ギターの基礎知識②:エレクトリックギターの種類を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師、作曲家の青山シゲルです。
今日は、前回ご紹介したアコースティックギターに続き、エレクトリックギターの構造や種類について詳しく解説していきます。
- エレクトリックギターの構造
- ピックアップの種類
- エレクトリックギターの主なモデル
- その他のバリエーション
エレクトリックギターは、そのモデルによってサウンドや構造も大きく異なります。
これらの違いを理解しておくことで、楽曲にマッチしたギターの選定が格段にやりやすくなるでしょう。
この機会にしっかりと学んでいきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
ギターの基礎知識②:エレクトリックギターの種類を理解しよう!
エレクトリックギターの構造
エレクトリックギター(通称「エレキギター」)は、ピックアップを用いて弦の振動を電気信号に変換し、アンプで音を増幅して発音するギターの総称です。
ボディの構造から「ホロウボディ」「ソリッドボディ」の2タイプに分かれます。
ホロウボディ・ギター
1930年代頃から、アコースティックギターに「ピックアップ(磁石を用いて音声を電気信号に変換する部品)」を取り付けたモデルが登場しました。
これを改良したものが、後に「ホロウボディ・ギター」のベースとなります。
ホロウボディ・ギターは、アコースティックギター同様空洞のボディを持ち、本体を響かせつつ電気で増幅させるスタイル。
ジャズを始めとしたミュージシャンから人気を博しました。
しかし、この構造はハウリング(集音装置と拡声装置の間で音が回って共振してしまう現象)に弱く、大音量のステージには不向きでした。
ホロウボディ・ギターは、以下の2種類が代表的です。
- フル・アコースティックギター(通称「フルアコ」):アコースティックギターに限りなく近い構造が特徴
- セミ・アコースティックギター(通称「セミアコ」):薄いボディとハウリングしにくい構造が特徴
ホロウボディ・ギター サウンド①:『My Funny Valentine』Joe Pass
ホロウボディ・ギター サウンド②:『Someday After A While』Eric Clapton
ソリッドボディ・ギター
ホロウボディ・ギターの弱点を改良すべく生まれたのが「ソリッドボディ・ギター」です。
ソリッドボディ・ギターは、ハウリングなどのトラブルを克服することと、楽器の量産を可能にすることを目的として開発されました。
一枚板、もしくは何枚かの板を貼り合わせて一枚板にした、空洞のない中身の詰まったボディであるため、余分な振動を起こさずハウリングに強い構造を実現しています。
その第一号は、アメリカのFender社が1949年に発売した「エスクワイヤー(後述するテレキャスターの原型)」で、その後のエレクトリックギターに多く用いられる構造となりました。
ソリッドボディ・ギターは、大音量が必要とされるロックのミュージシャンから絶大な人気を得て、その後のポピュラー音楽に欠かせない楽器となりました。
ソリッドボディ・ギター サウンド①:『世界は日の出を待っている』Les Paul & Mary Ford
ソリッドボディ・ギター サウンド②:『移民の歌』Led Zeppelin
ピックアップの種類
前述の通り、エレクトリックギターは「ピックアップ」を用いて弦の振動を電気信号へと変換します。
このピックアップには主に以下の2種類が存在し、それぞれ音も大きく異なります。
- シングルコイル
- ハムバッカー
このサウンドの違いがジャンルにも影響してきますのでしっかり把握しておきましょう。
シングルコイルの特徴
シングルコイルピックアップは、磁石の周りに巻き付けられた単一のコイルで出来ています。
シングルコイルピックアップを搭載したギターのサウンドは、歯切れがよく明るく透明感があるというのが特徴です。
主にFender社の「テレキャスター」「ストラトキャスター」などが有名ですね。
反面、シングルコイルには「ノイズが発生しやすい」という弱点があり、後述のハムバッカーが開発されることとなります。
シングルコイル サウンド
ハムバッカーの特徴
ハムバッカーピックアップは2本のシングルコイルピックアップを組み合わせることでノイズの軽減と音のパワーアップを実現しています。
ハムバッカーピックアップを搭載したギターのサウンドは、シングルコイルに比べてノイズに強く、音が太い、パワーが強いという特徴があります。
Gibson社の「レスポール」「SG」などが有名です。
ハイパワーのため音量を上げると歪みやすく、ロックミュージックにおいてはそのドライブサウンドも重宝されることになりました。
ハムバッカー サウンド
エレクトリックギターの主なモデル
エレクトリックギターは多くのブランドから様々なモデルが発売されていますが、歴史的、サウンド的な両面から代表的なモデルがいくつか存在します。
これらの特徴を知っておくことはギターアレンジにおいてとても重要ですのでしっかり覚えておきましょう。
ここでは、以下の4種類のギターをご紹介します。
- テレキャスター
- ストラトキャスター
