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金管アンサンブル①:充実したハーモニーを得るための基本テクニック!

こんにちは、OTOxNOMA認定講師・作曲家の吉岡竜汰です。

今日から2回にわたって、金管アンサンブルの実践テクニックについてお届けします。

今回は、金管アンサンブルの基本と、少人数でのハーモニー形成、最後には基本的な重ね方の実例もご紹介いたします。

  • アンサンブルにおける各楽器の特徴
  • 2パートを使用したハーモニーの組み方
  • 金管楽器の重ね方実践テクニック

ド派手なメロでオーケストラを盛り上げる印象の強い金管ですが、ハーモニーの美しさも弦や木管に劣らず魅力的です。

メロディだけではなく、コード担当としても優秀な金管セクション。

とくにオーケストラにおいては頻繁に登場するテクニックとなりますので、その基本をしっかりとマスターしていきましょう!

 

金管アンサンブル①:充実したハーモニーを得るための基本テクニック!

金管アンサンブル①:充実したハーモニーを得るための基本テクニック!

アンサンブルにおける各楽器の特徴

まずは、アンサンブルにおける金管楽器それぞれの特徴をまとめていきます。

楽器ごとに個性の強い木管に対して、金管はいずれも近しい音色を持っています。

その分、まとまった響きを得やすいセクションと言えるでしょう。

金管楽器が持つ音のふくよかさも相まって、重厚なハーモニーを形成することができます。

■ ホルン

ホルンは、弦や木管を含むあらゆるオーケストラ楽器とよく馴染みます

また、ホルンだけで4パートあるためテトラッドの形成も可能という強みもあります。

注意点としては、低音域では音像がぼやけてしまう傾向にある点が挙げられます。

この帯域はトロンボーンと競合しやすいので、トロンボーンと共にコードを形成する際には音域を分けるなどの工夫が必要でしょう。

また、ホルンは他の金管楽器に比べて最大音量が小さいという性質を持っています。

したがって、トランペットやトロンボーンなどパワーのある金管と一緒にハーモニーを組む際には、ダイナミクス(強弱表記)を1段階上げるかアンサンブルの人数を調整するなどの工夫が必要です。

(人数の調整に関しては後述します。)

■ トランペット

トランペットは、その輝かしい音色から他の楽器に埋もれにくい(=目立ちやすい)性質を持っています。

他の楽器にマスキングされにくいというメリットもありますが、裏を返せば浮いて聞こえてしまう可能性もあるということです。

したがって、ハーモニーパートの一員を担う場合にはとくに配慮が必要。(オーボエに似た性質といえますね。)

他の楽器をハーモニーを組む際には、ダイナミクス(強弱表記)を1段階落とすことも少なくありません。

■ トロンボーン

トランペット同様円筒形の管をもつこの楽器は、ストレートでパワフルな音色が特徴。

一方、トランペットと比べて楽器のサイズが大きいこともあり、柔らかく厚みのある音色を出すことができます。

とくに、弱く演奏したときはその傾向が顕著で、普段のトロンボーンのパワフルさとは裏腹に優しい音色でハーモニーを奏でることができます。

こちらも音量の大きな楽器ですので、とくにホルンとアンサンブルを組む際にはダイナミクスや人数をコントロールしながらバランスを取っていきます。(こちらも次回の記事で解説します。)

■ チューバ

チューバは、金管最大の体躯と円錐型の管を持つ特徴から、柔らかく包み込むような音色を持っています。

その他の楽器と音色の馴染みもよいことから、とくに何かに気をつけなくても良質なハーモニーを形成してくれることでしょう。

2パートでのハーモニーの組み方

ここからは、少人数でのハーモニー作りについて解説していきます。

今回は基本編ということで、シンプルに以下の2種類の組み合わせを解説していきます。

(トランペットはそもそも2本しか存在しないことと、チューバと音域が離れすぎていることから、少ないパート数でのハーモニー形成は不向き。したがって、今回は使用しません。)

