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アコギアレンジ基本スタイル②:アルペジオ&単音弾きの特徴と打込みテクニックをマスターしよう!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。

今日は、アコースティックギターのアレンジの基本スタイルの中から「アルペジオ」「単音弾き」について解説していきます。

  • アルペジオとスリーフィンガーの特徴
  • アルペジオの打込み方
  • 単音弾きの特徴
  • 単音弾きの打込み方

ストロークと並んでバッキングに多用される「アルペジオ」。

ソロなどのリードプレイに用いられる「単音弾き」。

いずれも、アコースティックギターアレンジにおいて基本となる重要なスタイルです。

バッチリマスターして、多彩な表現を身につけていきましょう!

※こちらの内容は動画でも学習することができます。

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アコギアレンジ基本スタイル②:アルペジオ&単音弾きの特徴と打込みテクニックをマスターしよう!

アルペジオとは?

左手でコードを押さえ、右手で和音を分散して弾くことを「アルペジオ」と言います。

アコースティックギターのアルペジオは、指弾きとピック弾き両方を使います。

時には、指ごとに独立した「フィンガーピック」を使うこともあります。

プレイヤーの好み、スタイルにもよりますが、メロウな楽曲やパート数が少なめの楽曲では「指弾き(フィンガーピックも含む)」、バンド編成やロックよりの曲では「ピック弾き」が使われることが多いようです。

ピック弾きを使うと、途中でストロークに変更しやすいこともその理由でしょう。

アルペジオのパターン

アルペジオのパターンに厳密な決まりはありませんが、比較的よく使われるパターンをいくつかご紹介します。

アルペジオ:パターン1

アルペジオ:パターン2

アルペジオ:パターン3

アルペジオ:パターン4

パターン1~3は指弾きで「p i m a(右手親指~薬指の指番号)」の4本を使っています。

この際、オモテ拍をしっかり目に、ウラ拍はやや弱目に演奏する傾向があります。

パターン4は、ピック弾きによる16分音符主体のリズムになっています。

この場合は、16分音符のストローク同様16分音符のオモテがダウンストローク、16分ウラがアップストロークになり、ダウンはしっかり目に、アップをやや弱めに演奏すると良いでしょう。

複数のアルペジオでアンサンブルする

複数のアルペジオパターンを使ってでアンサンブルすることもできます。

上記パターン1~3は各コードの頭でルートを弾いていますので単体でも成立するプレイになっています。

一方パターン4ではコード頭でルートを弾いておらず、かつコードが変わっても同じ音を演奏しているため、単体では成立しにくいフレーズになっています。

じつはこのパターン4、パターン1と合わせて演奏することを想定したものです。

パターン1とパターン4でアンサンブルをするとこのようなサウンドになります。

パターン1と4のアンサンブル

スリーフィンガーとは?

スリーフィンガーとは、その名の通り「3本の指」で演奏するスタイル

「p(親指)」「i(人差し指)」「m(中指)」の3本で演奏し、「a(薬指)」は使いません。

スリーフィンガーは16分音符を主体とした速いパターンでのアルペジオになりますが、各拍アタマのベース音と8分ウラの音は全て「p(親指)」で、合間の音は「i(人差し指)」と「m(中指)」の2本で演奏することになります。

このため、親指がなかなか忙しい演奏スタイルといえるでしょう。

70年代のフォークソングブームのころ〜80年代の歌謡曲、ニューミュージックではよく聞かれました。

最近でも意図的にフォークソングを意識したような楽曲では聞かれる奏法です。

スリーフィンガーのパターン

比較的よく使われるスリーフィンガーのパターンをいくつかご紹介します。

スリーフィンガー:パターン1

スリーフィンガー:パターン2

譜例をみていただくとお分かりいただけるように、大半の音を親指で演奏します。

この時、親指は強めに(ただし、オモテ拍よりウラ拍をやや弱目に)演奏するのが基本となります。

(カントリー、ギャロッピングなど、ウラ拍が強くなるジャンルも存在します。そちらについては今後の記事で解説します。)

