キーボードの基礎知識④:クラビネットの種類とその構造を理解しよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日は、クラビネットの種類と構造について解説していきます。
- クラビネットとは?
- クラビネットの種類と構造
- クラビネット
- バイバネット
クラシック音楽で用いられる「クラビコード」を祖先にもつクラビネット。
その独特のサウンドは、ファンク、ソウル、R&Bなど、多くのブラックミュージックで採用されてきました。
その特徴について詳しく解説していきますので、バッチリ学んでいきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
キーボードの基礎知識④:クラビネットの種類とその構造を理解しよう!
クラビネットとは?
クラビネットとは、「クラビコード」という楽器にピックアップなどの電気回路を取り付けた楽器です。
まずは、祖先である「クラビコード」から解説した方が理解しやすいと思いますので、順にご説明していきます。
クラビコードとは?
クラビコードは、チェンバロやピアノ、オルガンとともに古くからクラシック音楽で使われていた鍵盤楽器の一種。
その発音機構はピアノによく似ていますが、フェルトのついた柔らかなハンマーで弦を叩くアコースティックピアノに対し、クラビコードは「タンジェント」と呼ばれる金属製のパーツで弦を叩きます。
このことから、そのサウンドも金属的な倍音を多く含む独特のものとなっています。
サウンドの傾向としては「チェンバロ」に近いものがありますが、以下の2点において違いがありますので覚えておきましょう。
- 弦を叩いて発音すること(チェンバロは弦を弾いて発音)
- 強弱表現が可能なこと(チェンバロは強弱表現が不可能)
また、打鍵後鍵盤を強く押し込むことで、ギターのチョーキングのように弦を押し上げてピッチを揺らすこともできます。
これにより、鍵盤楽器では珍しい「ビブラート」を実現することもできます。
クラビコードの演奏
クラビネットの誕生
前述のクラビコードの仕組みを採用しつつ、それをピックアップで集音&アンプで増幅して発音するのが「クラビネット」です。
エレクトリックピアノの記事でも登場したアメリカのホーナー社によって1963年に開発されました。
元となったクラビコードのような金属的な明るいサウンドはそのままに、電気回路によるファットな音色を実現しています。
その歯切れの良いパーカッシブなサウンドは、ファンク、ソウル、R&Bなどのブラックミュージックと相性がよく、多くのミュージシャンに愛されました。
クラビネットを使った名曲:Stevie Wonder『Higher Ground』
クラビネットの種類と構造
クラビネットといえば、やはり代表的なものは前述のホーナー社の製品に集約されます。
その発音機構も同一のものであり、サウンドの傾向も共通します。
したがって、ここではホーナー社のクラビネットを中心に解説を進めながら、クラビネットの現代版ともいえるビンテージ・バイブ社の「Vibanet(バイバネット)」についても軽く触れていこうと思います。
- クラビネット
- バイバネット
■ クラビネット
クラビネットの定番中の定番といえば、ホーナー社の各種クラビネットです。
エレクトリックピアノの記事で解説した「ホーナー・ピアネット」から派生した楽器ともいえる存在で、のちに「ピアネット」を包含したクラビネットが開発されることになります。
発音構造としては、金属のタンジェントがついたクラビコードとは違い、硬いゴム製のタンジェントがついたハンマーで弦を叩くことで発音します。
厳密には、叩いた弦が「ハープ」と呼ばれる金属フレームに叩きつけられる衝撃で発音する関係上、クラビコードのような発音後の音程変化をつけることはできません。
その分、クラビコードよりもより明瞭なアタックを持つサウンドが生まれ、独特のパーカッシブなサウンドを得ることができるわけですね。
また、ワウをはじめとした各種エフェクターとの相性がよく、そのファンキーなサウンドが数々の名曲で採用されることになります。
クラビネットの演奏
■ バイバネット
ローズ・ピアノやクラビネットなどのビンテージキーボードの修理や部品製造を行っている、ビンテージ・バイブ社から2014年に発売されたのがこちらのバイバネット。
比較的新しい製品ということもあり、その機能もより現代風に進化したクラビネットといえるものです。
本来外付けで用いられるワウ機能を内蔵しているため、楽器単体で独特のワウサウンドを作ることができます。
また、内蔵イコライザーや、複数ピックアップの切り替えなど多彩な音作りができる点も魅力。
弦の振動を抑制するミュートレバーも搭載されており、より歯切れの良いサウンドを作れる点も大きな特徴となっています。
まさに現代におけるクラビネットの定番製品に仕上がっているといえるでしょう。
バイバネットの演奏
まとめ
というわけで、クラビネットの種類とその構造についてお伝えしました。
その種類こそ限定的なものの、独特のサウンドは今なお様々な楽曲で採用され続けています。
効果的に使いこなせるとアレンジの幅もグンと広がりますので、今日の記事を参考に理解を深めていってください!
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