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金管アンサンブル②:金管セクション全体を使ったコラールづくりのテクニック!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今回はいよいよ、金管セクション全体を使ったアンサンブルの実践テクニックを解説していきます。

  • 金管アンサンブルのアレンジ手順
  • 具体的なアレンジテクニック

今回も実際のアレンジ手順を明確にした上で、それぞれの具体的なテクニックを詳細に解説していきます。

高度な和声学の知識がなくても簡単に金管らしいアンサンブルを組めるよう極力シンプルに設計しました。

ぜひ楽しみながら学んでいただければ幸いです!

 

金管アンサンブル②:金管セクション全体を使ったコラールづくりのテクニック!

金管アンサンブル②:金管セクション全体を使ったコラールづくりのテクニック!

金管アンサンブルのアレンジ手順

まずは、金管アンサンブルのアレンジ手順について解説していきます。

金管セクションを使ってアレンジを行う際の手順は以下の7ステップになります。

  1. トップラインとコードを用意する
  2. ベースラインを作る
  3. 何声にするのか検討する
  4. トップラインを起点に上3声を密集配置
  5. 上3声とベースの間を埋める
  6. 必要があればベースラインをオクターブユニゾンに
  7. 楽器の割り当てを検討する

今回も和声学の基礎知識を使って解説していきますので、以下の記事も合わせてご活用いただければ幸いです。

では早速、各ステップの詳しい解説をしていきましょう!

■ 1. トップラインとコードを用意する

例によって、今回もスケッチから初めていきます。

まずはトップラインとコードを決めていきましょう。

重厚なハーモニーを作る練習がしやすいよう、トップラインは非和声音の少ないシンプルなものを用意しました。

ゆったりしたテンポで、4分や8分でハーモニーが遷移する楽曲にすると金管らしい荘厳な雰囲気が出てきます。

このような楽曲を「コラール」といい、金管楽器の十八番ともいえるスタイルです。

■ 2. ベースラインを作る

トップラインとコードが完成したら、次にベースラインを作っていきましょう。

この時、トップラインとの間に連続や並達が出来ないよう注意して作りましょう。

先ほどご紹介した譜例では、以下の部分に連続5度が発生してしまっています。

  • トップライン:D→C
  • ベースライン:G→F

このままではコラールとしてあまり美しくないため、ベースラインの改善を考えます。

以下の図のようにベースラインを見直してみました。

このようにルート以外の第3音、第5音、第7音をベースに持ってくることを転回形と呼び、極めて良く使われる手法になります。

ベースを担当する音が変わるので響きの印象も変化しますが、コードの機能を変えずに連続を回避したり、ベースラインを滑らかにつなぐことができるため、クラシカルなハーモニーを作る上では必須のテクニックです。

さらに、禁則が発生していないところでも、曲の展開に応じて第3音や第5音、第7音などを織り交ぜることで、よりクラシカルで上品な印象に仕上げることもできます。

とくに、半音で進行させたり、トップラインと反行させたりといったテクニックは、転回形を用いた常套手段といえるでしょう!

■ 3. 何声にするのか検討する

次に、何声でハーモニーを組むかを検討していきましょう。

後から変更しても構わないので、現時点で何パート必要か確認しておくことが重要です。

どの楽器をどれくらい使うのか検討する判断材料になるからですね。

トップとベースの間に密集配置で音を詰め込んだ場合、何声部入るか?

それを基準に考えると良いでしょう。

この時、ローインターバルリミットに引っかからないよう低音の間隔には気をつけましょう。

今回は、コードパート5~6声+ベースパートという配置で進めて行こうと思います。

【ローインターバルリミット】低音域で和音を鳴らした場合に響きを濁すことなく鳴らせる最低音のこと。和音の構成や音色によっても変わるため、適宜確認が必要。

 

■ 4. トップラインを起点として上3声を密集配置

トップラインを起点としてコードトーンを密集配置で並べていきます。

前回も解説しましたが、密集配置の方が中身の詰まった充実したサウンドを得やすいです。

とくに大人数の金管楽器でハーモニーを組む際には、原則密集配置を使用すると良いでしょう。

もちろん、トップラインの動きによっては必ずしも密集配置にならない部分も出てくる可能性もありますが、その時は臨機応変に。

■ 5. 上3声とベースの間を埋める

先ほど作った上3声はトップラインを起点にして密集配置したため、ベースとの間に大きな隙間が生じています。

今度はここを埋めていきます。

下図の中で、紫色のノートがさきほど打ち込んだ上3声、青色のノートが追加したノートです。

この時、意識したいポイントは以下の通りです。

  • 追加パートはなるべく平坦に配置
  • トップ&ベースに対して連続が発生していないか気をつける
  • 第3音はなるべく重複しないよう心がける
  • 導音、第7音、テンションなどの限定進行音は重複させない
  • ローインターバルリミットに気をつける

