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EDMのMix実践編⑤:メロディパートのイコライジング&ダイナミクス!

こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。

今日は、フューチャーベースを題材に、メロディパートの音質調整実践テクニックをお伝えしていきます。

  • ピアノの音質調整
  • チェレスタの音質調整
  • プラックリードの音質調整
  • シンセリードの音質調整
  • ヴォーカルチョップの音質調整

イコライザー&コンプレッサーの基本テクニック」を使いながら、各トラックの目的・役割に応じて適切な処理を行う一部始終をご説明します。

他のパートとの共存を図りつつ、楽曲を引き立てるようにしっかりとメロディを聞かせるにはどうすれば良いのか?

その基本となる考え方とテクニックをお伝えしていきますので、ぜひお役立てください!

※本企画はデータ連動企画となっています。講師イナゲが作った楽曲のパラデータをダウンロードすることができますので、ぜひそちらも合わせてご活用ください!

データのダウンロードはこちら

こちらの楽曲のパラデータをダウンロードできます。

 

EDMのMix実践編⑤:メロディパートのイコライジング&ダイナミクス!

フューチャーベースのMix実践編⑤:メロディパートのイコライジング&ダイナミクス!

ピアノの音質調整

まずはヴァース〜ビルドアップで使用しているピアノの音質調整から見ていきましょう。

ピアノでは、以下のような処理を行っています。

  1. EQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト
  2. コンプで軽く音量を揃える
  3. アナログ系EQで存在感をプラス

■ EQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト

ピアノのEQのセッティングは以下のとおりです。

  • 中域の膨らみを2箇所カット
  • ハイを立てて輪郭をはっきりと
  • 110Hz以下をローカット
中域の膨らみを2箇所カット

モヤモヤした中域の膨らみが2箇所ほどあったので、そちらをカットしています。

ハイを立てて輪郭をはっきりと

例にもれず、ピアノもハイを立てることで輪郭がはっきりと出てきます。

ハンマーが弦を叩く際のアタック音を聞かせてあげるイメージです。

110Hz以下をローカット

今回はメロディでのみピアノを使用しているため、メロディ成分に不必要なローはカットしました。

もちろん、ピアノでコードやベースを演奏する場合はローも必要な成分となりますのでお気をつけください。

元のサウンド

EQ処理後

■ コンプで軽く音量を揃える

メロディの浮き沈みを防ぐべく、コンプで軽く音量を揃えています。

ピアノの場合、コンプをかけすぎるといかにもコンプ臭い音になってしまうので、レシオは「1.8:1」と控えめに、スレッショルドも浅めに設定して、飛び出たアタックだけを軽く抑える程度にとどめています。

