ジャンル別オルガンアレンジ①:ポップス・ロックのオルガンアレンジ&打込みテクニック!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、ポップス・ロックのオルガンアレンジ&打込みテクニックについて解説していきます。
- ポップス・ロックにおけるオルガンの特徴
- ポップス・ロックにおけるオルガンのサウンドメイク
- ポップス・ロックのオルガンアレンジ例
ハモンドオルガンは、ポップスはもちろんハードロックとの相性も抜群。
ギターやベースと共に演奏するバンド形式のオルガンでは、そのアレンジ方法にも独自のスタイルが見られます。
その特徴を理解して、かっこいいオルガンサウンドを作れるよう学んでいきましょう!
ジャンル別オルガンアレンジ①:ポップス・ロックのオルガンアレンジ&打込みテクニック!
ポップス・ロックにおけるオルガンの特徴
まずは、ポップスやロックにおけるオルガンの特徴についてみていきましょう。
ポップスやロックのオルガンには、以下のような特徴があります。
- グリッサンドを多用した白玉アレンジ
- 右手のみを使ったシンプルな演奏スタイル
ポピュラーやロックでは、エレキギターやエレキベース、ドラムなどのバンド楽器との共演が前提となることから、右手による高音の白玉を中心としたシンプルなアレンジが目立ちます。
積極的にバッキングを行うというよりも、バンド全体を盛り上げる役割に徹する方がそれらしくアレンジできるでしょう。
ともすると単調になりがちなオルガンの白玉ですが、エクスプレッションによる抑揚や、レスリー・スピード(レスリー・スピーカーの回転数)をコントロールすることで、驚くほどイキイキとしたサウンドに仕上がります。
また、両手を使ったグリッサンドも効果的で、音符の合間に適度にちりばめることでアグレッシブな演奏を実現しています。
ポップス・ロックのオルガンアレンジ例
なお、譜面に記載のある「Slow」「Fast」という表記は、レスリー・スピードの変更を指示するものです。
鍵盤下部のスイッチを切り替えてコントロールすることができるほか、MIDI打込み時には「モジュレーションホイール(CC#1)」を使った操作も可能です。
ポップス・ロックにおけるサウンドメイク
次に、サウンドメイクについて見ていきましょう。
ハモンドオルガンのサウンドは楽曲によって様々ではありますが、ここではハードロックの王道ともいえるパワフルな歪み系オルガンサウンドの作り方を解説していきます。
オルガン本体の設定
オルガン本体の設定は以下のような形になっています。
ドローバー
ドローバーは「ファットロック」と呼ばれる「88 8800 000」の設定を基本にアレンジを加えていきました。
(ちょうど上図の「LOWER(下鍵盤)」のドローバーばそのような形になっています。)
上鍵盤はそこからさらに調整を入れて「88 8580 003」という設定にしています。
ファットロックに、第3倍音による完全5度の響きと第8倍音によるきらびやかな倍音を追加した形です。
ビブラート・コーラス
上図左上のビブラート・コーラスセクションは全てオフにしています。
ビブラートやコーラスをかけることで音に厚みを出すことができますが、今回はレスリー・スピードを変えた際の音色の変化を際立たせるべく、あえてオフにした形です。
もちろん、サウンドに厚みを出したい場合はオンにしても構いません。
パーカッション
上図右上のパーカッション機能もオフになっています。
パーカッションをオンにすることでアタック感が明瞭になり粒立ちがよくなりますが、その分高次倍音の減衰が早くなるため、今回のようなパワフルな白玉サウンドには適しません。
パーカッション機能は、メロディの演奏やリズミカルなコンピングの際には良い効果をもたらしますので、そのような場合に使うと良いでしょう。
レスリー・スピーカー&アンプの設定
次に、レスリー・スピーカーとアンプの設定をみていきます。
今回は、通常のレスリー・スピーカーに加えて、ギターアンプの音を混ぜ込んでパワフルな歪みサウンドを作っています。
(ロックオルガンでは、レスリー・スピーカーだけでなくギターアンプを使った音作りも積極的に行われます。)
いずれもゲインを上げて適度な歪みをプラス、その分ボリュームツマミを絞って出力音量を下げることでバランスを取ります。
ちなみに、歪ませたいならギターアンプだけでも十分ではありますが、今回はレスリー・スピードの変更に伴う音色の変化も楽しみたいので両者を混ぜて使いました。
レスリー・スピーカーの設定
ギターアンプの設定
ポップス・ロックのオルガンアレンジ例
ここからは、ポップス・ロックにおけるオルガンのアレンジ例をご紹介していきます。
パターン①
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
冒頭でもご紹介した、グリッサンドを伴うパワーコードの白玉フレーズです。
音符自体は上段にしか記譜されていませんが、グリッサンドは両手で行います。
(グリスダウンは右手で、グリスアップは左手で演奏。)
前半部分はレスリー・スピードを「Slow」で演奏開始、3小節目からは「Fast」に変更して盛り上げています。
打込みのポイント
オルガンの打込みは、とにもかくにもエクスプレッションが命です。
とくに白玉での演奏は単調な印象になりがちですから、エクスプレッションを使ってしっかりと抑揚をつけて演奏しましょう。
いずれも、フォルテピアノからのクレッシェンドを意識して入力すると良いでしょう。
また、後半に進むにつれ徐々に盛り上がるようボリュームを大きくしていくのがコツです。
レスリー・スピードは、モジュレーションホイール(CC#1)を使って入力します。
モジュレーションホイールの値が0(〜63)ならば「Slow」、(64〜)127ならば「Fast」になります。
パターン②
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、コード演奏による白玉パターンです。
基本的な考え方はパターン①と全く変わりません。
打込みのポイント
打込みについても、パターン①と同様の考え方で問題ないでしょう。
1つ1つの音にフォルテピアノ+クレッシェンドを書き込むくらい細かくエディットして構いません。
例によって、後半はモジュレーションホイールを使ってレスリー・スピードを「Fast」 に切り替えましょう。
パターン③
オルガン&ベース&ドラム
オルガンのみ
フレーズの特徴
こちらは、単音の白玉に印象的なオカズをプラスしたパターンです。
最後の目まぐるしく動くフレーズは、白玉とともに右手のみで演奏されます。
小指でトップノート「A」を抑えながら、親指〜薬指までの4本の指でフレーズを演奏します。
このように、トップノートを保続した状態で細かいフレーズを演奏するスタイルは、オルガンではよくみられるプレイですので覚えておきましょう。
打込みのポイント
冒頭の白玉部分は、前2パターン同様フォルテピアノ+クレッシェンドで抑揚をつけます。
後半のオカズフレーズは、ラインの動きに合わせて細かいアクセントをつけると良いでしょう。
ちょうど「E」の音が演奏されるタイミングでエクスプレッションを軽めに減衰させ、音の出だしにアクセントをつける形です。
レスリー・スピードは最初から「Fast」になっていますので、演奏開始直後にモジュレーションホイールを127に設定しています。
まとめ
というわけで、ポップス・ロックのオルガンアレンジについて詳しく解説しました。
片手での演奏という点や、白玉が中心というシンプルさから、オルガンのアレンジや打込みの基本を学ぶのにも適したスタイルでしたね。
様々なロックオルガン奏者のプレイを研究することで、アレンジの幅もさらに広がると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください!
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