上記2つのパターンをマスターすることで、ストリングスや木管をメロディに専念させ、その分金管でハーモニーを形成するというアレンジ方法が可能になります。

金管のふくよかなサウンドが中音域を埋めてくれるため、メロディとベースの間を充実感をもって埋めることができるというわけです。

なお、ここからは和声学の基礎的な知識を用いて解説を進めていきます。

和声学の基本については、以下の記事で解説しておりますので合わせてご活用ください。

■ ホルン+チューバ型

「ホルン+チューバ型」では、ホルンがコード、チューバがベースを担当します。

金管の中でも柔らかい音色を持つ楽器同士の組み合わせ。

したがって、穏やかで落ち着いたサウンドを実現したい場合にオススメの組み合わせです。

コードの組み方

ホルンは原則として密集配置でコードを演奏させましょう。

そうすることで、ギュっと詰まった密度の濃い響きを得やすくなります。

また、開離配置では音域が広くなりすぎてしまい、上下いずれかのパートが音域を逸脱してしまう可能性も高くなります。

ちなみに、4パートあるホルンでトライアドを演奏する場合は、必ずどこかのパートが重複することになります。

その場合は第3音の重複は避け、ルートまたは第5音を重複させるようにしましょう。

これによりハーモニーのバランスを崩すことなく美しい響きが得られます。

「上吹き」と「下吹き」

ホルンには「上吹き」「下吹き」といって、高音パートを演奏するメンバーと低音パートを演奏するメンバーがあらかじめ決まっています。

それぞれ以下の通りです。

  • 上吹き = 高音パートを演奏。1st&3rd奏者が担当。
  • 下吹き = 低音パートを演奏。2nd&4th奏者が担当。

ホルンでコードを形成する場合やオクターブユニゾンを作る場合などは、原則として上記のルールにしたがって配置しましょう。

実際の配置例

■ トロンボーン+チューバ型

次に「トロンボーン+チューバ型」をみていきましょう。

こちらもトロンボーンがコード、チューバがベースを担当します。

バストロンボーンもベースを担当するのに十分な性能を持っていますが、3本しかいないトロンボーンのうち1本をベースに回すとハーモニーが不十分になる可能性も。

ベースはチューバに一任するのがよいでしょう。

音色の特徴としては、中低音楽器群でのハーモニーとなるためよりも重厚な響きを得ることができます。

コードの組み方

密集配置、開離配置どちらも有効です。

音域やサウンドの好みによって選択するといいでしょう。

ホルンと違い3本しかいませんので、トライアドを演奏させても重複する恐れがありません。

原則として、トロンボーンではコードトーン全てを鳴らし、チューバはルート(オンコードの場合はベース音)を演奏させると良いでしょう。

実際の配置例(密集)

実際の配置例(開離)

金管楽器の重ね方実践テクニック

最後に、楽器の重ね方についていくつか例をご紹介しておきます。

金管アンサンブルは木管と比べてアンサンブル全体の音域が狭いため、「堆積法」「交叉法」「重複法」3種の重ね方を個別に使うより、いくつかのテクニックを組み合わせて運用する場合が多くなります。

以下の2種類が現実的です。

  • 堆積法+重複法
  • 交叉法+重複法

それぞれ詳しくみていきましょう。

■ 堆積法+重複法

上図のように、ホルンを重複させつつ全体を堆積法で積む方法が考えられます。

ホルンを重複させるのには2つの理由があります。

  1. ホルンは他の金管楽器に比べて音量が小さいから
  2. ホルン4本を個別に扱うと各楽器の音域を逸脱してしまう可能性があるから
1. ホルンは他の金管楽器に比べて音量が小さいから

こちらは非常にシンプルな理由です。

ホルンの音量は他の金管に比べて小さいため、2本重ねて増強するという手段が用いられます。

2. ホルン4本を個別に扱うと各楽器の音域を逸脱してしまう可能性があるから

ホルンとトロンボーンは音域が非常に近しい楽器。

そんな楽器が合計7本もあるわけですから、それぞれを別個に扱うとアンサンブル全体の音域が広くなりすぎてしまいます。

その結果、それぞれの楽器の音域を逸脱してしまう可能性があり現実的ではありません。

そのため、どこかしらのパートを重複させて適度な音域を保持することも重要です。

■ 交叉法+重複法

金管アンサンブルにおいても交叉法はよく用いられます。下図をご覧ください。

金管は木管に比べて音色の馴染みは良いのですが、交叉法を用いることでさらに馴染みの良いサウンドにすることができます。

ここでもやはりホルンは重複していますが、堆積法の時と理由は同じです。

また、最初の例よりちょっと難しい重ね方になりますが、交叉させつつホルンとトロンボーンを重複させる積み方も珍しくありません。

下図をご覧ください。

この積み方では、

  • トップ付近はホルンが重複していないので明瞭な響きが得られる
  • 中音域はホルンとトロンボーンによる柔らかく重厚な響きが得られる

という利点があります。

一方、重複していないホルン1st,3rd、重複しているトロンボーンを中心に音量バランスへの細かな配慮が必要という点は気をつけておきましょう。

まとめ

というわけで、金管アンサンブルでハーモニーを作るための基本をお届けしました。

今回は2種のパートのみを使って解説しましたが、それだけでもかなり充実した響きが得られることがお分かりいただけたと思います。

次回はここからさらに楽器数を増やして、金管セクション全体を使ったハーモニー形成についてレクチャーしていきます。

お楽しみに!

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