3種のマイナーキーで使用できるコードスケールを理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、「マイナーキーのコードスケール」について解説していきます。
- ナチュラルマイナーのコードスケール
- ハーモニックマイナーのコードスケール
- メロディックマイナーのコードスケール
- マイナーキーにおけるドミナントのコードスケール
マイナーキーにおいても、コードスケールを選定するための基本的な考え方は変わりません。
基本をしっかり押さえて、適切にスケールが選択できるよう学んでいきましょう!
マイナーキーのコードスケール
メジャーキー同様、マイナーキーのコードスケール選定も以下の2つの条件に従います。
- 【条件①】コードトーンのルートを起点とするスケールであること
- 【条件②】全てのコードトーンとアヴェイラブルテンションを含むスケールであること
また、ハーモニックマイナーとメロディックマイナーに存在する「V7」のコードはドミナントコードですので、ドミナントコードにおける特殊条件もプラスされます。
- 【条件③】ドミナントコードには、自由にオルタードテンションを加えることができる
- 【条件④】ただし、度数の同じナチュラルテンションとオルタードテンションは混在させてはならない
上記4点を踏まえた上で、各種マイナーキーのコードスケールを確認していきましょう。
ナチュラルマイナーのコードスケール
Im7
コードトーン「C,Eb,G,Bb」とアヴェイラブルテンション「D,F」を含むことから、Cエオリアンスケールがコードスケールとなります。
「Ab(b13th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
IIm7(b5)
コードトーン「D,F,Ab,C」とアヴェイラブルテンション「G,Bb」を含むことから、Dロクリアンスケールがコードスケールとなります。
「Eb(b9th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
bIIImaj7
コードトーン「Eb,G,Bb,D」とアヴェイラブルテンション「F,C」を含むことから、Ebイオニアンスケールがコードスケールとなります。
「Ab(11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
IVm7
コードトーン「F,Ab,C,Eb」とアヴェイラブルテンション「G,Bb,D」を含むことから、Fドリアンスケールがコードスケールとなります。
アヴォイドはありませんが、メジャーキーのIIm7同様「D(13th)」と「Ab(3rd)」の間にトライトーンが形成されるため取り扱いに注意が必要です。
Vm7
コードトーン「G,Bb,D,F」とアヴェイラブルテンション「C」を含むことから、Gフリジアンスケールがコードスケールとなります。
「Ab(b9th)」「Eb(b13th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
bVImaj7
コードトーン「Ab,C,Eb,G」とアヴェイラブルテンション「B,D,F」を含むことから、Abリディアンスケールがコードスケールとなります。
アヴォイドはありませんのでどの音も自由に使用できます。
bVII7
コードトーン「Bb,D,F,Ab」とアヴェイラブルテンション「C,G」を含むことから、Bbミクソリディアンスケールがコードスケールとなります。
「Eb(11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
ハーモニックマイナーのコードスケール
Im(maj7)
コードトーン「C,Eb,G,B」とアヴェイラブルテンション「D,F」を含むことから、Cハーモニックマイナースケールがコードスケールとなります。
「Ab(b13th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
IIm7(b5)
コードトーン「D,F,Ab,C」とアヴェイラブルテンション「G」を含むことから、Dロクリアンナチュラル13がコードスケールとなります。
「Eb(b9th)」「B(13th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
bIIIaug(maj7)
コードトーン「Eb,G,B,D」とアヴェイラブルテンション「F」を含むことから、Ebイオニアン#5がコードスケールとなります。
「Ab(11th)」「C(13th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
IVm7
コードトーン「F,Ab,C,Eb」とアヴェイラブルテンション「G,D」を含むことから、Fドリアン#11がコードスケールとなります。
「B(#11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
V7
コードトーン「G,B,D,F」とアヴェイラブルテンション「Ab,Eb」を含むことから、Gミクソリディアンb9,b13がコードスケールとなります。