■ 追加パートはなるべく平坦に配置

上図のピアノロールでは、青色の追加パートが同じような音域で推移しているのがお分かりいただけますでしょうか。

中域以下のパートではなるべく動きを抑えることでサウンドの安定感が増し、より重厚な響きにすることができます。

■ トップ&ベースラインに対して連続が発生していないか気をつける

内声部においても、トップラインやベースラインとの間に連続が発生していないかを気をつけましょう。

内声同士においても禁則は気をつけるべきですが、広い帯域で密集配置する以上防ぎきれないこともよくあります。

したがって、トップ&ベースラインとの関係性を最優先で考えればOKです。

■ 第3音はなるべく重複しないよう心がける

例によって、第3音はなるべく重複しないよう配置した方が美しいサウンドに仕上がります。

ただし、第3音の重複を避けた結果連続が発生してしまうようならこの限りではありません。

■ 導音、第7音、テンションなどの限定進行音は重複させない

導音、第7音、テンションは極力重複させないようにしましょう。

とくにテンションが重複すると和音の響きが著しく損なわれるので注意が必要です。

■ ローインターバルリミットに気をつける

こちらは前述の通りです。

■ 6. 必要があればベースラインをオクターブユニゾンに

必要に応じて、ベースラインをオクターブユニゾンにするのも良い方法です。

曲の盛り上がりに合わせて、より低い音域のベース音を使いたい場合もあるかと思います。

そんな時、チューバなら演奏可能だが、バストロンボーンでは低すぎる音域が登場することもしばしば。

そんな時は、ベースをオクターブユニゾンさせることで両者を棲み分けることができます。

逆に、ベースラインがチューバには高すぎる音域を演奏している場合もオクターブユニゾンが有効です。

ベースをオクターブにすることでより重厚なサウンドを得ることもできますので、必要に応じて取り入れてみてください。

なお、ベースをオクターブにすることでローインターバルリミットに抵触する場合は避けたほうが良いでしょう。

ベースをところどころオクターブユニゾンにした例

【オクターブユニゾンは禁則には該当しない】メロディやベースなどの外声パートをオクターブユニゾンさせることは多々ありますが、これらは和声的には「1声部」とみなされるため、禁則(連続8度)には該当しません。

■ 7. 楽器の割り当てを検討する

最後に、楽器の割り当てをしていきましょう!

楽器の数が多い分、じつにさまざまな割り当て方が考えられます。

したがって、ここでは最もシンプルでバランスの取りやすい割り当て例を1つご紹介します。

それが、「2+2+2+ベース型」です。

ハーモニーとベースを以下のように割り当てていきます。

【ハーモニー】

  • トランペット1st
  • トランペット2nd
  • ホルン2本(1st&3rd)
  • ホルン2本(2nd&4th)
  • トロンボーン1st
  • トロンボーン2nd

【ベース】

  • バストロンボーン
  • チューバ

もちろん、ハーモニーパートが7声部必要な場合はバストロンボーンもハーモニー担当に割り当ててもOKです。

今回はシンプルに、前回の記事でご紹介した「堆積法+重複法」を使って割り当てました。

金管楽器は木管に比べて楽器同士の音色差が少なく馴染みやすいサウンドなので、「堆積法」でもそれなりにまとまった響きを作ることができます。

■ ホルンは2本で1声部

上図を見ていただくとわかるかと思いますが、ホルンは2本で1声部を担当しています。

これは、ホルンの音色や音量に起因します。

他のパートよりも音が柔らかく音量も控えめなホルンは、2本重ねることでトランペットやトロンボーンに対抗することができます。

トランペット&トロンボーンなどのパワーのある楽器とホルンを同時に使用してハーモニーを形成する場合は、ホルンは2本で1声部と覚えておくとよいでしょう。

どうしてもホルンを1本ずつ分けて使いたい場合は、トランペットやトロンボーンよりも1段階大きなダイナミクス(強弱表記)を指示しましょう。

例えば、トランペットやトロンボーンが「mf(メゾフォルテ)」ならば、ホルンは1段階大きな「f(フォルテ)」を指定するという具合ですね。

完成形の譜例と音源

まとめ

というわけで、金管アンサンブルの実践テクニックについて詳しく解説しました。

今日ご紹介した方法は最もシンプルな方法ではありますが、それだけでも十分金管らしい重厚な響きのコラールが作れたことがお分かりいただけたと思います。

楽器の重ね方や割り当てる楽器の本数によって様々なサウンドのアンサンブルを作ることができますので、ぜひあなた好みのサウンドを研究してみてください!

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