- レスポール
- ES-335
テレキャスターの特徴
前述した世界初のソリッドギター「エスクワイヤー」に改良を重ね、Fender社が1951年に発売したのが「テレキャスター(通称「テレキャス」)」です。
年代によって材質や仕様の違いがありますが、2つのシングルコイルピックアップを搭載し、ジャキーンとした歯切れ良くアタックの速いサウンドが特徴です。
ロック、カントリーからジャズまで幅広く使われていますが、昨今のJ-POPやアニソンでもそのサウンドを多く聴くことができます。
テレキャスター
ストラトキャスターの特徴
Fender社がテレキャスターをもとに、演奏性や機能面でのアップデートを図りつつ、さらに大量生産しやすい構造で新たに開発、1954年に発売したのが「ストラトキャスター(通称「ストラト」 )」です。
テレキャスターの2ピックアップ仕様に対し、センターも含めた3ピックアップ仕様(シングルコイル)が特徴。
また、このモデルのために設計された「トレモロユニット(ビブラートをかけるためのユニット)」を搭載するなど、個性的で幅広い音作りが可能なモデルとなりました。
ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトン、リッチー・ブラックモア等のレジェンドなギタリストから、ジョン・メイヤー、ジョン・フルシアンテまでストラト愛用者は多く、どんなジャンルでもオールラウンドに使えるギターといえます。
ストラトキャスター
レスポールの特徴
つづいて「レスポール」の特徴を見ていきましょう。
テレキャスターやストラトキャスターとは違い、こちらはハムバッカータイプになります。
(初期及び一部のモデルにはシングルコイルを搭載したものも存在します。)
Gibson社が1952年に発売、2基のハムバッカーピックアップを搭載しています。
Fender社のギターと比べて非常に重たいギターですが、サスティンに優れ太くてパワフルなサウンドを持ちます。
これらの特徴とも相まって、レスポールを大音量で歪ませたサウンドはロックギターの代名詞にもなりました。
ジミー・ペイジ、スラッシュ等、ブルース~ハードロック系のギタリストに人気を博しましたが、様々なジャンルで長く愛用されてきたモデルです。
レスポール
ES-335の特徴
「ES-335」は、ここまで紹介して来た3モデル(ソリッドボディ・ギター)とは違い、ホロウボディ・ギターに分類され、その中でもセミアコタイプの最も代表的なモデルになります。
セミアコはフルアコに比べてボディが薄く響きを抑えているのに加え、センターブロックという木材を内部に組み込みハウリングしにくい構造になっています。
そのため、ジャズ・フュージョンのみならず、ブルースやロック系のミュージシャンにまで幅広く受け入れられました。
ラリーカールトンが1978年にリリースしたフュージョンの名曲『ルーム335』は、曲名にそのままこのギターの品番が用いられ、更にその名を有名にしました。
ES-335 サウンド:『Room 335』Larry Carlton with Lee Ritenour
その他のバリエーション
最後に、エレクトリックのギターのバリエーションとして多弦ギターを2種類ご紹介します。
- 7弦ギター
- 12弦ギター
とくに7弦ギターなどはヘヴィーメタル系の音楽において非常に重要なサウンドをもたらしますので覚えておきましょう!
7弦ギター
通常の6本弦にさらに低い弦を1本加え7本の弦を張ったものが7弦ギターです。
とくにエレクトリックギターの場合は、時代の変遷と共にさらなる重低音が求められるようになったヘヴィーメタルにおいて使用するギタリストが増えていきました。
通常の6弦の最低音が「E」なのに対し、7弦では完全4度低い「B」が最低音となります。
ドロップチューニング (変則チューニングの一種。チューニングの記事で解説。)などを用いることでさらに低い音を出すこともあります。
90年代半ば以降のコーン、リンプビズキットといったグランジブーム以降のメタル系バンドでその使用が顕著になり、現在のメタルシーンにおいては欠かせないサウンドとなりました。
7弦ギター
12弦ギター
アコースティックギター同様、エレクトリックギターにも12弦のモデルが存在します。
12弦ギターの細かい説明についてはアコースティックギターの記事を参照ください。
やはりその特徴的なサウンドから多くの楽曲で使われていますが、とくに初期ビートルズではジョージ・ハリスンが奏でる12弦サウンドが特徴的ですね。
『A Hard Days Night』『Ticket to Ride』など代表曲の多くでそのサウンドを聴くことができます。
邦楽では『空も飛べるはず(スピッツ)』などでも印象的に使われています。
12弦ギター
まとめ
今回はエレクトリックギターの種類や構造、サウンド等をご紹介しました。
電気を使う性質上、アコースティックギターよりもはるかに種類も多くサウンドのバリエーションも豊富です。
とくにポップ~ロックミュージックのアレンジにおいて不可欠な存在ですので、特徴を理解してアレンジに役立てていただけると幸いです。
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