オーケストレーションのリファレンス選定と分析方法を理解しよう!
こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。
今日は、オーケストラ実践に役立つリファレンス選びとその分析方法について解説いたします。
- オーケストレーションにおけるリファレンスの役割
- リファレンスの効果的な選定方法
- リファレンスの分析方法
リファレンスとは、楽曲を制作する際のお手本となる楽曲のこと。
どのような観点でリファレンスを選べば良いのか?
どのように分析し、役立てれば良いのか?
効果的なリファレンスの活用法についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください!
オーケストラアレンジの参考にするリファレンス選びと分析方法を理解しよう!
オーケストレーションにおけるリファレンスの役割
ひとくちにリファレンスといっても、参考にすべき要素は多岐に渡ります。
したがって、ここではオーケストレーションをする際のリファレンスの役割について明確にしておきましょう。
オーケストレーションのリファレンスに求められることは、あくまでオーケストレーションの参考になることです。(当然といえば当然ですね)
メロディ、ハーモニー、ベースライン、オブリガートといった個々のパーツを限定的に見るのではなく、それらのパーツに対してどのように楽器が割り当てられているのか?どのようにアレンジされているのか?を参考にしていきます。
したがって、あくまでオーケストレーションの参考になる部分に着目してリファレンスを選びましょう。
リファレンスの効果的な選定方法
リファレンスを立てる際に大事なポイントがあります。
それは、シーンごとにリファレンスを立てるということです。(何なら1シーンにつき複数の曲を立ててもいいくらいです)
例えば、以下のような形になります。
- イントロ:参考曲A
- 序盤:参考曲B
- 中盤:参考曲C
- クライマックス:参考曲D
- エンディング:参考曲E
場面ごとにリファレンスをたててオーケストレーションの参考にすると良いでしょう。
どんなに魅力的な作品でも、楽曲全体を通して自分が目指す方向性のオーケストレーションが施されている作品というものはほぼ存在しません。
シーンごとにリファレンスを立てることで、そのような問題も簡単にクリアできてしまうわけですね。
まずはクライマックスから選定しよう
シーンごとにリファレンスを選んでいくにあたって、まずはクライマックスを想定したリファレンスを探すとよいでしょう。
楽曲の中で最も盛り上げがっている場所、聴かせどころとなる場所のサウンドイメージを固めることで、その他の場所のリファレンスも立てやすくなります。
クライマックス以外のリファレンスについては最初にまとめて探してしまっても良いですし、クライマックスのアレンジががある程度固まってから探してもOKですが、慣れないうちは、先にクライマックスのアレンジを固めてしまってからの方がイメージが湧きやすくなるでしょう。
グリーグ『交響舞曲』
この曲の15:23〜28付近のオーケストレーションを参考にしていきます。
参考部分は短いものの、メロディ、オブリガート、ハーモニー、リズム、ベースにバランスよく楽器が割り振られていること、楽器同士の絡み具合が魅力的であることから選定しました。
次回の記事では、この曲をリファレンスにアレンジの解説をしていきます。
【リファレンス選びにどうしても迷ってしまう場合は?】クラシック曲に馴染みのない方は、リファレンス選びの段階でつまづいてしまうこともあるかもしれません。そんな時は前々回の記事「オーケストレーションの参考にしたいクラシックの名曲」を参考にしてみてください。本カリキュラムでも度々登場する名曲たちになっていますので、ぜひチェックしておいてくださいね。
リファレンスの分析方法
リファレンスが決まったら、次にそれを分析していきます。
その際、以下の3つのポイントに着目すると良いでしょう。
- 各パートの役割
- 各役割における楽器の重ね方
- 強弱のバランス(強弱記号・人数)
各パートの役割
それぞれのパートがどんな役割を果たしているのかを見ていきましょう。
ここでいう役割とは、以下の5つです。
- メロディ(ハモリやオブリガートも含む)
- ハーモニー(リズムを兼ねている場合も)
- ベース(リズムを兼ねている場合も)
- リズム
- 装飾フレーズ
オーケストラ作品の各パートを見てみると、大抵は上記5つの役割のいずれかに分類できるはずです。
また、ハーモニーを構成しながらリズムも刻んでいる場合など、同時に複数の役割兼ねている場合もあります。
スコア全体をみながら、それぞれのパートがどの役割に分類していきましょう。
譜面に役割ごとに色を分けて書き込みを入れていくとわかりやすくなりますね。
各役割における楽器の重ね方
パートごとに役割を分類できたら、次に役割ごとの楽器の重ね方を観察してみましょう。
オーケストラでは、各役割ごとに複数のパートが重なって演奏されている場合がほとんど。
- シンプルなユニゾンなのか?
- オクターブやハモリがある場合はどんな重なり方をしているのか?
- 「堆積法」「交叉法」「重複法」などのテクニックは使われているか?
- 使われているとしたらどのように重なっているか?
などの点に着目しながら、それぞれの重ね方を分析していきましょう。
強弱のバランス(人数・強弱記号)
最後に、全体の強弱がどのように設定されているかを確認していきましょう。
過去の記事でも解説した通り、弱〜中程度の音量でアレンジする場合と、強い音量でアレンジする場合とでは、バランスの取り方が全く変わってきます。
まずはシーン全体の音量感がどの程度なのかをチェックした上で、以下の5つの点に着目してみましょう。
- メインメロディを担当する楽器の人数と強弱記号
- ハモリやオブリガートを担当する楽器の人数と強弱記号
- 各コードトーンごとの楽器の人数と強弱記号
- リズムを刻むパートの人数と強弱記号
- 装飾パートを担当する楽器の人数と強弱記号
良質なオーケストレーションが施されている場合は、人数の調整と強弱記号だけでベストなバランスが取れていることがよくお分かりいただけると思います。
オーケストラにおける音量バランスの取り方については以下の記事で詳しく解説しておりますので、合わせて参考にしてみてください。
まずは分析結果を素直に反映させる
上記3つのポイントが分析できたら、その結果を素直に自曲に当てはめてみましょう。
用意したメロディやコードによっては参考曲の印象とは多少違って聴こえることもありますが、全くの別物になってしまうことはまずありません。
多くの場合は、リファレンスに近しい印象に仕上がっているはずです。
このように、リファレンスの選定、分析、自曲への反映を繰り返していくことで、先人たちの技術を作品に取り入れていくことができます。
慣れてきたら、楽器の割り振りや重ね方を変えて試行錯誤したり、新たな役割のパートを追加してみたり、逆に引いてみたりなど、自分なりのアレンジを加えてもOKです。
とはいえ最初は、素直に巨匠たちのオーケストレーションを模倣させていただくのが吉ですね!
まとめ
というわけで、リファレンス選びとその分析方法について解説しました。
リファレンスを上手に選定・分析できるようになると、それだけオーケストレーションの引き出しも増えていきます。
今日ご紹介したテクニックを参考に、たくさんのリファレンスを模倣するところから始めてみてはいかがでしょうか?
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