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ストリングスのミキシング②:オンマイクのミキシングをマスターしよう!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、前回に引き続きストリングスのオンマイクのミキシングについて解説していきます。

  • ストリングスのMixに使用するエフェクト
  • オンマイクのエフェクトセッティング

オンマイクを使うことで、オフマイクだけでは表現しにくい各パートの明瞭な輪郭や定位感を表現することができます。

それぞれのパートの役割を活かしたエフェクトのセッティングがキモとなりますので、今日の記事を参考にしっかりとマスターしていきましょう!

前回の記事をまだお読みになっていない方は、先にそちらをお読みくださいね!

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

今回の教材曲:プロスペロー『MOB 〜この街のありふれた一人〜』

 

ストリングスのミキシング②:オンマイクのミキシングをマスターしよう!

ストリングスのミキシング②:オンマイクのミキシングをマスターしよう!

ストリングスの音作りに必要なエフェクト

こちらは前回の記事でご紹介したものと重複しますが、おさらいのために掲載しておきます。

もちろん、必要がなければ読み飛ばしていただいてOKです。

  1. コンプレッサー
  2. イコライザー
  3. リミッター
  4. リバーブ

それぞれの役割は以下の通りです。

1. コンプレッサー

主にダイナミックレンジの調整に使用します。

全体的な音量差を抑え聴きやすいサウンドに調整するほか、バスコンプではストリングス全体の一体感を出すためにも使用します。

2. イコライザー

周波数バランスの調整に使用します。

中低域の不要な膨らみを抑えるほか、耳につく高域のピークをカットする目的でも使用していきます。

3. リミッター

突発的なピークの抑制に使用します。

4. リバーブ

ルームリバーブとホールリバーブの2種類を使用します。

他の楽器同様、前者は他の楽器との一体感のため、後者は残響をプラスする目的で使います。

実際のセッティング

それでは、各エフェクトのセッティングを見ていきましょう!

今回も以下の順番でエフェクト処理を行っていきます。

チャンネルストリップ(コンプレッサーとイコライザー)ダイナミックEQ → 追加のコンプレッサー

チャンネルストリップのセッティング

基本的な考え方はオフマイク同様、コンプで軽めにダイナミックレンジを抑え、EQで周波数バランスの調整を行うという流れになります。

1st Violinのセッティング

1st Violinはストリングスの中で最も目立つパートになりますので、他のパートよりもコンプを控えめにして輪郭がボケないよう留意していきましょう。

今回は、レシオ「4:1」、スレッショルド「-20dB」、リリースタイム「0.4sec」で設定。

音量が強い部分を軽めに抑る程度にとどめています。

EQは「258Hz」から下をシェルフで抑え、さらに「259Hz」でローカットを入れて1st Violinには不要な低域を抑えています。

また、「4kHz」付近の耳障りな高音を軽めにカットしました。

チャンネルストリップ適用前

チャンネルストリップ適用後

2nd Violinのセッティング

2nd Violin以下のパートは、1stよりも少しだけしっかりめにコンプを入れてみました。

レシオ「5:1」、スレッショルド「-20dB」、リリースタイム「0.4sec」に設定。

EQは「250Hz」以下をシェルフで抑え、「256Hz」でローカットを入れて低音をスッキリと。

さらに、「1kHz」「4kHz」付近の中高域のピークをカットしています。

チャンネルストリップ適用前

チャンネルストリップ適用後

Violaのセッティング

Violaも2nd同様、レシオ「5:1」、スレッショルド「-20dB」、リリースタイム「0.4sec」でコンプを設定しています。

EQは「337Hz」以下をローシェルフで抑えつつ「84Hz」でローカットを入れました。

Viola以下のパートでは低音もしっかり含まれているので、音が痩せないよう留意しながらギリギリのラインで低域をカットするのがポイントです。

同時に、「952Hz」「3.4kHz」にあるピークをカットしてスッキリとしたサウンドに調整しています。

チャンネルストリップ適用前

チャンネルストリップ適用後

Celloのセッティング

Celloも同様に、レシオ「5:1」、スレッショルド「-20dB」、リリースタイム「0.4sec」でコンプを設定しています。

EQは、「880Hz」にあるふくらみを抑えた上で、「73Hz」でローカットを入れてローエンドだけをカットした形です。

チャンネルストリップ適用前

チャンネルストリップ適用後

ダイナミックEQのセッティング

ダイナミックEQでは、チャンネルストリップだけでは調整が難しい細かい周波数の問題を解決していきます。

いずれも、中低域の不要なふくらみをカットし、高域にある耳障りなピークをおさえる形で設定しています。

1st Violinのセッティング

1stでは、「589Hz」付近のふくらみをリダクション。

さらに「2119Hz」「2396Hz」「3859Hz」「4273Hz」「4788Hz」の各所で高音のピークが発生していましたのでピンポイントでリダクションしています。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

2nd Violinのセッティング

2ndも同様に「536Hz」にある中域のふくらみをリダクション。

さらに、「1587Hz」「2396Hz」「3859Hz」「4273Hz」「4788Hz」の5箇所でときおり発生するキンキンしたピークを抑え込んでいきます。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

Violaのセッティング

前述の通り、Viola以下は中低域の成分がたくさん含まれてきますので「216Hz」「416Hz」「630Hz」の3箇所でふくらみをリダクション。

さらに「2361Hz」「4174Hz」のピークもリダクションしていきます。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

Celloのセッティング

Celloも同様に「164Hz」「394Hz」「786Hz」のふくらみをリダクション。

「2448Hz」「3129Hz」「4174Hz」のピークはピンポイントでリダクションしました。

ダイナミックEQ適用前

ダイナミックEQ適用後

追加のコンプレッサーのセッティング

オンマイクにおいてもコンプを重ねがけすることで、サウンドの質感を損ねずダイナミックレンジだけを調整していくことができます。

こちらはほぼ全トラック同じセッティングなのでまとめて解説します。

基本的に、音量の大きなところを軽くリダクションするイメージでセッティングしていきましょう。

レシオ「2:1」、スレッショルドは「-21〜-24dB」前後。

輪郭が失われないようアタックタイムは「16.0msec」と遅めに設定しています。

コンプレッサー適用後:1st

コンプレッサー適用後:2nd

コンプレッサー適用後:Viola

コンプレッサー適用後:Cello

 

まとめ

というわけで、ストリングスのオンマイクの音作りについて詳細を解説しました。

サウンドの輪郭を損ねないよう慎重にコンプの設定を行うことと、各パートの音域に合わせて適切な周波数でEQ処理を行うことが大事なポイントとなります。

問題を適切に見抜くにはある程度訓練が必要となりますので、今日の記事を参考に練習を積み重ねていってくださいね。

いよいよ次回は、オフマイクとオンマイクの音をブレンドさせてまとまりのあるストリングスサウンドに仕上げていくためのテクニックをお伝えしていきます。

ぜひ楽しみにお待ちください!

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