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音像のコントロールがキモ!オーバーヘッドマイクのミキシング をマスターしよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、ドラムにおけるオーバーヘッドマイクのミキシング について解説していきます。

  • オーバーヘッドのパンニング
  • オーバーヘッドのMixに使うエフェクト
  • 各エフェクトのセッティング
  • オーバーヘッドの音量バランス

オーバーヘッドは、上部からドラム全体をステレオ捉えたマイク

クラッシュやライドなどのシンバル類を中心に、スネア、タム、キックの打音まで含まれる情報量の多いトラックとなります。

その扱い方にはさまざまな方法がありますが、今回はもっともオーソドックスなミックス方法をレクチャー。

ソフトウェア音源を使ったドラムMix時にもそのまま使えますので、ぜひ参考にしてみてください。

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』

 

音像のコントロールがキモ!オーバーヘッドマイクのミキシング をマスターしよう!

音像のコントロールがキモ!オーバーヘッドマイクのミキシング をマスターしよう!

オーバーヘッドのパンニング

まずは、オーバーヘッドのパンニングから見ていきましょう。

オーバーヘッドマイクはステレオで立てられるため、録音されたサウンドもステレオになっています。

まずは素の状態を聞いてみましょう。

ドラマー視点?客席視点?

ドラムのパンニングを考える上で考慮しなければならないことがあります。

それは、ドラマー視点か?客席視点か?ということ。

  • ドラマー視点:ドラムセットをドラマー側からみたパンニング
  • 客席視点:ドラムセットを客席側からみたパンニング

先ほどのオーバーヘッドのサウンドを聞いてみると、ライドシンバルが右側から聴こえてくることがお分かりいただけると思います。

通常ライドシンバルはドラマーからみて右側に配置されるので、今回の素材はドラマー視点で収録されているということになりますね。

(逆に、客席視点で収録されている素材ならば、ライドは左から聞こえてくることになります。)

ドラマー視点でパンニングするか、客席視点でパンニングするかはあくまで好み次第となりますが、ぼくは客席視点が好きなので今のままでは不都合があります。

その場合は、パンを反転させていきましょう!

左右のパンを反転させる

今回のようにドラマー視点で収録されたサウンドを客席視点に変更したい場合はパンを反転させればOKです!

シンプルに左右のパナーを真逆にしてあげればいいだけですね。

パンを左右反転させたオーバーヘッド

さらに、パンを左右に全振りしたままでは音像が広すぎて音が分散してしまうので、パナーを狭めて音像をしぼっていきます。

今回は左右のパンを60まで狭めました。

パンを左右60まで狭めたオーバーヘッド

これで、程よい音像に調整することができました。

オーバーヘッドの音作りに必要なエフェクト

次に、オーバーヘッドの音作りに必要なエフェクトをみていきましょう。

オーバーヘッドでも、以下の3種類のエフェクトを使用します。

  1. コンプレッサー
  2. イコライザー
  3. リミッター

それぞれみていきましょう。

1. コンプレッサー

オーバーヘッド全体のダイナミックレンジを調整する目的で使います。

オーバーヘッドのダイナミックレンジが広すぎるとほかのマイクとの一体感が出にくくなってしまいますので、コンプで適度に圧縮しましょう。

とくにクラッシュシンバルを連打している場所では音量が大きくなりすぎるきらいがありますので、その辺りに着目してセッティングすると良いですね。

3. イコライザー

ローおよび中域&高域に含まれる不要なピークををカットする目的で使用します。

とくにローに関しては、スネア&キックのオンマイクやキットマイクでまかなえていますので、オーバーヘッドでは中域以上のサウンドにフォーカスしてイコライジングすると良いでしょう。

5. リミッター

他のパート同様、強すぎるアタックや、時折発生する突発的なピークを抑え込むために使用します。

実際のセッティング

それでは実際のセッティングをみていきましょう。

今回も、コンプレッサーイコライザーチャンネルストリップでまとめて設定していきます。

キットマイク同様、複数の楽器をまとめて収録したトラックですのでエクスパンダーは使わなくてOKです。

コンプレッサーのセッティング

前述のとおり、全体的なダイナミックレンジを狭めるイメージでコンプをかけていきましょう。

全体の音量がほどよく揃い、かつ必要以上に音色が変わらない範囲で設定していきます。

レシオは「4:1」に設定した上で、スネアやクラッシュを強く叩いたときに6〜10dBほどリダクションされる程度のスレッショルドを探っていきます。(今回は-10.5dBに設定。)

リリースは、スネアやクラッシュシンバルを連打した際に後続の音にコンプの影響が出ない数値を狙いましょう。(今回は「0.3sec」に。)

コンプレッサー適用前

コンプレッサー適用後

イコライザーのセッティング

イコライザーでは、中域に含まれるモヤモヤしたサウンドを除去し、同時にシンバルの倍音をブーストしてスッキリした明るい音色に調整していきます。

900Hz付近の音がモヤついていたので大胆にカット。

さらに、200Hz付近の低音のダブつきも抑えつつ、140Hzでローカットを入れて低音をスッキリさせています。

逆に、10kHz以上をシェルフでブーストして倍音を強調。ヌケの良い明るいサウンドに仕上がりました。

EQ適用前

EQ適用後

ダイナミックEQのセッティング

ダイナミックEQでは、チャンネルストリップのEQでは処理しきれない細かい問題を解決していきます。

「416Hz」「526Hz」「794Hz」「1029Hz」に、シンバルに起因する中域の不要なふくらみがありましたので、そちらをイコライジングでカット。

4KHz付近にあるキンキンしたシンバルのハイもコンプでリダクションして聴きやすくしています。

加えて、9600Hz付近にあるライドの打音をエクスパンションし粒だちをよくしました。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

リミッターのセッティング

突発的なピークを抑え込みます。

スネアを強く叩いた際に軽めに打音がリダクションされる程度でOKです。

リミッター適用前

リミッター適用後

オーバーヘッドの音量バランス

最後に、キックやスネアのオンマイク&キットマイクと混ぜていきましょう。

オーバーヘッドマイクにはクラッシュやライドを中心としたシンバル類の音が多く含まれますので、それらの存在感を基準にバランスを決めると良いでしょう。

キックやスネアよりもやや奥まった位置からクラッシュシンバルが聞こえてくるくらいのバランスがちょうど良いですね!

ちなみにキットマイク同様、オーバーヘッドを大きめに混ぜるとより派手なサウンドに、小さめに混ぜると控えめなサウンドになっていきます。

スネアやキックを食ってしまわない範囲であれば、お好みでバランスを調整してみてもOKです。

オーバーヘッドの音量:中(自然なサウンド)

オーバーヘッドの音量:弱(ひかえ目なサウンド)

オーバーヘッドの音量:強(ハデ目のサウンド)

 

まとめ

というわけで、オーバーヘッドマイクのミキシング テクニックについて詳しく解説しました。

今日ご紹介したテクニックはあくまで一例となりますが、マルチマイクのドラムミックス方法として比較的実践しやすいものかと思います。

冒頭でもお伝えしたとおり、打込み音源にもそのまま使えるテクニックですので、今日の記事を参考にしっかりマスターしていただければ幸いです!

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