ることができます。
これにより、通常ならばそれぞれ独立したプラグインで処理すべきところを、一度にまとめて処理できるので便利です。
加工前
加工後
ドラムのアタックを強調する
ドラムの高周波数帯域をピンポイントでブーストすることで、アタック感を強調することができます。
アタック成分が含まれる周波数を指定しレンジをプラスに設定。
打音が程よくエクスパンションされる程度のスレッショルドを指定すればOKです。
加工前
加工後
まとめ
というわけで、ダイナミックEQ&マルチバンドコンプレッサーについて詳しく解説しました。
原音への影響を最小限にとどめつつ、サウンドの問題をピンポイントで解決できるこれらのエフェクター。
よりクオリティの高いミックスを行う上では欠かせないものとなります。
EQやコンプ、エクスパンダー、ディエッサーの基本をしっかりマスターした上で、ぜひ効果的に活用してみてください!
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