オーケストラのモックアップ実践③:木管楽器の打込みテクニック・ショートノート編
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、前回に引き続き、木管楽器モックアップ実践テクニックをお届けします。
中編となる今回は、ショートノート系フレーズのモックアップを解説していきます。
- ショートノート系フレーズのモックアップ5ステップ
- モックアップ5ステップのポイント
ショートノート系フレーズとは、ロングノートとは逆、すなわちスタッカートなど短い音価を中心としたフレーズのこと。
前回ご紹介したロングノート系フレーズの打込みテクニックと組み合わせることで、より自然な仕上がりにすることができます。
そのためのテクニックを詳しく解説していきますので、バッチリ学んでいきましょう!
オーケストラのモックアップ実践③:木管楽器の打込みテクニック・ショートノート編
ショートノート系フレーズのモックアップ5ステップ
ショートノート系フレーズの打込みは以下の5ステップで取り組むとよいでしょう。
- フレーズをベタ打ちする
- 必要に応じてショートノート専用音色に置き換える
- 発音タイミングをバラつかせる
- ベロシティで音量とアタック感を調整
- 必要に応じてエクスプレッションを調整
まずは今回もベタ打ちしただけの音源をお聞きください。
そして、上記5ステップを使ってモックアップしたものが以下の音源になります。
とてもリアルな仕上がりになりましたね!
それでは今回も1つ1つのステップを詳しく解説していきます。
ステップ1:フレーズをベタ打ちする
ロングノート系フレーズ同様、まずはフレーズをそのまま打込んでいきます。
例によって、ここでは細かい調整は不要ですので淡々と打込んでいきましょう。
ステップ入力でも構いませんし、マウスでポチポチ打込んでもOKです。
ステップ2:必要に応じてショートノート専用音色に置き換える
次に、必要に応じてショートノート専用音色に置き換えていきましょう。
スタッカートなど音価の短い音を再現したい場合、単にデュレーションを短くするだけではリアルにならないことも少なくありません。
とくに「f(フォルテ)」以上の強いニュアンスを求める場合、ロングトーン系の音色では音の勢いや鋭さがとぼしく上手に再現できないことも。
したがって、ショートノート系フレーズを打込む際には、スタッカートなどの各種奏法をサンプリングした専用音色(アーティキュレーション)に置き換えていきましょう。
ロングノート系音色を短く切って打込んだものと、スタッカート専用音色を使ったものを聴き比べてみましょう。
ロングノート系音色を短く切って打込んだ例
スタッカート専用音色を使って打込んだ例
明らかに後者の方が音の勢い・鋭さが増したことがお分かりいただけると思います。
このように、ショートノート系フレーズを打込む際には、できる限り専用音色に切り替えて打込むことでよりリアルなサウンドに仕上がります。
ステップ3:発音タイミングをバラつかせる
ロングノート系フレーズ同様、ヒューマナイズ機能などを使って発音タイミングにバラつきを出します。
1パート1人で演奏することが前提の木管楽器では、このような細かい調整がリアルさにつながってきます。
ステップ4:ベロシティで音量とアタック感を調整
ショートノート系音色では、ベロシティの設定が重要なポイントとなります。
ロングノートのように音を持続させない分、エクスプレッションよりもベロシティで強弱をつけることが多くなるからです。
また、ベロシティを変えることによって音色も変化します。
とくにアタック感(音の立上りや鋭さ)の部分に着目して音色を選定するとよいでしょう。
がっつりアクセントをつけたいのか?それとも軽やかな印象にしあげたいのか?
フレーズにマッチしたベロシティに調整していきましょう。
ベロシティ調整前
ベロシティ調整後
ステップ5:必要に応じてエクスプレッションを調整
アクセントやマルカートなど、適度な長さが必要なショートノートを表現する必要がある場合は「ロングノート系音色+エクスプレッション」で再現します。
アクセントやマルカートは、音の出だしが強く即座に減衰する音形です。
したがって、そのような音量の変化をエクスプレッションで再現するわけですね。
また、ロングノート系同様、音の切れ際はエクスプレッションで自然に減衰するよう調整しましょう。
このようなエクスプレッションの処理は、やはり歌いながらイメージを膨らませることが重要です。
「パァーン」という余韻のある消え方なのか、それとも「パンッ」と切れ味のある消え方なのか?
歌いながらしっくりくるニュアンスを探し、それを再現するようなエクスプレッションを書くのがよいですね。
エクスプレッション処理前
エクスプレッション処理後
ちなみに、エクスプレッションを書くことで音の長さが変わって聞こえることもあります。
その場合は、デュレーションを調整して仕上げていきましょう。
まとめ
というわけで、ショートノート系フレーズの打込みテクニックについて詳しく解説しました。
ロングノート系、ショートノート系を自在に打込めるようになれば、あらゆるフレーズを再現可能になります。
ぜひ何度も繰り返し練習しながら、スキルを高めていってくださいね!
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