ジャンル別アコギアレンジ④:カントリーのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。
ジャンル別アコギアレンジ最後の記事となる今回は、「カントリー」におけるアコースティックギターのアレンジ&打込みテクニックについて解説していきます。
- カントリーとは?
- カントリーのアレンジスタイル
- 各種打込みテクニック
アメリカ土着の音楽をルーツとしながらも、現代の音楽にも多大な影響を与えているカントリー。
ポピュラー音楽はもちろんですが、映画やテーマパークなどさまざまなシーンで耳にすることも多いですね。
その特徴や各種テクニックを理解して、アレンジの幅を広げていきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ジャンル別アコギアレンジ④:カントリーのアレンジと打込みテクニックをマスターしよう!
カントリーとは?
欧州の民謡や伝統音楽をベースに、アメリカへ渡った移民の間で発展、流行した音楽がカントリーミュージックです。
「田舎の音楽」という意味のカントリーミュージックですが、発祥の地がアメリカ南西部の田舎であることがその由来です。
とくにナッシュビルはカントリーの聖地として音楽産業が栄えました。
カントリーの特徴として、覚えやすいシンプルな楽曲と、ギターを中心にバンジョーやフィドル、マンドリン 、ウッドベースなどアコースティック楽器を用いたバンド編成で演奏されることが多いです。
音楽業界の流行とともに、ポップスやロックの影響なども取り入れながら人気の音楽ジャンルとして発展していきました。
昨今においてもビルボードのヒットチャート上位に多くのカントリーソングが見られ、いまだに根強い人気を誇ります。
世界的なヒットを連発するテイラー・スウィフトも今でこそ多様なポップソングを歌っていますが、デビュー当時はカントリーソングを歌っていました。
テイラーのようにカントリー出身からポップスターになった例も珍しくありません。
カントリーのアレンジ
カントリーミュージックでのアコースティックギターアレンジを3つのタイプに分けて解説していきます。
それぞれに特徴的な奏法や音づかいがありますので、しっかり理解していきましょう。
- ①王道バッキング系ストローク
- ②バラード系16ビートストローク
- ③ラグタイム系フィンガーピッキング
① 王道バッキング系ストローク
音源
パターンの特徴
「カントリーやラグタイムにおけるアコギのバッキングといえばこれ!」というくらい王道のパターンです。
大きな特徴として、オモテ拍はベースランニング、ウラ拍が16分音符のストロークになっている点があげられます。
「カーターファミリーピッキング」と呼ばれるカントリーの演奏法に近い形をとっていますが、「カーターファミリーピッキング」ではサムピックと人差し指で弾かれるのに対し、こちらではフラットピックによるストロークを想定しています。
2拍4拍にアクセントを付けつつ、1拍3拍のベース音もしっかり鳴らしましょう。
このデモでは、以下のようなオカズを入れています。
- 2拍目:ハンマリング・オン
- 4拍目:次のコードに移行するための短いメロ
- 4小節目:エンディングを飾るべくバンジョー風のリック(フィルイン的な短いフレーズ)
「D#」から「E」に上行する半音階はカントリーやブルーグラスでお決まりのフレーズとなっています。
カントリーギターにおいては、常にCメジャースケールに「D#」が加わっていると考えても差し支えないほど多用されます。
このような音づかいはカントリーの楽曲をたくさん聴いて研究してみてください。
打込みのポイント
ストロークは16分音符のオモテかウラかでダウン/アップが決まりますので、ストロークの打込みの基本にならってタイミングをズラしながら打込みましょう。
2、4拍目のハンマリングや最後のリックにおけるプリングはピッチベンドで入力しています。
もちろん、専用のアーティキュレーションが用意されている音源をお使いの場合はキースイッチで打込んでも構いません。
2、4拍目はストロークの音とハンマリングが被るため、トラックを分けて競合を回避しましょう。
② バラード系16ビートストローク
音源
音源(ギターのみ)
パターンの特徴
スローテンポのバラード曲などで使われる16ビートストロークです。
カントリーの中でも、ロック・ポップス寄りのバラードなどでよく聴かれるパターンです。