合間の指の音は親指のウラ拍と同等か、それよりやや強めになる傾向があります。

アルペジオ/スリーフィンガーの装飾音

アルペジオやスリーフィンガーでは、随所に装飾音を織り交ぜながら演奏することで、より趣のあるフレーズに仕上がります。

この装飾音は、ハンマリング・オン」と「プリング・オフ」が比較的よく使われるテクニックです。

具体的な使用例は以下のような形になります。

アルペジオでの装飾例

スリーフィンガーでの装飾例

装飾音を入れるタイミングはプレイヤーのセンスや好みによりけりで明確な法則はありませんが、コード頭のタイミングは避けて入れることが多いです。

上記の譜例では低音弦のハンマリングが使われていますが、高音弦をプリングしたりすることもありますので覚えておきましょう。

アルペジオ/スリーフィンガーの打込み方

ここからは、アルペジオ/スリーフィンガーの打込みテクニックについて解説していきます。

打込み方のポイントは両者同じですので、ここではアルペジオを例に解説していきます。

具体的な手順は以下のとおりです。

  1. ベタ打ち
  2. ベロシティで強弱表現
  3. 同時発音する弦のズレを再現
  4. 各種ランダマイズ
  5. フレットノイズ追加

今回は前項のアルペジオ「パターン1」をBPM70で打込んでいきます。

MIDIでの打込み特有の注意点もありますのでしっかり理解して覚えていきましょう!

ベロシティで強弱をつける〜同時発音する弦のズレを再現

まずはベロシティで強弱をつけていきます。

ストロークの時と同様、オモテ拍よりウラ拍を少し弱く設定すると良いでしょう。

また、重音になる場合は少しタイミングをズラします。

ストローク時のような法則はありませんが今回は「ma」に向けて4ティックずらしてみました。

あくまで自然に聞こえるタイミングに調整していきましょう。

各ノートのデュレーションは後ほど調整しますが、現時点では「次にその弦が弾かれるまで」伸ばしておけば良いでしょう。

ただし、コードチェンジするタイミングでは指板から手を離すことになりますので、音を一度切るのが鉄則です。

各種ランダマイズ〜フレットノイズ追加

このままではまだ機械っぽいので、ベロシティと発音タイミングをランダマイズしていきましょう。

DAWランダマイズ(≒ヒューマナイズ)機能があればそういうものを活用しても構いません。

また、デュレーションもランダムにズラしていきましょう。

ギタリストによってクセは異なりますが、開放弦は長め、押弦している弦は低音弦ほど短めになるよう調整するとそれらしくなります。

6弦ギターの開放弦(低音側から「E-A-D-G-B-E」)に該当する音か否か?押弦しているか・いないか?を判別して設定しましょう。

さらにコードチェンジのタイミングで時折フレットノイズを鳴らすと効果的です。

どうでしょう?

大分リアルな感じになりましたね。

次のセクションではさらに装飾音も混ぜてみましょう。

装飾音の打ち込み方

ここからは、先ほどご紹介した「アルペジオでの装飾例」を打込んでみます。

今回打込むのは「ハンマリング・オン」を活用した装飾で、和音でハンマリングする部分もあります。

「ハンマリング・オン」や「プリング・オフ」を打込む場合にはピッチベンドを活用するのが基本です。

※音源によってはそのようなアーティキュレーションがあらかじめサンプリングされている場合もありますが、ここではピッチベンドを使った最も基本的な再現方法を解説していきます。

ハンマリングする音としない音が混在する場合はトラックを分けましょう。

ピッチベンドはトラックに打込まれている音全体にかかってしまうため、ハンマリングさせたくない他の音までピッチが変化してしまうからです。

また、和音部分などで異なる音程差のハンマリングを行いたい場合も、トラックを分ける必要があります。

今回は、メイントラック以外に装飾用のトラックを2つ用意しました。

最初2回のハンマリングは「装飾1」に打込んで、ピッチ変化させたくない音との競合を避けています。

最後のハンマリングは、4弦と2弦を同時にフィンガリングして4弦は全音、2弦は半音ハンマリングしています。

両者異なるベンド幅であるため、4弦側を「装飾1」に、2弦側を「装飾2」に分けて打込みました。

この時、タイミングもぴったり同時になってしまわないよう、気持ちズラしてあります。

やや手間暇はかかりますが、なかなかアコースティックギターらしい繊細なトラックが作れましたね。

単音弾き

ここからは、リードプレイなどでよく使われる「単音弾き」について解説していきます。

「単音弾き」とは、和音ではなく単音で弾く奏法です。(部分的に和音を弾くこともあります。)

