キーボードのモックアップ⑦:キーボードの強弱表現後編!エクスプレッション設定をマスターしよう!
こんにちは、作曲家・稲毛謙介です。
今日も前回に引き続きキーボードの強弱表現について解説していきます。
今回は、キーボードのエクスプレッション設定について。
- エクスプレッションの基本
- エクスプレッションを使ったさまざまな表現
- エクスプレッション取り扱い時の注意点
ハモンドオルガンは、その構造上ベロシティ(=打鍵の強さ)によって強弱をつけることができませんので、代わりにエクスプレッションを使って強弱表現を行うことになります。
今日はそんなハモンドオルガンにおけるエクスプレッションの用法について解説していきます。
楽しく学んでいきましょう!
※こちらの内容は動画でも学習することができます。
キーボードのモックアップ⑦:キーボードの強弱表現後編!エクスプレッション設定をマスターしよう!
エクスプレッションの基本
個々のノートに対して強弱が設定可能だったベロシティに対し、エクスプレッションはトラック全体の音量に反映されるため、ノートごとに細かく強弱をつけることはできません。
しかしながら、エクスプレッションにはベロシティにない大きな強みがあります。
それは、ノートの発音後も自由に音量を変更できるということ。
これは、ロングトーン(長い持続音)が演奏可能なオルガンと非常に相性の良いものであるといえます。
クレッシェンドやデクレッシェンドを表現したり、細かい表情づけを行ったりと、エクスプレッションの可能性は無限大。
よりイキイキとしたオルガンの演奏を実現するために、エクスプレッションを有効活用していきましょう。
エクスプレッションの入力方法
エクスプレッションを入力するには、下図のようにピアノロールの下にグラフを書き込みます。
手書きで入力するのも良いですが、より実際の演奏に近い形で入力したいならば、エクスプレッションペダルを購入するのもよい方法です。
試しに、エクスプレッションがない状態のオルガンと、エクスプレッションを書いたオルガンを聴き比べてみましょう。
後者の方がよりイキイキとした演奏になっていることがおわかりいただけると思います。
エクスプレッションのない演奏(オルガンのみ)
エクスプレッションのない演奏(ベースあり)
エクスプレッションを書いた演奏(オルガンのみ)
エクスプレッションを書いた演奏(ベースあり)
エクスプレッションを使ったさまざまな表現
エクスプレッションを使うことで、ハモンドオルガンの演奏に様々なニュアンスをつけることができます。
- クレッシェンド&デクレッシェンド
- フォルテピアノ
- アクセント&マルカート
クレッシェンド&デクレッシェンド
エクスプレッションによる強弱表現の中で最も基本となるのが「クレッシェンド」と「デクレッシェンド」。
単調なロングトーンも、「クレッシェンド」や「デクレッシェンド」をつけて演奏することで躍動感が生まれます。
クレッシェンド
デクレッシェンド
フォルテピアノ
クレッシェンドやデクレッシェンドからの応用技として「フォルテピアノ」の表現があります。
フォルテピアノというのは、その名の通り「強く(フォルテで)」演奏したのち、即座に「弱く(ピアノで)」演奏すべく音量を落とすテクニック。
ピアノフォルテの後に大きくクレッシェンドすれば、メリハリのあるロングトーンを演奏できます。
フォルテピアノ
フォルテピアノ&クレッシェンド
アクセント&マルカート
アクセントやマルカートなど、音をはっきりと演奏したい場合もエクスプレッションが役立ちます。
フォルテピアノと同じ要領で、発音後に即座にエクスプレッションを絞ることでノートの頭にアクセントをつけることができます。
とくにコードコンピングにメリハリをつけて演奏したい場合などに有効です。
エクスプレッションのない演奏(オルガンのみ)
エクスプレッションのない演奏(ベースあり)
エクスプレッションでマルカートを表現した演奏(オルガンのみ)
エクスプレッションでマルカートを表現した演奏(ベースあり)
エクスプレッション取り扱い時の注意点
最後に、エクスプレッションを入力する上で注意点があるのでご説明しておきます。
とくにクレッシェンドの際に気をつけるべきポイントですが、エクスプレッションデータと実際の音量の変化には聴感上微妙なタイミングのズレが生じます。
実際にピークにしたい場所よりも少し手前にエクスプレッションのピークを持ってくることで、意図通りのポイントで音量を最大に聞かせることができます。
ペダルを使ってリアルタイム入力する際にはあまり気にする必要はありませんが、手書きでグラフを書く際には念頭においておくと良いでしょう。
まとめ
というわけで、キーボードのエクスプレッション設定について解説しました。
ハモンドオルガンをリアルに打込む上で欠かすことのできないテクニック。
今日の記事を参考に、エクスプレッションに対する理解を深めていってくださいね!
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