弾き方は「ポップス〜ロックのアレンジと打込みテクニック」でご紹介している「ポップロック系楽曲」とほぼ同じですが、あちらと比較して16分音符はカチッと弾かず、軽めのシャッフルで少し跳ねたニュアンスで演奏するのが特徴です。
音づかいにも特徴があり、1、2弦はコードチェンジしても常に「G」と「D」を弾いています。
前述の「ポップロック系楽曲」同様、高音部のペダルトーンが使われているのですが、特にGのキーにおいてこのコードフォームが多用されるので覚えておいてください。
ドミナントの「D」コードにおいては「F#」に下げる場合もありますが、「G」「C」「Em」ではこのフォームを使うことが多く、よりカントリーらしい響きが得られます。
打込みのポイント
ストロークパターンは前述の「ポップロック系楽曲」と概ね同じですが、こちらではカントリーバラードらしく軽く跳ねていて、16分音符ウラが軽くシャッフルしている形になります。
サンプルでは、ジャストの16分とシャッフル(3連符)のちょうど真ん中ぐらい、スウィング値50%程度の軽めのシャッフルで打込んでいます。
値に明確な決まりはありませんので、ご自身がしっくりくるポイントを探してみてください。
今回は、スウィング機能は使わず、目分量でランダムに調整することでさらに生演奏のような揺らぎを演出しています。
それ以外はこれまで同様、タイミングやベロシティ、デュレーションをランダムにズラしながら打込めばOKです。
③ ラグタイム系フィンガーピッキング
音源
こちらは、ラグタイムやロカビリーなどで使われる「ギャロッピング奏法」というフィンガーピッキングを想定したスタイルです。
奏者によってフラットピックを使ったり、フィンガーピックを装着したりとさまざまですが、ここではフィンガーピッキングを想定して打込みました。
軽快かつ高速なフレーズが特徴的なこの奏法、さまざまなミュージシャンが名演を残していますが、とくに故チェット・アトキンス氏のプレイは、この演奏を代表する名演として歴史に残っています。
『Black Mountain Rag』チェット・アトキンス
パターンの特徴
①のバッキング同様、ベースはランニングさせつつ、スリーフィンガーで細かい音符を演奏します。
1拍目ウラと2拍目の16分音符2個目にアクセント(3、4拍目も同様)をつけるのが特徴です。
コード「D7」の時は、ベースが「D」「A」とランニングしていますが、コード「G」ではルートの「G」から動いていません。
これは、ベース音を5弦で演奏する「D7」では押弦と解放を繰り返すことで簡単にランニングさせられる一方で、6弦がベース音の「G」では、メロディを弾きながらランニングさせるのが難しかったためです。
このジャンルに限らず「押さえにくい」という理由でランニングさせないということはよくあります。(そもそも演奏不可能な場合もあります。)
4〜5小節目にかけて長めのリックを弾いていますが、①同様、ルートに対して短三度の「A#」の音が特徴的に使われています。
2オクターブ近い音域を高速で駆け下りる際、スライドやプリングなどを多用するとよりそれらしくなるでしょう。
4小節目の2拍目はの「A#(3弦3F)」から「B(2弦開放弦)」の音にかけて開放弦を取り入れて速いフレーズを弾きやすくしています。
打込みのポイント
この奏法ではベース音を強めに弾くことが多いのですが、その際弦をすくい上げるようなフォームでスラップ奏法のように弾くことがあります。
これを再現するため、ここでは別トラックにスラップ系サンプルを用意し部分的に混ぜてみました。(全部やるとクドくて嘘くさくなってしまいますので注意が必要です。)
スライドやプリングは、ピッチベンドまたは音源に収録されている専用アーティキュレーションを使ってください。
それ以外はこれまで同様、ベロシティ、タイミング、デュレーションなどをランダムにズラせばOKです。
まとめ
というわけで、カントリースタイルのアレンジ&打込みテクニックを解説しました。
その他のジャンルに比べると日本人には馴染みの薄いジャンルかもしれませんが、アメリカでは現代のヒット曲の中にもカントリーの影響が見られるものも少なくありません。
ぜひこの機会に学んでいただき、アレンジに取り入れていただければ幸いです。
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