主にメロディやオブリガートなど、リードプレイで用いる奏法になります。

指弾きでプレイするギタリストもいますが、多くの場合ピックで弾くことが多いでしょう。

単音弾きの例

単音弾きをする際には「ハンマリング/プリング」の他に「ビブラート」や「スライド」など、さまざまなアーティキュレーションを使うことでギターらしいニュアンスが出せます。

メロディを弾くという特性上、これといった決まりやパターンがあるわけではありませんが、上記のアーティキュレーションを取り入れてフレーズを組み立てるとそれらしくなります。

今回は以下のようなフレーズを作ってみました。

ちなみに、バッキングには左にアルペジオ(装飾音あり)、右にアルペジオ「パターン4」を使っています。

2小節目の「H.U」~「H.D」は、ハーフ・チョークアップからのハーフ・チョークダウンです。

チョーキングで半音上がった状態でピッキングし、次の16分音符のタイミングで通常音に戻しています。

各種奏法の解説は以下の記事をご覧ください。

単音弾きの打込み方

前項の単音弾きのデモ演奏を打ち込んでいきましょう!

まずは打込んだ音源をお聞きください。

単音弾きの打ち込み例

以下の手順に従って打込んでいます。

  1. 各種アーティキュレーションの表現
    • ①スライド
    • ②ビブラート
    • ③プリング・オフ
    • ④弱いビブラート
    • ⑤ハーフ・チョークアップ〜チョークダウン
    • ⑥ハンマリング・オン
  2. ベロシティの調整

順に解説していきましょう。

各種アーティキュレーションの調整

① スライド

スライドでは、フレットを通過する瞬間に音程が上がります。

ギターの構造的に考えれば、全音分スライドさせたい場合は、半音2個分のピッチベンドを段階的に入力すればOKなのですが、実際には音が滑るような微妙な変化も起きていますので、ここでは2回の半音アップそれぞれの直前に1/4音のベンドも付け加えています。

合計4箇所ピッチベンドを入力した形ですね。

② ビブラート

このビブラートはチョーキングの繰り返しによるものですので、ピッチベンドで音程を上げることで再現しています。

音程が段階的に変化するハンマリングやスライドと違って滑らかに音程変化しますので、できる限り細かく打った方がそれらしくなります。

ビブラートの強さやスピードはギタリストによって千差万別ですから、さまざまなギタリストの演奏を聞いて特徴をマネてみましょう。

③ プリング・オフ

ハンマリング同様に、音程を変えたい場所にピッチベンドを入力します。

④ 弱いビブラート

②に比べるとかなり弱いビブラートです。

単純にピッチベンドの振れ幅を小さくすればOKです。

⑤ ハーフ・チョークアップ〜チョークダウン

半音上げた状態でピッキングしてからのチョークダウンです。

ビブラート同様に滑らかなピッチベンド入力がポイントです。

⑥ ハンマリング・オン

③と同様に、音程を変化させたいポイントにピッチベンドを入力しましょう。

ベロシティの調整

続いてベロシティに変化を付けます。

ギターを始め、多くの楽器は音量の変化とともに音色も変化していきます。

強く弾くと明るくハッキリした音色、弱く弾くと甘く柔らかい音色になります。

多くの音源は強弱に合わせて自動で音色が変わりますので、音色の変化を気にしつつベロシティに強弱をつけてみましょう。

今回の例では、アーティキュレーションを目立たせたい部分やロングトーン部分は強めのベロシティで打込んでいます。

逆に、16分音符程度の細かい音符や、ロングトーンでも弱めのアーティキュレーションを用いている部分はベロシティも弱めに設定しました。

また、フレーズの合間やスライドのタイミングにフレットノイズをさりげなくあしらっています。

まとめ

というわけで、アコースティックギターのアルペジオ~単音弾きの特徴と打込みテクニックを解説しました。

とくに単音弾きについては、ギタリストによってプレイスタイルやニュアンス表現も多岐にわたるため、様々なプレイを研究しながら好みのニュアンスを掴んでくださいね。

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