コンプ処理後

■ アナログ系EQで存在感をプラス

コードパートの音質調整解説記事でもお伝えした、WAVESの「SSL G-Equalizer」。

これを使って高域成分をブーストすることで、音がグッと前に出てきて存在感のあるサウンドに仕上がります。

アナログEQ処理後

チェレスタの音質調整

イントロ〜ビルドアップまでオブリガートを演奏しているチェレスタですが、じつは2種類の音をレイヤーしています。

  • レイヤー1:純粋なチェレスタ系の音
  • レイヤー2:プラックリード系の音

いずれも、以下のような処理を行っています。

  1. REQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト
  2. コンプで軽く音量を揃える

■ EQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト

レイヤー1のEQ

レイヤー1では、主にチェレスタらしいキラキラしたサウンドが欲しかったため、ハイをしっかりとブーストしています。

また、中域はレイヤー2に委ねているため、ローカットを入れてガッツリ切り落としています。

元のサウンド

EQ処理後

レイヤー2のEQ

レイヤー2では不要な中域の膨らみを2箇所カットし、ハイを軽く立てて輪郭をプラスしています。

元のサウンド

EQ処理後

■ コンプで軽く音量を揃える

レイヤーしている2種類のトラックの目的に応じてコンプのかかり具合を調整しています。

レイヤー1のコンプ

前述のとおり、チェレスタらしいキラキラしたサウンドを採用したいため、アタック感を損なわないよう軽めに音量を揃える程度にとどめています。

コンプ処理後

レイヤー2のコンプ

一方で、こちらはしっかりとコンプをかけて音の浮き沈みを抑えています。

アタック感はレイヤー1で出し、音の太さや安定感はレイヤー2で出していくイメージです。

コンプ処理後

2つのレイヤーを混ぜ合わせると以下のようなサウンドになります。

元のサウンド

エフェクト音質調整後

プラックリードの音質調整

ヴァースの中盤から登場するプラックリードのオブリガートでは、シンプルにEQだけで処理を行いました。

コンプは、他のシンセとまとめてバスでかけている感じです。

バスコンプについては、コードパートの音質調整解説記事をご参照ください。

■ EQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト

プラックリードのEQセッティングは以下のとおりです。

  • 314Hz付近の膨らみをカット
  • ハイを立てて輪郭をはっきりと
  • 120Hz以下をローカット
314Hz付近の膨らみをカット

中域をスッキリさせて軽やかなサウンドに調整しました。

ハイを立てて輪郭をはっきりと

アタック感がしっかり出てくるよう、ハイシェルフで輪郭を強調しています。

120Hz以下をローカット

不要な低音はローカットすることでスッキリさせています。

元のサウンド

EQ処理後

シンセリードの音質調整

ドロップで使用しているシンセリードは、シンセコード同様ガッツリしたサウンドに仕上げる目的で2種のEQを使い分けています。

例によって、カット方面ではWAVESの「REQを、ブースト方面では同じくWAVESの「SSL G-Equalizerを使った形となります。

■ 1. カット方面のEQ処理

まずは、不要な成分をREQでカットしていきます。

処理内容は以下のとおりです。

  • 3700Hz付近のピークをカット
  • 351Hz以下をローカット
3700Hz付近のピークをカット

シンセコードでもお伝えしましたが、4000Hz付近にピークがあると、キンキンした耳障りなサウンドになってしまうのでカットしています。

351Hz以下をローカット

中低音以下はシンセコードとのバッティングを防ぐ意味で、しっかり目にローカットを入れています。

シンセコードと一緒に再生して、一体感が出るくらいが程よい加減かと思います。

元のサウンド

REQ処理後

■ 2. ブースト方面のEQ処理

つぎに、よりガッツのあるサウンドにするためにSSL G-Equalizerを使ってブーストしていきます。

処理内容は、シンセコードとほぼ同様。

以下のとおりとなります。

  • 4000Hz付近全体を少しブースト
  • 8000Hz以上ガッツリブースト
4000Hz付近全体を少しブースト

音がガツッと前に出てくるよう、4000Hz付近を中心に広めの範囲をブーストしています。

8000Hz以上ガッツリブースト

ギラついたサウンドを得るために、8000Hz以上をブーストしています。

SSL G-Equalizer処理後

ヴォーカルチョップの音質調整

最後に、ヴォーカルチョップを見ていきましょう。

ヴォーカルチョップにおいても基本は同じ。

その他のメロディパート同様に以下の処理を行いました。

  1. REQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト
  2. コンプで軽く音量を揃える

■ EQで不要な成分をカット&必要な成分をブースト

ヴォーカルチョップのEQは以下のようなセッティングにしています。

  • 526Hz付近の膨らみをカット
  • 2387Hz付近のピークをカット
  • 327Hz以下をローカット
  • 15kHz以上をハイカット
526Hz付近の膨らみをカット

ヴォーカルでは、400Hz〜600Hz付近にかけて、モヤモヤした共鳴がいることも少なくありません。

そのような部分はカットしてスッキリさせましょう。

2387Hz付近のピークをカット

今回は元素材の関係で2387Hz付近に耳につくピークがありました。

悪目立ちしないようカットしています。

327Hz以下をローカット

今回使用したヴォーカル素材はもともと低音成分がノイズしかなかったため、思い切ってカットしています。

通常のヴォーカルではこんなにカットしてしまうと明らかに音がペラッペラになるので注意しましょう。

15kHz以上をハイカット

素材に含まれるシャリシャリしたブレス系ノイズが悪目立ちしていたので、ハイをカットしてマイルドにしています。

元のサウンド

EQ処理後

■ コンプで軽く音量を揃える

ヴォーカルチョップでも、軽くコンプをかけて音量を揃えています。

通常のヴォーカルと違って単一の素材を加工して作ったものですので、1つ1つの音にそこまで大きなバラツキはありません。

軽めにかけて全体が程よく揃う程度で問題ないでしょう。

コンプ処理後

 

まとめ

というわけで、メロディパートの音質調整テクニックをガッツリ解説しました。

いずれの場合も、基本をしっかりと守りつつ、個々の音の役割や目的、音色が抱える問題に応じて適切な処理を行うことが大事です。

どこを聞かせたいのか?どう聞かせたいのか?

それをしっかりと考えながら、そのパートの役割を最大限に生かせるようなセッティングを検討していきましょう!

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