打楽器の楽器法④:オーケストラにおけるパーカッションの役割を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、オーケストラにおけるパーカッションの役割と具体的なアレンジテクニックについて解説していきます。
- オーケストラにおけるパーカッションの役割とは?
- パーカッションの効果的な使い方4選
弦楽器や管楽器とは違い、パーカッションは「必ず使わなくてはならない!」というものではありません。
ならば、オーケストラの中でパーカッションが持つ役割とは何なのか?
そのことを深掘りしながら、効果的な用法について解説していこうと思います。
打楽器の楽器法④:オーケストラにおけるパーカッションの役割を理解しよう!
オーケストラにおけるパーカッションの役割とは?
オーケストラにおけるパーカッションの役割とはどんなものなのでしょうか?
絶対的な答えではありませんが、オーケストラにおけるパーカッションの役割は「管弦楽器のサポート」だと考えています。
パーカッションがなくても楽曲は成立するけど、パーカッションがいることで楽曲の魅力がより引き立つ。
そのようなオーケストレーションを施していくことが何よりも大事です。
パーカッションを使うのか使わないのか?
使うとしたらどのように使うのか?
あらゆる可能性を探りながら、効果的な使い方を研究していくこともオーケストレーションの醍醐味なんですね!
パーカッションの効果的な使い方4選
パーカッションの使命が「管弦楽器のサポート」であることは理解できたと思います。
では、具体的にどのようにアレンジすれば良いのでしょうか?
基本的には以下の4点を考えると良いでしょう。
- オーケストラ全体のリズムを補強する
- ブレイクとして使用する
- 曲の雰囲気を深める
- パーカッションでテクスチャを作る
それぞれ解説していきます。
オーケストラ全体のリズムを補強する
パーカッションは打楽器、つまりリズム楽器と捉えることもできます。
ですから、パーカッションの大きな役割として「オーケストラ全体のリズムを補強する」というものが挙げられます。
オーケストラパーカッションは、バンドのドラムパートのように常時リズムを刻みながらテンポキープするものではありません。
しかし、やはりそこはリズム楽器。
パーカッションが入ることでオーケストラ全体のリズム感がイキイキしてきます。
楽曲が前へ進もうとする推進力をさらに増強させることができるわけですね。
例えば、マーチ(=行進曲)などはその最たる例です。
マーチにおける打楽器は、楽曲のリズム感を補強し大きな推進力を生み出します。
マーチの名曲に『星条旗よ永遠なれ』という楽曲がありますが、この曲では中間部を除いてスネアドラム・コンサートバスドラム・合わせシンバルがリズムを刻むことで、楽曲の推進力を司っています。
パーカッションがリズム感を増強している『星条旗よ永遠なれ』
ブレイクとして使用する
いわゆるドラムブレイクのように、楽曲の途中でパーカッションによる短いフレーズを挿入することで楽曲を印象付けることもできます。
フレーズとフレーズの合間に強烈なパーカッションのリズムを挟み込み、楽曲がさらっと流れてしまうのを防ぐ効果があります。
このブレイク、1〜2拍程度の短いものから数小節に渡るものまで様々。
オーケストラや吹奏楽においては、ティンパニやスネアドラムが主体となってブレイクが作られることが多いですね。
ブレイクの例を見てみましょう。
今からご紹介する楽曲はオーケストラではなく吹奏楽編成の曲ですが、考え方は同じです。
1:04付近でスネアとティンパニによるブレイクが挟まれています。
さらにその後の1:35付近でも、スネアの3連符→ティンパニの短いブレイクがあります。
直前までのフレーズとガラッと雰囲気が変わってとても印象的ですね。
架空の伝説のための前奏曲
曲の雰囲気を深める
楽曲のリズムを補強するばかりがパーカッションの役割ではありません。
弦楽器や管楽器にパーカッションを加えることで、楽曲が持つ雰囲気やニュアンスを深めることもできます。
次に紹介する動画は、ラヴェル作曲の『ボレロ』という楽曲です。(トロンボーンの記事でも一部紹介しましたね!)
この曲では、スネアドラムが楽曲全編に渡り一定のリズムを刻み続けることで曲の推進力を生み出しています。
一方で、その他のパーカッション「シンバル」「コンサートバスドラム」「ドラ」は、最後の最後クライマックスにだけ登場し、ド派手なサウンドで10分数にも及ぶ大作を一気に盛り上げます。
延々と同じテーマが繰り返される楽曲の最終局面でのみ解禁されるド派手なパーカッション。
これこそ、曲の雰囲気を深めている良い例と言えるでしょう。
パーカッションがクライマックスを盛り上げる『ボレロ』
動画14:03付近から上記3種のパーカッションが登場しますが、ぜひ楽曲全体を通して聞いてみてください。
クライマックスにおけるパーカッションの効果を強く感じることができると思います。
また、マレットパーカッションの記事でも紹介した『剣の舞』についても、パーカッションが曲の雰囲気を深めている好例と言えます。
楽曲冒頭のテーマはそれだけで緊迫感や焦燥感を感じるものですが、シロフォンによるの硬い木の質感が加わることでさらに切れ味を増しています。
シロフォンが加わることで緊迫感や焦燥感が助長されている『剣の舞』
パーカッションでテクスチャを作る
こちらは雰囲気づくりの一環ではありますが、より高度なテクニックをご紹介します。
マレットパーカッションや小物パーカッションを使ってテクスチャーをあしらうアレンジです。
まずは実例を聞いていただいた方がわかりやすいと思いますので、楽曲をご紹介します。
メロディ裏にパーカッションによるテクスチャをあしらった『The Warriors』
49秒付近からシロフォンとマリンバ、1:15からはピアノやハープも加わってテクスチャを形成しています。
(少々見づらいですが、スコア中央付近がマレットパーカッションとなります。)
いかがでしょうか?
シロフォンなどの木琴はアタック感がはっきりしているため、このような細かいフレーズでも明瞭に聞こえてきますね。
上記の楽曲はアレンジも難解かつ編成も特殊ではありますが、マレットパーカッションの使い方が卓越しているのでぜひゆっくりと聞きこんでみてください!
まとめ
というわけで、オーケストラにおけるパーカッションの役割と具体的なアレンジ例についてご紹介しました。
弦楽器や管楽器のサポートが基本である点をしっかり押さえた上で、それぞれのパーカッションの持ち味を生かした効果的な重ね方を研究することが大事。
今日ご紹介した事例が役立つと思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
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