「C(11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
bVImaj7
コードトーン「Ab,C,Eb,G」とアヴェイラブルテンション「D,F」を含むことから、Abリディアン#9がコードスケールとなります。
「B(#9th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
VIIdim7
コードトーン「B,D,F,Ab」とアヴェイラブルテンション「G」を含むことから、Bスーパーロクリアンbb7がコードスケールとなります。
「C(b9th)」「Eb(b11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
メロディックマイナーのコードスケール
Im(maj7)
コードトーン「C,Eb,G,B」とアヴェイラブルテンション「D,F,A」を含むことから、Cメロディックマイナースケールがコードスケールとなります。
アヴォイドはありませんのでどの音も自由に使用できます。
IIm7
コードトーン「D,F,A,C」とアヴェイラブルテンション「G,B」を含むことから、Dドリアンb2(Dドリアンb9)がコードスケールとなります。
「Eb(b9th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要なほか、「B(13th)」は「F(3rd)」とトライトーンを形成するため取り扱いに注意が必要です。
bIIIaug(maj7)
コードトーン「Eb,G,B,D」とアヴェイラブルテンション「F,A」を含むことから、Ebリディアン#5がコードスケールとなります。
「C(13th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
IV7
コードトーン「F,A,C,Eb」とアヴェイラブルテンション「G,B,D」を含むことから、Fリディアンb7がコードスケールとなります。
アヴォイドはありませんのでどの音も自由に使用できます。
V7
コードトーン「G,B,D,F」とアヴェイラブルテンション「A,Eb」を含むことから、Gミクソリディアンb13がコードスケールとなります。
「C(11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
VIm7(b5)
コードトーン「A,C,Eb,G」とアヴェイラブルテンション「B,D,F」を含むことから、Aエオリアンb5がコードスケールとなります。
アヴォイドはありませんのでどの音も自由に使用できます。
VIIm7(b5)
コードトーン「B,D,F,A」とアヴェイラブルテンション「G」を含むことから、Bbオルタードスケールがコードスケールとなります。
「C(b9th)」「Eb(b11th)」はアヴォイドのため、取り扱いに注意が必要です。
マイナーキーのドミナントにおける特殊なコードスケール
メジャーキーのドミナント同様、オルタードテンションを追加することでコードスケールの拡張を行うことができます。
ハーモニックマイナーのドミナントで使用できる特殊なコードスケール
ハーモニックマイナーでは、すでにダイアトニックスケール上に「b9th」と「b13th」を含んでいることから、デフォルトのコードスケールは前述した「ミクソリディアンb9,b13」となります。
そのほか、以下の2つのコードスケールを使用することができます。
V7(b9,#9,b13)
ミクソリディアンb9,b13に、さらに#9を加えた8音音階「ミクソリディアンb9,#9,b13」を使用できます。
「11th」がアヴォイドノートであることに加え、「5th」と「b13th」はコンディショナルアヴォイドノートとなりますので、取り扱いには注意が必要です。
V7(b9,#9,#11,b13)
ミクソリディアンb9,b13にふくまれる11thを半音上げて「#11」にすることで「オルタードスケール」の使用も可能になります。
アヴォイドノート、コンディショナルアヴォイドノート共に存在しないため、非常に使い勝手の良いコードスケールです。
メジャーキー同様、コードトーンのうち「5th」をオミット(省略)して運用するのが一般的です。
メロディックマイナーのドミナントで使用できる特殊なコードスケール
メロディックマイナーでは、ダイアトニックスケール上に「9th」と「b13th」を含んでいることから、デフォルトのコードスケールは「ミクソリディアンb13」となります。
そのほか、以下のコードスケールも使用することができます。
V7(9,#11,b13)
メロディックマイナーのV7では「ホールトーンスケール」を使用できます。
こちらも「5th」をオミットして運用するのが一般的です。
まとめ
というわけで、マイナーキーにおけるコードスケールについて解説しました。
基本的には、これまでに学んできたコードスケールの選定方法に従って選べば問題なく理解できるかと思います。
理屈をしっかり理解して、適切なコードスケールを選択できるように訓練していきましょう!
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